日本で最も焼鳥店が多い東京都。半世紀以上続く老舗が多いのも特徴です。理由のひとつに、同じ串焼きの鰻料理との親和性の高さがあります。鰻専門からやがて焼鳥店へ看板料理が推移した店もあります。ここでは、Syupoがこれまで初回してきた都内の飲食店から、とくにオススメしたい焼鳥を40品選びました。東京の焼鳥の奥深さをお楽しみください。
目次
- 1.東京『鳥やき宮川』
- 2.茅場町『宮川』
- 3.茅場町『鳥徳』
- 4.銀座『鳥ぎん本店』
- 5.銀座『武ちゃん』
- 6.築地『鳥芳』
- 7.築地『とゝや』
- 8.淡路町『神田まつや』
- 9.新橋『ほさか』
- 10.新橋『出世酒場 大統領』
- 11.新橋『鳥藤』
- 12.上野『鳥清』
- 13.湯島『串焼きだるま』
- 14.高田馬場『鳥やす本店』
- 15.渋谷『森本』
- 16.渋谷『鳥竹』
- 17.渋谷『鳥清』
- 18.渋谷『鳥佐』
- 19.下高井戸『鳥たけ』
- 20.自由が丘『かとりや自由が丘店』
- 21.自由が丘『鳥へい』
- 22.自由が丘『金田』
- 23.旗の台『鳥樹本店』
- 24.西日暮里『小鳥』
- 25.東雲『菊水』
- 26.木場『夢乃家』
- 27.門前仲町『庄助』
- 28.森下『鳥長』
- 29.北千住『五味鳥』
- 30.小岩『鳥正』
- 31.沼袋『鳥はし』
- 32.阿佐ヶ谷『鳥久』
- 33.石神井公園『ゆたか』
- 34.保谷『丸越』
- 35.ときわ台『鳥多希』
- 36.大森『鳥城』
- 37.府中『樽平』
- 38.小平『鳥勝』
- 39.南平『よっちゃん』
- 40.拝島『おおしば本店』
- 煮込み図鑑はこちら
1.東京『鳥やき宮川』
新幹線が発着する東京駅八重洲口で約70年続いてきた焼鳥の名店です。鰻用のボッカ串に大ぶりの肉を打った昔ながらのスタイル。新幹線乗車前にも利用しやすい利便性の高さも魅力です。
2.茅場町『宮川』
1949年に茅場町で商売をはじめた鶏肉卸「宮川商店」の系列焼鳥店。連日、近隣に勤める舌が肥えたベテラン会社員で満席近い賑わいになります。噛みごたえのあるつくねがオススメ。うずらの卵を載せた大根おろしがついてくる、東京の正統派焼鳥です。
3.茅場町『鳥徳』
明治期創業、100年以上続く焼鳥と鰻の店です。兜町の証券マンが足繁く通う地域の名店。フレッシュな鶏をその日のうちに職人さんが串打ちをして提供しています。倶利伽羅と呼ばれる鰻串があるのも特色です。
4.銀座『鳥ぎん本店』
暖簾分けも多い「鳥ぎん」の本店が銀座にあります。昭和26年創業、戦後でまだ銀座にも戦災の爪痕残るころ、炭火焼鳥を気軽に楽しむ店と開業。さらっとしているのに濃口で、大ぶりの焼鳥を引き締めるタレが絶品。お昼からやっているので銀座の昼飲みスポットとしてもオススメです。
5.銀座『武ちゃん』
昭和28年に水落武敏さんが屋台から始めた焼鳥屋。鶏は名古屋コーチン、焼台は一般的な焼鳥屋で使用するものより細い備長炭がセットされています。5本からのコースが基本で、生醤油、からし醤油、胡麻だれなど、様々な味を楽しませてくれます。
6.築地『鳥芳』
半世紀をこえて続く名店で、食に関わる仕事が多い築地の人々に世代を越えて愛されています。串は大きく食べごたえ充分。パリッと焼き上がった手羽と、特製のつくねが気に入っています。
7.築地『とゝや』
築地の場外市場で半世紀続いてきた、市場の焼き鳥店。串焼きではなく平焼きです。午前中から本格的な焼鳥で飲める貴重な一軒です。
8.淡路町『神田まつや』
明治17年創から続く東京を代表する蕎麦の銘店「神田まつや」。蕎麦だけでなく、焼鳥も格別に美味。とろみのある甘いタレは、もちろん「返し」が味の基礎を築いています。「あかね鶏」に東京らしいみりんをしっかり使った味付けが絶妙なバランスです。
9.新橋『ほさか』
現在、烏森神社の参道で最古となった老舗の焼鳥店『ほさか』。小さな屋台の焼き鳥店で飲んでいるような雰囲気です。看板料理は相鴨塩焼。ナンコツを含むコリコリ・モチモチとした食感がたまりません。
10.新橋『出世酒場 大統領』
串の味付けはおまかせで。辛味噌をつけていただきます。イチオシはつくね。ふわっとした中にも肉の旨味がつまっていて、醤油多めのタレと絶妙にマッチします。
11.新橋『鳥藤』
老舗の焼鳥店が減りつつある新橋で、貴重な40余年続く店です。ゆずの風味が爽やかなつくねは絶品。しそ巻の爽やかな余韻が心地いいです。
12.上野『鳥清』
創業は1958年(昭和33年)。現在は3代目が店の暖簾を守っています。練り辛子を添えて供されます。炭火の香りと鶏の脂を吸ったねぎまのネギは、その一口でお猪口の白鶴を飲み干したくなる美味しさ。
13.湯島『串焼きだるま』
半世紀続く炉端焼きの定番「樽平」の姉妹店。この地で約30年続いてきました。朝挽きの大山鶏をつかった焼鳥など、1本200円から揃います。
14.高田馬場『鳥やす本店』
高田馬場で人気の焼き鳥といえば『鳥やす』。1967年の創業です。なんと串は1本60円から。豪快に焼き上げた焼鳥をもりもりと食べながら、ビールや日本酒を楽しみます。
15.渋谷『森本』
道玄坂に看板を掲げる焼鳥「森本」は終戦直後、鰻の屋台として創業。その後焼鳥もメインになりました。長年、変わらず受け継がれているつくねは、爽やかな柚子の香りがします。滴る肉汁に思わずほっぺが落ちそうです。
16.渋谷『鳥竹』
1963年(昭和38年)の創業。渋谷を代表する大箱・老舗の焼鳥店。長く渋谷で飲む人たちのお腹と喉の渇きを潤してきた銘店は、なんといっても大ぶりでずっしりと重い焼鳥が名物です。
17.渋谷『鳥清』
「百軒店」の最深部に暖簾を掲げる焼鳥の店。2005年に先代の女将さんの意志を受け継ぎ、当時27歳の娘さんが現在の女将として切り盛りします。
18.渋谷『鳥佐』
昭和40年創業の「鳥佐」。「109」の裏、道玄坂という賑やかな立地にありながら、落ち着いた店構えを残しています。肉汁を残すジューシーな焼き具合に程よい塩加減。香ばしい炭の香りが楽しめます。
19.下高井戸『鳥たけ』
下高井戸で約半世紀に渡って親しまれてきた焼鳥屋。名物は大串の焼鳥。渋谷の焼鳥店『鳥竹』からの暖簾分けです。やきとりは巨大なもも肉をネギ、ししとうと一緒に串打ちしています。
20.自由が丘『かとりや自由が丘店』
紀州の備長炭を置いた年季の入った焼台で、巧みに串の位置を置き換えながら、芯まで丁寧に熱を加えていきます。お手伝いの店員さんはいますが、焼台を担当するのは女将です。
21.自由が丘『鳥へい』
駅近くの一画に残る酒場街で、1952年から営業する老舗焼鳥店。肉汁したたり、旨味が強い鳥は、かわも砂肝もみんな美味。タレもいいですが、辛味噌をちょっとだけ風味付けで楽しむ塩がいい。
22.自由が丘『金田』
昭和11年創業、自由が丘の「酒学校」と親しまれてきた『金田』。刺身などの居酒屋料理がメインですが、ここの焼鳥は大ぶりで絶品。合鴨、ひな、つくねの3種類があります。
23.旗の台『鳥樹本店』
昭和48年創業、旗の台駅前の焼鳥店「鳥樹」の鶏料理は一度食べたら忘れられません。串焼きではなく、網焼きにするスタイル。ももタタキは鶏好きならば一度は食べてほしい美味しさです。
24.西日暮里『小鳥』
創業は1980年頃。創業時からの雰囲気を色濃く残した店構えは、どこか懐かしさを感じます。小ぶりではあるものの、身が詰まっており、噛むと弾ける食感が心地よく、それから肉汁がじんわりと広がってきます。
25.東雲『菊水』
変貌を遂げた東雲で、70年近く変わらず続いてきた大衆酒場。タレ味で頼むと、さらっとした甘いタレに浸けられてきます。もつ焼き専門ではないですが、常に焼く手を休められないくらい注文が入り続けています。
26.木場『夢乃家』
分厚い一枚板のカウンターやテーブルに目が行きます。木場の老舗の風格を感じつつも重たい雰囲気はありません。串は1本から注文可能です。焼き方は丁寧。甘めのタレは、誰もが幼少の頃から好きなあの味です。
27.門前仲町『庄助』
かなり細かく挽いた肉でつくる「つくね」。塩ではなく独特な甘味のある味付けになっていて、これが庄助を訪ねたくなる後を引く味。生ピーマンに挟んで食べるのが人気です。
28.森下『鳥長』
2代目が守る老舗の暖簾。鰻と焼鳥が看板料理ですが、刺身もフライも煮込みも充実した、なんでもある大衆割烹です。ぐっと力強く濃厚な旨味のタレが秀逸です。
29.北千住『五味鳥』
昭和55年から続く人気焼鳥店のつくねが絶品。さらっとした甘めのタレとの相性も抜群によいです。焦げたところは挟みで切り落としながら焼くので、かりっとした表面でもとてもキレイ。
30.小岩『鳥正』
創業は1966年(昭和41年)。パリッと仕上げた表面と、中から滲み出る肉汁のジューシーさ。ベテランの皆さんがつくる老舗の焼鳥は間違いのない美味しさです。
31.沼袋『鳥はし』
東北出身のご夫婦が切り盛りする食鳥鶏精肉店の焼鳥コーナーからはじまった店。正統派のタレ焼きも、塩コショウがかかった塩焼きも、ともに間違いない美味しさ。
32.阿佐ヶ谷『鳥久』
大将と女将さん、そして息子さんの家族三人で切り盛りされています。一度揚げてから焼くつくねは、染み込んだタレの甘辛さと、鶏の様々な部位からくるコクがビールを進ませます。
33.石神井公園『ゆたか』
「ゆたか」も40余年続く老舗の焼とり屋です。テイクアウトの利用も多く食材の回転がよいので、焼鳥はどれも鮮度ばっちり。手羽先もモチモチで美味しく、骨までしゃぶりたいほど。
34.保谷『丸越』
変わり串も豊富で、何度通っても食べたい料理が尽きません。焼鳥には自家製の黒い唐辛子味噌をつけていただきます。鶏の塩系にちょっとつけると味に深味がまして、より一層お酒を進ませます。
35.ときわ台『鳥多希』
いまからおよそ半世紀前、板橋区大山の川越街道沿いに小さな焼鳥店「鳥多希」が誕生しました。まずは、なにはともあれ名物の手羽先を食べなくてはいけません。七味や辛子ではなく、わさびを塗るのが鳥多希流。
36.大森『鳥城』
1961年から続く大森を代表する焼鳥店。うなぎとやきとりの二枚看板。近くにかつてアサヒビール大森工場があったことから、マルエフを長年扱ってきた酒場でもあります。オススメは「たたき」。鶏のキモやナンコツなどを混ぜて叩いたもので、深いコクとコリコリの食感がクセになります。
37.府中『樽平』
香ばしい炭の香りが誘います。通常のタレに加え、にんにくタレも選べ、これが絶品。大量のおろしニンニクが串を包んでやってきます。
38.小平『鳥勝』
創業40余年、地元のノンベエさんたちの集合場所。店先には持ち帰り用の窓口があり、昔ながらの焼き鳥酒場の風情があります。豚モツもありますが、若どり、鶏つくね、とりナンコツ、とのハラミなど、鶏串がメインです。
39.南平『よっちゃん』
初代が屋台で創業したのが1963年。焼鳥は、文句なしに美味しい!強火をカリッと焼き上げられていて、噛むと肉汁が弾けるようにでてきます。実は、表面にほんのりとニンニクが塗られた状態で焼かれています。
40.拝島『おおしば本店』
味付けはタレ、塩のほかに、塩ダレという選択肢もあります。おおしば特性の辛みそは店の自慢で、お客さんにもファンが多いそう。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)