茅場町「鳥徳」 明治創業、ベテラン証券マンのオアシスで鳥ナベを。

茅場町「鳥徳」 明治創業、ベテラン証券マンのオアシスで鳥ナベを。

2019年9月22日

ここは日本の金融の中心地。東京証券取引所をはじめ、名だたる証券・金融会社のオフィスが並びます。1871年に第一国立銀行本店の開設から金融の町として発展してきた兜町・茅場町は、そんな金融の歴史とともに歩んだ多くの老舗飲食店があります。

昼食時や夜になると証券マン、金融マンが街に繰り出し賑やかになる光景はいつの時代も変わりません。茅場町鈴らん通りでいつも賑やかな鶏と鰻の店といえば「鳥徳」。明治期創業、100年以上続く老舗です。

現在の建物も半世紀以上使われているもので、店構えや店内の様子は、長年多くの人々が愛用してきたことによる”予熱”のようなものを感じます。隅々まで手入れが行き届いた古い酒場は、なんとも言えない心地よさがあります。

ビールは樽生(600円)がサントリー ザ・プレミアム・モルツ香るエール。フルーティーな香り高いビールです。それでは乾杯!

瓶ビール(中びん600円)は、かつて酒の町・中央区新川に本社を構えていたキリンのラガーを取り扱い。酎ハイ・ウイスキー・ハイボールは500円から。日本酒はお燗酒の定番が菊正宗(500円)と辛丹波(800円)。冷酒は300mlの上喜元に加え、4合瓶で八海山や立山など5種類を用意。グループで飲みに来る人が多く、4合瓶がちょうど良さそうです。

看板料理のひとつ、焼鳥は250円から。ヒナ、ヒナネギ、皮、砂ぎも、うずら玉子、レバー、つくねの7種類はタレと、部位によって味は決められています。先代が開発した秘伝のタレだそう。

モツやせせり、手羽、相がもなど種類が豊富。鰻はもちろんおつまみとして蒲焼きや白焼きを選ぶことが可能です。

すぐでる料理や小皿は種類豊富。鶏ももポン酢(600円)や、注文を受けてから板前さんが丁寧に専用の鍋を振りながら作り上げるだし巻き玉子焼(800円)人気。

少人数限定、特等席は焼き台を眺めて飲めるカウンター席です。大きなガラスがはめられていて煙は来ないですが、次々と調理されていく様子を見ているだけでお酒の杯数がいつもより増えてしまいそう。※お酒は適量で。

注文が多く、上下2列で焼けるように造られた特製の焼き台が大活躍しています。

とりとくサラダ(680円)。盛りのよいサラダで、ポン酢をかけた鶏肉がアクセント。和風の味付けに赤胡椒の風味が合います。

手羽、倶利伽羅(450円)、つくねと焼いてもらいました。

歯ごたえがありつつ、噛むほどに肉汁あふれる手羽。フレッシュな鶏をその日のうちに職人さんが串打ちをして提供しています。

鰻を肴に飲みたいものの、白焼きや蒲焼きでは量が多いし、お値段も贅沢。そこで嬉しい、倶利伽羅焼きの存在。脂ののった鰻のとろっとした食感を楽しみます。

老舗の居酒屋さんでおなじみ、菊正宗の燗酒用の瓶。いつもの味にほっとします。

さて、鳥徳を訪ねた目的は焼鳥、倶利伽羅だけにあらず。本命は鳥ナベです。

現在のご主人は4代目。先代の3代目が考案したという鳥ナベ(950円)は、店を代表する料理のひとつ。

柳川鍋用の土鍋コク深い甘ダレ。様々な部位の鶏肉と焼き豆腐、白ネギ、しらたきを敷き詰めて、提供直前に鶏卵をおとして完成。ボリュームがありますが、その美味しさは一人占めしたくなるほどで、ひとり酒でもおすすめできる逸品です。

東京を代表する料理は様々。鳥料理の店が多い中央区界隈で食べられる、これらの伝統的な料理も東京らしい味のひとつでしょう。

店内はビジネスマンでいっぱい。とくにベテランの方が馴染みの店といった感じで楽しそうに飲んでいる様子が素敵です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

茅場町鳥徳
http://www.toritoku.com/
03-3661-0962
東京都中央区日本橋茅場町2-5-6
17:00~22:00(土日祝定休)
予算4,000円