自由が丘『かとりや自由が丘店』創業50余年。女将さんが守る老舗焼鳥

自由が丘『かとりや自由が丘店』創業50余年。女将さんが守る老舗焼鳥

2022年7月15日

串は1本120円。自由が丘駅前にある、個人経営の老舗焼鳥店『かとりや』。安くて味がいい、酒場らしい活気に満ちた名店です。店は50年以上続いており、現在は女将さんが店を切り盛りしています。皿にたっぷり添えられたピリ辛味噌が味の決め手。

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親しみやすい街・自由が丘

住みたい街ランキングの上位にランクインする自由が丘。東急線ブランドのおしゃれで洗練されたイメージがあるものの、実際に駅周辺を歩いてみれば、昔ながらの庶民的な場所も多く、ハイセンスと人間味がマーブル状になっています。

老舗の酒場も多く、戦前から続く歴史ある居酒屋も存在します。

踏切の向こうに見える赤ちょうちんを目指してぶらぶらとはしご酒。案外居心地がよいものです。

カウンターだけのかとりやは、若い一人客でも入りやすい

外観

1968年頃からずっとこの場所で串を焼いてきた『かとりや』。世代交代で現在は女将さんが中心となり、ご主人からの襷を繋いでいます。同名の焼鳥店は、溝の口、武蔵新城にもあり、自由が丘とあわせて3軒が系列店です。

内観

気配り上手でチャキチャキな女将さんが、暖簾をくぐる直前に気づいて「いらっしゃい!」と迎えてくれます。焼台を右に寄せた変形V字型のカウンターが調理場を囲んでいて、ほかにテーブル席などはありません。

店は女将さんが引き継ぐ前にリニューアルをしていて、若い一人客でも入りやすいです。それでも改装から年月が経ち、再び味わい深い飴色に染まってきました。

品書きはとてもシンプル。価格はリーズナブルで、だいたい2,000円で楽しめます。

目の前にはずらりと串打ちされた肉が並んでいます。かとりやは豚モツと鶏肉の両方を揃えており、どちらが専門ということではなく、どちらもいい味です。

焼台は女将さんの担当

紀州の備長炭を置いた年季の入った焼台で、巧みに串の位置を置き換えながら、芯まで丁寧に熱を加えていきます。お手伝いの店員さんはいますが、焼台を担当するのは女将です。

品書き

お酒

樽生ビール(アサヒスーパードライサッポロ生ビール黒ラベル):450円、瓶ビールはアサヒスーパードライ大瓶:650円、サッポロラガー大瓶:650円、ヱビス中瓶:550円、ヱビス プレミアムブラック小瓶:450円。

酎ハイ類はレモンサワー(ハイサワー):400円、スンチサワー(ハイサワー):400円、抹茶割り:400円、トマト割り:400円、チューダー:450円など。

日本酒は、お酒:400円、樽酒:450円、にごり酒:500円、冷酒:650円。

料理

鳥皮鳥砂肝かしらしろレバ(鳥・豚)はつ(鳥・豚)なんこつ(鳥・豚)シウマイなど:各120円。鳥つくね巻もの串:各180円。

一品料理は、もつ煮込み:400円、かとりや漬け:400円、おろしのせ:400円、湯豆腐:320円など。

樽生ビール(450円)

オートサーバーにアサヒスーパードライサッポロ生ビール黒ラベルがつながっており、店員さんが押すボタンひとつで生ビールが完成。調整は完璧で、かとりやオリジナルグラスにかかれたイラストの「暖簾棒」の位置に液面がきます。

それでは乾杯!

お通し(サービス)

「お通しはいりますか?」というのが、着席後、最初の会話となります。お通しのキャベツはサービスです。串のタレにまぶすのが筆者の食べ方ですが、醤油をかけて食べる常連さんもいます。

サッポロラガー大瓶(650円)

ビールの種類は多く、瓶もスーパードライ、サッポロラガー、ヱビス、黒ヱビスの4種類を置いています。チューハイ類も博水社のハイサワーリターナブルびんを使用しており、それほど大きな店ではないのですが、瓶が大量に冷やされていました。

生ビールで喉を潤したあとは、ぬるくなりにくい瓶入りのサッポロラガーをもらって少しペースを落とします。

かとりや漬け(400円)

串が焼けるまでのつなぎ役には店名がついた「かとりや漬け」が良いです。ピリ辛い酢味噌をまとった少し柔らかなガツに白ネギが乗っています。モチモチとした食感とビールが進む濃いめの味付けに、つなぎ役どころから主役感すら感じます。

串焼き(120円/本)

基本的に下茹でしておらず、生から焼いていきます。つくねも同様です。どれも中はしっとりとしていて柔らかく、表面はパリッと仕上がっています。

皿にザッと塗られたカラシと辛味噌は、お好みで。豪快に塗りつけて食べてもさほど辛くなく、たっぷりつけて食べる人が多いです。

鳥のナンコツはヤゲンの部分だけでなく、周囲に残る肉汁たぷたぷの肉が残っており、これが実に美味。

濃いめの深い旨味があるタレは、粘度はそれほどなくさらっとしています。それがタレの味一色にせず、程よい塩梅で肉の美味しさを引き出しているようです。

カシラやシロもくどさがなく、鮮度の良さもあってか味がよく余韻は軽い。

鳥つくね(180円)

つくねはたっぷりのカラシを塗って頬張りました。想像以上にジューシーで驚きます。途中まで噛むと、切り口から肉汁が溢れてしまうため、女将さんのオススメに従って生ピーマンをもらうのが良さそうです。

冷やして引き締めたシャキシャキのピーマンは、鳥つくねと相性バツグン。女将さんが嫁ぐ頃に登場したという、品書きに記載のない食べ方です。

抹茶割り(400円)

タバスコ、コショウをいれたイタリアンなトマト割りが名物ドリンクです。ですが、抹茶割りもなかなか。甲類焼酎のキンミヤの甘さをカテキンの旨味が引き出しているような、不思議なほど甘く感じる一杯。もちろんシロップなどは入っていません。

ごちそうさま

カウンターの酒場で一人、二人でさくっと焼鳥を食べるのが好きな方ならば、気に入ること間違いなし。女将さんの人柄も素敵です。

焼台の前だとやや炭火の匂いがついてしまうので、カジュアルな服装でどうぞ。

系列店

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syupo.com

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名かとりや 自由が丘店
住所東京都目黒区自由が丘1-12-9
営業時間16:00~22:00(土日祝は13:00~21:00・不定休)
開業年1968年頃