工場できたての生ビールを片手に、北海道の形をした鍋で熱々のジンギスカンを頬張る。これぞ、札幌の夜の醍醐味!今回は『サッポロビール園』の魅力を徹底紹介します。実は同店、1店舗としては日本一のラム肉取扱量を誇るほか、全国各地にあるビール園という名称の元祖といわれているんです。
(取材協力/サッポロビール株式会社)

目次
元祖『ビール園』の圧倒的スケールに乾杯!

JR札幌駅からバスで10分ほど。日本で唯一のビール博物館であるサッポロビール博物館には、1965年までビール用の精麦工場として使われていた伝統的なレンガ建築などを活用したサッポロビール園(1966年開業)が併設されています。

北海道開拓とビールの歴史を学んだあとは皆さん目指すはビール園!

博物館併設の開拓使館のほか、ライラック館、ポプラ館、ガーデングリル、ビアガーデンの5つの飲食店とガーデンショップに分かれています。

今回訪ねるのは開拓使館。扉を開けると、そこは非日常、まるで毎晩オクトーバーフェストが開催されているかのような、巨大なビヤホールが広がっていました。巨大なケッセル(仕込釜)が鎮座する開放的なホールに、ジンギスカンの香ばしい匂いと人々の陽気な声が満ちています。

それもそのはず、サッポロビール園全体の総席数は2,000席、それがピーク時には日に2回転以上もするという、北海道でも最大級の飲食店なのです。取材時も全席予約で満席とのこと。この巨大な食のエンターテインメント空間を、北海道の地場産業の雄であるサッポログループが運営している。その事実に、地域と共に歩んできた企業の矜持を感じずにはいられません。

そもそも、今では当たり前になった「ビール園」という名前とスタイルも、ここサッポロビール園から始まったと言われているのです。まさに、すべてのビール園の元祖的存在。
北海道の形をした鍋で、いざジンギスカン!

今回体験するのは、サッポロビール園の大定番の食べ放題・飲み放題のコースです。
様々なラム肉を心ゆくまで楽しめる「キングバイキングラムづくし!食べ放題コース」(120分 7,500円)に、もちろん限定ビールも飲めるプレミアム飲み放題(2,700円)もつけて準備は万端です!

目の前に置かれたジンギスカン鍋、よく見ると北海道の形をしています。こういう遊び心がたまりませんね。

渡された紙エプロンに描かれた星と熊のロゴ、この青色が『サッポロ クラシック』を彷彿とさせて、ファンには嬉しいポイントです。

まずは「フレッシュラム」から。運ばれてきたのは、見るからに新鮮なピンク色のラム肉。オーストラリアやニュージーランド産、こだわりの一品です。

熱した鍋の上で、ジュウジュウと音を立てながら肉の色が変わっていく。この香りがまた、たまらなく食欲をそそるんです!

そしてもう一つが、昔ながらの円い「トラディショナルジンギスカン」。

こちらが懐かしい味という人も多いのではないでしょうか。

食べ放題なので、フレッシュラムはもちろん、このトラディショナルや豚、牛まで味わえるのが嬉しいですね。
物語ごと味わう、幻のビール『ファイブスター』

さて、お肉の準備が整えば、もちろんビールです。まずは、ここでしか飲めない限定復刻ビール、『サッポロファイブスター』を頼まないわけにはいきません。
このビールには、熱い物語があります。1967年にプレミアムビールの先駆けとして誕生し、絶大な人気を博しながらも一度は姿を消した幻のビール。それが、ビール園の40周年を記念して、この場所限定で復活を遂げたのです。
グラスを受け取り、一口。濃厚なコクがありながら、後味は驚くほどすっきり。甘辛いタレが絡んだラム肉を頬張り、ファイブスターをあわせていく。これ以上の幸せがあるでしょうか!
社長直伝!究極のペアリングは黒ビールにあり
ファイブスターとジンギスカンの相性に感動していると、ここで、サッポロビール園を運営する株式会社新星苑の別府社長に、究極のペアリングを伺う機会がありました。

「濃い味のジンギスカンには、この黒ビール『ヱビス プレミアムブラック』のコクが実によく合うんです。でも、後味はすっきりしているので、次の一口を邪魔しないんですよ」と別府社長。

なるほど、プロの視点は違います。早速いただいてみると、確かに!ローストされた麦芽の香ばしさと豊かなコクが、タレの甘辛さを見事に受け止めます。これは新しい発見でした。
美味しさの秘密は“4秒の魔法”にあり

それにしても、なぜこれほどまでにビールが美味しいのか。カウンターにずらりと並んだ「スウィングカラン」という特別なサーバーに、その秘密はありました。
熟練のスタッフさんが迷いなくレバーを倒し、たった4秒の「一度注ぎ」でビールを仕上げていきます。その様子は、それ自体が見事なショーのよう。この注ぎ方によって、炭酸が程よく抜け、麦芽の甘みが感じられるふんわりとした味わいになるのだとか。

一杯一杯に込められた熟練の技。それこそが、サッポロビール園のビールを、ただのビールではない特別な一杯に昇華させているのですね。歴史と物語、そして最高の技術に裏打ちされた究極の食体験。札幌の夜は、こうして楽しく更けていくのでした。
店舗詳細
品書き




店名 | サッポロビール園 開拓使館 |
住所 | 北海道札幌市東区北7条東9丁目2−10 |
営業時間 | 11:30~21:00(L.O.20:40) 12月31日定休 |
オープン年 | 1966年 |