南平『よっちゃん』昭和38年創業の名物焼鳥店。味の決め手はニンニク

南平『よっちゃん』昭和38年創業の名物焼鳥店。味の決め手はニンニク

2022年8月12日

「京王線随一のやきとり店」の看板に偽りなし。17時の開店と同時にお客さんがどっと押し寄せて満席になる圧倒的な人気店『よっちゃん』。場所は看板の通り京王沿線ですが、酒場が多い千歳烏山でも乗降客が多い調布でもなく、優等列車が通過するローカルな駅、南平駅前です。調理場を囲むカウンターには近所の飲兵衛さんでいっぱい、小上がりは家族三世代が宴会を楽しんでいます。

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口開けに入らないと満席になる!静かな駅前にある奇跡の人気酒場

東京都日野市南平。江戸時代からある平村に、1926年(大正15年)玉南電気鉄道(現在の京王線)の南平駅が開業したのが開発の始まり。八王子や都心への利便性の良さから現在はベッドタウンになっています。といっても特急電車は通過するので、多摩都市モノレールが接続するとなりの高幡不動駅の周辺と比べれば街並みは穏やかです。

駅の北側には浅川、南側はすぐに南平丘陵と自然が多く、駅前でも踏切が鳴り止めばひとときの静寂が訪れます。

駅前には飲み屋街らしいものはなく、小さな商店街と食品スーパーがある程度なのですが、一軒だけ猛烈にお客さんを集めている店があります。それが、今回ご紹介する『よっちゃん』です。

初代が屋台で創業したのが1963年(昭和38年)。現在は三代目が中心となって切り盛りしています。

店主の代替わりの分だけ常連さんの年齢層は幅広く、若い家族連れから年配の夫婦、一人飲みを楽しむ黒帯飲兵衛までさまざま。そんな地元のみなさんが開店直後から押し寄せるので、取材時は平日にもかかわらず10分もしないうちに満席となりました。

年季の入ったカウンターは、古くても掃除が行き届いており、酒場特有の熱気も相まって実に居心地よく感じます。

品書き

お酒

樽生ビールは東京の老舗に強いサッポロ生ビール黒ラベル。昔ながらの大きなジョッキで、中:620円、大ジョッキ:820円。瓶ビールは、大瓶でアサヒ、キリン、サッポロから選べます。

サワー類はレモンサワー:440円、グレープフルーツサワー:460円、男梅サワー:460円など。日本酒は看板も書かれている八重寿銘醸(大曲)の八重寿:1合370円をはじめ、賀茂鶴酒造(西条)賀茂鶴 300ml:700円、鶴正酒造(伏見)鶴正宗 700ml:700円。

料理

マグロ中落刺し:600円、ネギトロ:580円、いか刺身:460円、〆鯖:460円、厚揚げ:240円、鶏手羽先:570円、ポテトサラダ:390円、豚耳ベーコン:400円など。

焼鳥:90円~は、レバシロカシラタンハツナンコツネックコブクロ鳥皮若どりつくね。

まるで縁日!ゴウゴウと焼き上げる焼鳥にビールが進む

サッポロ生ビール黒ラベル 中ジョッキ(620円)

お通しは屋台の頃からキャベツなんだよ、と常連さん。それと一緒にやってきました、一杯目の生ビールです。酒場で最初に口にはいるものは、一杯目にビールを飲む人が減ったとはいえ、やはりビールではじまる人は多いでしょう。こんな極上の一杯がでてきたら、もうそれだけで嬉しくなってしまいますよね。

凍るギリギリまで冷やしたジョッキに、鮮度よしの黒ラベル。それでは乾杯!

ネギトロ(580円)

皆さんに習ってネギトロを。寿司下駄に豪快に盛られています。中落ちなどほかにもマグロ刺し系があり、常連さんたちは焼き物までのつなぎや箸休めとして摘んでいる様子。人気のおつまみです。

やきとり(90円/本)

『よっちゃん』の焼鳥は、文句なしに美味しい!強火をカリッと焼き上げられていて、噛むと肉汁が弾けるようにでてきます。味の良さの理由は焼き方だけではありません。鮮度の良さは焼き物でもわかります。

実は、表面にほんのりとニンニクが塗られた状態で焼かれています。隠しきれていない隠し味ですが、これがクセになります。

タレを頼んだ場合は、薬味としておろしニンニクがたっぷりと添えられます。濃厚で旨味強め、甘さ控えめでサラッとしたタレに、たっぷりとニンニクをなじませて、これをグリッと串の先につけてから頬張れば、ビールがぐんぐんと進んでしまいます。ニンニクは意外とあっさりとしていて匂いも控えめ。

レモンサワー(440円)

キレのある酸っぱさが、ニンニク味になった口の中をリセットしてくれます。

おひたし

ちょっとしたサイドメニューも充実していて嬉しい。聞けば近所の野菜なども使っているそうです。

厚焼き玉子焼き

厚焼きの玉子焼き。活気ある店内でもりもりと食べた焼鳥のあとに、落ち着いてつまめるおつまみがちょうどいい。

緑茶ハイ(400円)

特製の濁りきった緑茶ハイは、カウンターに集う常連さんたちに大人気です。体をいたわるような、そんな気分になりながらも心地よく酔いが進みます。

京王線に乗って別の街から飲みに来る常連さんが多いというのも納得の、明るく楽しい酒場でした。色付きメガネをかけたいかにも焼き鳥屋の大将という感じの2代目と、今風の若き2代目の家族経営です。あったかい感じの地域密着店、電車に乗って飲みに行く価値ある一軒だと思います。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名やきとりよっちゃん
住所東京都日野市南平7-17-32
営業時間17:00~22:30 ※品切れで閉店あり(日月定休)
開業年1963年
公式サイトホームページ