立川『餃子天国』唯一無二の巨大餃子。親子二代で50年の個性派酒場。

立川『餃子天国』唯一無二の巨大餃子。親子二代で50年の個性派酒場。

2021年12月9日

握りこぶし大の巨大餃子が名物の『餃子天国』を訪ねます。餃子の概念が覆される個性派餃子が17種類あり、品書きはほぼ餃子のみとシンプル。注文は一回のみと何やら難しそうですが、いったいどんなお店なのでしょうか。

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立川で50年、親子二代で守る店

新宿からJR中央線で25分。東京多摩地域では八王子に並ぶほど成長する街「立川」。駅周辺には300軒以上の居酒屋がしのぎを削る巨大飲食店街が広がっています。個性的なお店が多いのですが、なぜか餃子が名物という店が目立ちます。

今回ご紹介する『餃子天国』も、かなり個性的な酒場です。餃子ならば「酒場」ではなく「中華」ではないかと思われるかもしれませんが、同店の品書きはわずかなサイドメニューと17種類の餃子のみ。麺類や炒飯などはありません。対してお酒は30種類以上もあります。

お店は駅から徒歩10分ほど。線路横にある雑居ビルの1階奥深くにあります。偶然前を歩いていて飛び込むということはまずできない雰囲気です。

外観

50年続く老舗…らしくない、ちょっぴりポップな看板の灯りが目印です。

もともとは、駅北口の曙町で1971年(昭和46年)から営業していました。再開発にともない、1998年に現在の場所へ移転しています。店名も餃子天国に加え『New gyoza1059』の文字が追加されました。「1059」で天国。

内観

オープンスタイルの厨房と、そこに向いたカウンター席。さらにテーブル席が数卓並ぶというつくり。

仕事帰りの人々のひとりごはん兼晩酌の場であり、オフィスワーカー風の団体が宴会感覚で餃子パーティーをする光景もあります。

餃子専門の酒場なのですが、日本酒の品揃えは地酒居酒屋と思えるほど豊富です。餃子と日本酒の相性について考えるのは、このあと、実際に餃子をみてからにしましょう。

乾杯は瓶ビール「キリンクラシックラガー」で

餃子にはビール。間違いのない組み合わせ。あぁ、大人っていいなと思える瞬間です。では乾杯。

品書き

飲み物

樽生(大樽)ビールは2種類。キリン一番搾り(中ジョッキ638円)と、サッポロヱビス黒樽生(中ジョッキ693円)。同一メーカーの銘柄を複数置く店は多々あるものの、ライバル関係の2社を揃えるのは相当なこだわりでしょう。もちろんビールサーバーも2台あります。

瓶ビール(中びん649円)は、キリンクラシックラガーサッポロラガー。品書きにみ「熱処理」の文字がありますが、この2銘柄はともに今は貴重になった熱処理(生ビールではない)ビールです。

ウイスキーはブラックニッカクリアでハイボール(495円)など。酎ハイ(440円)はレモンサワー青りんごサワーなど。中央線沿線繋がりか、勝沼ワイン(赤・白グラス550円)もあります。

膨大な地酒は別メニューが用意されています。久保田八海山は880円、越乃寒梅竹林純米無濾過生原酒は990円。日本酒を楽しみに訪れる人もみかけました。

食べ物

ほとんど餃子しかない明朗なメニューです。

えびしいたけにらにんにくチーズほたてピーマンが各968円。いかあさりポークやさいポテトコーンねぎが各858円。たこかに(数量限定)、牡蠣(冬季限定)が1,078円。合計17種類。箸休めに自家製お新香(385円)と冷やしとまと(1個330円)。

English menu

英語メニューもあります。横田基地が近いですからね。ヱビスがYEBISU(Yがついている公式表記)だったりと、とても丁寧につくられています。

注文は一回まで!超巨大、天国の餃子

冬季限定・牡蠣餃子(1,078円)

握りこぶし大はある、おにぎりのような餃子が5個、どーんと餃子皿に盛り付けられました。注文した品は、冬季限定の牡蠣餃子です。

『餃子天国』では注文を受けてから具材と餡を皮に包んで焼くため時間がかかります。そのため、注文は一回だけ追加注文はできません。だからといって、はじめから2皿頼むと、普通の人は食べきれない可能性大。だってこのサイズなのですから。

厨房をみると、人気の海鮮具材をつかった海老やイカ、タコ、カニ餃子などをつくる様子が見られます。その姿は寿司を握る様子にそっくりです。

ハンバーグが5個来たといってもいいくらい。皮で包んだひき肉という意味では餃子なのですが、もはや別物です。

そして、なにより驚くのが餡となるひき肉よりも、具材のほうが多いということ。1個の餃子の中に牡蠣が無数に詰め込まれていました。餡はまるで「つなぎ」です。

1皿1,000円の餃子は高いと思うかもしれませんが、この内容をみればむしろ安いくらいかもしれません。

海鮮がこれだけ多いと、なるほど、日本酒との相性も良さそうです。餡は野菜多めであっさりとしており、ニンニクは感じません。ニンニク味にした人は、お好みでニンニクをタレにとかして食べるというスタイル。

海老餃子(968円)

こちらは海老餃子。皮に包まれた状態ではみんな同じに見え、開けば具材が溢れ出してくる…。写真が難しいのですが、海老餃子もこのとおり大量に海老が入っています。餡や皮のやわらかさとエビのプリプリ食感のコントラストが楽しく、なにより旨味があとひく一品です。

レモンサワー(440円)

お酒は追加できます。餃子1皿にビール1杯ではとても追いつきません。

お腹がいっぱいになりかけても、ついつい箸がのびる大きさだけではない具だくさん餃子をつまみに、ぐっと飲むサワーがまた心地いいのです。

不思議なお店ですが、クセになる人が多いのもよくわかります。お腹いっぱいで、ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名餃子天国(ぎょうざ天国・New gyoza1059)
住所東京都立川市錦町1-5-12 サンパークビル 1F
営業時間17:30~22:00(日月定休)
開業年1971年