昭和21年開店と長い歴史を持つ餃子店をご紹介します。立川の細い路地に店を構える『丸山ぎょうざ会館』です。創業から70年以上経過しても、いまだにピーク時は満席になる人気店。家族代々で受け継いできたヒダなしの三日月型餃子が変わらぬ名物料理です。
地図がなければ迷いそうな小路の先に
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立川駅は幾度の再開発で姿を大きく変え、駅前はモノレールが行き交う未来都市のような景色になりました。ですが、飲み屋が集まる方向へと2分ほど歩いたところに、いまだに自動車が入れない裏路地が入り組むエリアがあります。
大通りとペデストリアンデッキを行き交うだけでは、こうした裏路地の存在に気が付きません。ですが、いい酒場が結構あるのです。いままでと違った視点で街を見るのも酒場めぐりの楽しみのひとつではないでしょうか。
幅2メートルもない小路の先、いくつかのクランクを左右に曲がりながら歩くと、一軒の賑やかな餃子屋さんがみえてきます。ここが本日ご紹介する『丸山ぎょうざ会館』です。
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終戦後、大陸などからの引揚げ者によって全国に広まった「餃子」。そのため、老舗の多くは戦後すぐに開業しています。ここ丸山ぎょうざ会館もそのひとつで、終戦の翌年、1946年(昭和21年)に創業しました。
現在の店舗は比較的新しい建物です。大将の話によると、33年前に現在の店舗に移ったそうです。代々家族で切り盛りしており、毎日ご夫婦で餃子を包んでいます。
店はL字のカウンターとテーブル席が数卓という構造。餃子が看板料理ではあるものの、大衆中華という雰囲気ではなく、完全に酒場の雰囲気です。
品書き
お酒
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ビールは、大樽(生ビール)がキリン一番搾り中ジョッキ:650円、瓶ビールはキリン一番搾りのほか、キリンラガー:550円も選べます。
サワー類は、レモンサワー:450円、リンゴサワー:450円、にごり杏露酒炭酸割:450円など。
日本酒は齊藤酒造(京都・伏見)の英勲:1合450円です。
料理
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焼餃子:550円、水餃子:550円、焼き鳥:5本650円、つくね:4本650円、おでん:550円など。
一度食べるとクセになるパリパリ餃子にビールが進む
キリンラガー中瓶(550円)
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一度飛び込みで訪ねたら、なんと満席。その後、再度暖簾をくぐり、わずかに空いていたカウンター席に滑り込みました。
さあ、餃子の店ならば一杯目はもちろんビールでしょう。銘柄は樽詰め、瓶ともにキリンビールです。キリンラガーを頂いて、それでは乾杯!
焼餃子(550円)
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まさに職人さんという堂々としたオーラの大将が、素早く調理を始めます。餃子は包み置きしたものではなく、注文が入ってからカタチをつくり、フライパンへと並べていきます。
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油を多めにひいているように見えましたが、仕上がりはカラッとしていました。途中で裏返することで、両面が均等にきつね色になるまで焼いています。
最大の特徴は餃子にヒダがないこと。揚げ焼きしたところで、挟んだ皮の両面がピシャリとくっついています。まるでワンタンのようです。
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餡は肉の比率が高め。粗挽きの豚がしっかりと主張しており、旨味あるモチモチの皮とのコントラストが絶妙です。自家製のしっかりと辛いラー油と酢醤油につけて食べると、実に美味。キリンラガー中瓶を1本だけでは足りなくなりそうなほど。
泡盛(450円~)
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娘さんが沖縄にいらっしゃるそうで、沖縄でしか購入できない珍しい泡盛を送ってもらっているのだそう。どなんの30度をロックでいただきました。沖縄は地理的な関係もあって餃子が昔から人気ですし、泡盛と餃子の組み合わせは安心感があります。
おでん(550円)
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メニューはかなりシンプルで、特製のからし酢で食べる水餃子と、焼き鳥、サイドメニュー数品程度。その中にあって、常連さんたちが皆さん頼んでいた「おでん」がこちら。優しい昆布ベースの出汁が効いた懐かしい美味しさです。
家庭的な雰囲気で、お店の皆さんとの距離も近い、ほっこりとした酒場です。小さなテレビの音をBGMに、ゆっくりと流れるほろ酔い時間を満喫しました。餃子が売り切れると閉店が早まることもあるようです。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 丸山ぎょうざ会館 |
住所 | 東京都立川市曙町2-14-24 |
営業時間 | 17:00~22:00(土は21:00まで・日祝定休) |
開業年 | 1946年 |