高尾駅は昔、浅川駅と呼ばれていました。1961年に現在の駅名になったそうですが、その以前から駅前で登山客や地元の人々に愛されてきた食堂があります。
創業88年の老舗、その名も「浅川食堂」です。高尾駅から徒歩1分の距離にあり、ハイカーを乗せた西東京バスが発着するバスターミナルに面していて、休日は下山してきた人たちで明るいうちから賑わいます。
昭和初期に建てられた木造建築の駅舎もそろそろ建替え。山の玄関口らしい味わいある佇まいなだけに寂しい気分。
そっけない建物ですが、暖簾から漂う雰囲気は「いいお店」。店内から笑い声と店員さんの接客が聞こえてきます。
焼台を囲むL字カウンターとテーブル席のつくり。食堂ですが雰囲気は酒場そのもの。営業時間も下山のタイミングにあわせたものでしょうか。
ハイカーだけでなく、観光業で働く人や近隣にお住まいの常連さんも一緒になって飲んでいる素敵な空間。
ビールはアサヒスーパードライ。回転がよくフレッシュな一杯、ディスペンサーもグラスもピカピカな生ビールです。乾杯!
瓶ビール600円、生ビール500円、甲類は三楽をつかった酎ハイは400円、地酒の澤乃井ほか大関、白鶴も用意されています。
おつまみは手書きメニューから。定番は煮込みなどの暖まるもの。肉豆腐は外せません。刺身からカキフライまで和食系が一通りあります。
鯖の味噌煮を隣の方が食べていましがとっても美味しそう。種類の多さはやっぱり食堂ですね。麦ごはんとみそ汁のセット350円を加えれば定食風に。
人気の肉豆腐を。味付けは肉じゃが風で甘めであっさり系。クタクタになった玉ねぎが出汁を吸い込みまろやか。ボリュームもしっかりあってこれ一品で大満足です。もつ豆腐など煮込み系が多い。きっと下山してきた人の心を満たしてくれるんでしょうね。
酎ハイの割り材はハイサワー。割るならハイサワーで知られる昔ながらの山の手の定番割り材ですが、実はシチリア産レモンを使っているそうで、フレッシュな味わい。たっぷりはいった甲類と氷控えめなのが嬉しい。
「うちのは1合近く焼酎を入れているから濃いのよ」という話を聞いたことがあります。
最後はほっこりとしじみ汁。カウンター角の鍋でずっとぐつぐつしているもので皆さん〆で頼んでいます。
次の中央特快は何時だっけ。そんなことを気にしつつ、ギリギリまで飲んでいい気分。アットホームな食堂で暖まりました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
お食事処 あさかわ (浅川食堂)
042-661-0464
東京都八王子市高尾町1209
15:00~21:00(・日祝は14:00~21:00・月火定休)
予算2,000円