日本橋『室町砂場』明治2年創業 天ざる蕎麦発祥の名店!海老と小柱かき揚げ浸かる濃いつゆが極上

日本橋『室町砂場』明治2年創業 天ざる蕎麦発祥の名店!海老と小柱かき揚げ浸かる濃いつゆが極上

江戸時代から続く商業と文化が息づき、かつての魚河岸の記憶を留める東京・日本橋。その歴史から数多の老舗がありますが、今回ご紹介するのは明治2年創業の『室町砂場』。江戸蕎麦御三家として知られ、「天ざる」発祥でもあります。お酒を楽しむ蕎麦前(蕎麦屋酒)にも最適。昼下がりから酒を傾け、江戸の粋を味わえます。

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江戸の記憶を受け継ぐ日本橋の老舗

日本橋室町は、数百年単位で暖簾を守る店が並ぶ歴史あるエリア。その路地裏に店を構える「室町砂場」は、明治2年(1869年)の創業です。

東京の蕎麦を語る上で外せないのが「江戸蕎麦御三家」。「砂場」「藪」「更科」の3つの系譜のことで、なかでも砂場はもっとも古い歴史を持ちます。

ルーツは安土桃山時代に遡ります。豊臣秀吉の大坂城築城の際、資材である砂や砂利の置き場近くで職人向けに麺類を提供した店が、砂場の屋号の始まりです。

その後、徳川家康の江戸城築城とともに江戸の麹町へ進出。幕末の慶応年間に、麹町の砂場本家から暖簾分けを許されたの初代が芝高輪で開業し、明治2年(1869年)に日本橋本石町へ移転したのが現『室町砂場』(旧本石町砂場」)のはじまり。昭和初期の町名変更に伴って室町となり、いまの店名になりました。

同店は、昭和33年(1958年)に発足した「木鉢会」の加盟店でもあります。木鉢会は、三代以上続く東京の老舗蕎麦店だけが集まり、伝統の技術を受け継ぐ由緒ある組織。江戸前蕎麦の基本を現代に伝える名店として愛され続けています。ちなみに、『室町砂場』の店主さんは5代目です。

お昼営業が15時すぎまでと長く、ゆったり飲める雰囲気なので、昔から私は日本橋で時間ができたときにはふらりと立ち寄ってきました。今日もお昼から蕎麦前気分です。

風格ある引き戸を開けると、1階のテーブル席から奥の座敷、さらに2階の個室までゆったりとした空間が広がっています。休日や平日の昼食時は近隣会社員や観光客で賑やかですが、平日の14時すぎはご隠居さん、日本橋の黒帯さんたちら常連さんが中心で落ち着いたムード。日本橋で明るいうちから飲みたい時には最適な選択肢です。

赤星から菊正宗へ、東京仕立ての肴と天ざる

赤星と菊正宗、甘めの玉子焼で飲む

銘々盆が用意されると、さあ飲むぞという気分になります。この木彫りの銘々盆が実にいい。この上に載ったものは2割増で美味しくなる気がします。

飲み始めはサッポロラガービールの大瓶(1,100円)を選びました。現存する日本最古の銘柄、150周年の赤星は老舗に似合います。

お通しは、ちりめん山椒。実山椒の爽やかな辛味とちりめんじゃこの旨味が合わさり、酒を進ませる実によい味。

ビールの後は、菊正宗本醸造特選(1,045円)をお燗でもらいます。辛口の日本酒を温めることで、米の香りと旨味が引き立ちます。湯煎でつけて、袴にのせて運ばれてくるのがまた風情があっていいですよね。

玉子焼:880円

合わせるのは玉子焼(880円)。東京らしいしっかり出汁を効かせた味付け。

力強い鰹出汁の風味と甘みが口の中で拮抗し、辛口の”キクマサ”に負けない重厚な味わいを楽しめます。

皿の上では固くしっかり焼かれているようにみえますが、箸を入れるとじゅわっと出汁が滲んできます。

濃いつゆに浸る天ざるとこだわりの蕎麦

天ざる:2,200円

蕎麦は、名物の天ざる(2,200円)を注文しました。これが元祖の天ざるです。

一般的な別添えの天ぷらせいろとは異なり、熱々で濃い味のつゆの中に、芝海老などの海老や青柳小柱のかき揚げが予め浸された状態で提供されます。

昭和20年代、暑い夏場でも天ぷら蕎麦を食べやすくする工夫から考案されたもの。

つゆは、昆布を使わず本枯鰹節と濃口醤油だけで引かれています。食べ進めるうちにかき揚げの胡麻油と魚介のエキスがつゆに溶け出し、初期の醤油の立った味から、油分と旨味が広がった濃厚な味わいへ変化します。この濃い味のつゆが、酒の肴としてもすばらしく、蕎麦が乾くのを心配しつつもう一本お銚子が欲しくなります。

さて、室町砂場では、「ざる」と「もり」で蕎麦の打ち方を変えています。「ざる」は蕎麦の芯の部分にあたるさらしな粉を玉子でつないだもので、白く滑らかな喉越しと上品な甘みが特徴。

さらしなのざるは白くツルツルとしている

「もり」は挽きぐるみ粉などを二八でつないだもので、蕎麦本来の土の香りと力強い風味が味わえます。天ざるの白く美しい蕎麦を、熱いつゆに少しだけ浸してすすります。

蕎麦は空気に触れると乾燥が始まるため、乾き切る前に一気に手繰るのが美味しく味わうコツです。お酒に夢中で案の定、少し乾いてしまいましたが、「日本酒をかけてほぐしたいけれど、せいろとお盆をぬらすのは申し訳ない」思いつつ、と一気に手繰ってごちそうさま。

昼下がりの日本橋で満たされるひととき

歴史ある空間で、気の利いた肴と菊正宗のお燗を味わい、伝統の天ざるで締める。胡麻油が香る濃いつゆと冷たい蕎麦のコントラストは、東京の蕎麦文化の奥深さを実感させてくれます。日本橋周辺へお出かけの際は、老舗の暖簾をくぐって、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょう。

店舗詳細

お酒のメニュー
おそばのメニュー
お料理のメニュー
蒸し物、そばがき、甘味のメニュー
店名室町 砂場
住所東京都中央区日本橋室町4丁目1−13
営業時間11時30分~15時30分
16時30分~21時00分
日定休
創業1869年