府中で魚を食べるなら『磯吉』です。創業は1977年(昭和52年)。現大将は2代目。府中駅南口の古い飲み屋街にあった酒場ですが、再開発で真新しい商業施設に姿を変え、磯吉はその中で変わらず良心的な価格で営業しています。
目次
駅直結の施設内にあっても、良い酒場は良い
平成に入ってからの京王線府中駅の変貌ぶりは目を見張るものがあります。たくさんの線路を渡る開かずの踏切に、平屋の駅舎があり、駅前には路地にびっしりと飲み屋が連なっていました。その町並みは大國魂神社の門前町というよりも、府中に拠点を構える大手電機メーカーで働く人々や競馬場利用者が闊歩する、少し怪しくてパワフルな歓楽街といった印象でした。
それから30余年。駅は高架になり京王系列の駅ビルが建ち、駅前の雑多な飲み屋街は整理され、高層マンションと商業施設に姿を変えました。
昭和の面影が完全に消された京王府中駅ですが、駅ビル内には昭和から続く酒場が営業しており、新しい施設の中で変わらずに存在しています。酒場好きにとって、これがどれだけ嬉しいことか。
外観
昭和52年に創業した『磯吉』は、府中の再開発ビルの中で変わらず営業しています。周りはチェーン店に囲まれているため、”あの頃”の熱気が失われてしまっているのではないかと心配になりますが、実際に訪れると実に素晴らしい「酒場感」が漂っています。
若くて元気な店員さんたちと共に、ベテランの方々も活気を持って調理や接客を行っています。壁一面に貼られた短冊は、どれも美味しそうで選ぶのに迷ってしまいます。背もたれの低い椅子に座る常連客たちの笑顔も、昔から変わらないまま。
テーブル・カウンターあわせて35席。
品書き
お酒
- サッポロ生ビール黒ラベル:中605円
- 瓶ビール サッポロラガー大瓶:715円
- 瓶ビール サントリー・ザ・プレミアム・モルツ中瓶:715円
- ホッピーセット(ホッピー・黒ホッピー):418円
- デュワーズハイボール:418円
- 酎ハイ・濃いめのレモンサワー・宇治抹茶割り:各418円
- 磯吉サワー:418円
- 本格焼酎 からり芋:440円
- 日本酒 小山本家酒造(埼玉・指扇) 温情1合:275円
- 冷酒 笹一酒造(山梨・大月)笹一純米:550円
- 冷酒 黒龍酒造(福井・永平寺町) 九頭龍:605円
日替わりメニュー
お刺身
- 三点盛り:605円
- まぐろ:715円
- 平目:605円
- やりいか:605円
- 自家製〆さば:660円
焼きもの・煮もの
- サザエつぼ焼:715円
- ぶりかま塩焼:825円~
- 生にしん塩焼:660円
- 真鯛かぶと煮または酒蒸し:660円
- あら煮:330円
- あさりバターまたは酒蒸し:660円
- さばみそ煮:550円
揚げもの
- きす天ぷら:550円
- 芝えびかき揚:660円
- あじフライ:550円
- 若さぎ唐揚げ:495円
料理
- とんちゃん(名物):495円
- 酢だこ刺:550円
- ガツ刺:495円
- 手作りメンチカツ:495円
- 串カツ:495円
- かさごの唐揚げ:715円
- 焼鳥5本盛り合わせ:660円
市場仕入れの魚介ととんちゃんは外せません
サッポロラガー大瓶(715円)
15時開店の店。17時頃に伺ったのに9割方席が埋まっています。さすがは府中の名物店。旧店舗時代からビールはサッポロで、とくに赤星(サッポロラガー)がよく注文されていた記憶があります。新しい店舗でもそれは同じ。トクトクとタンブラーに注ぎ、それでは乾杯!
刺身三点盛り(605円)
磯吉を訪れる多くのお客様の目当ては、なんと言っても新鮮な刺身です。日々市場へ仕入れに行くそうで、常時10品以上の魚種を揃えています。特に自家製の〆鯖は評判が高く、また三点盛りもおすすめ。基本的なマグロに加えて、平目や鯛なども盛り付けられます。手頃な価格も魅力の一つです。
芝えびかき揚(660円)
日替わりメニューから、芝えびのかき揚げを注文してみました。店内が混んでいても、さっと出来上がるのはさすがです。
油をしっかりときっているので、ザクッとした食感が楽しめます。ハリのある海老とのコントラストが絶妙です。抹茶塩と天つゆの両方が用意されているのも嬉しいポイントですね。
磯吉サワー(418円)
酒場で店名を冠した酎ハイがあれば、頼んでみたくなるというもの。高麗人参、生姜、山椒を入れた飴色の一杯。
とんちゃん(495円)
刺身と並ぶ人気のメニューは、定番料理の「とんちゃん」。初代考案の料理で、ホルモンの味噌汁です。脂を落としきっていない豚のシロですが、クサミやしつこさを感じさせないのはさすが。一味や辛味噌を溶かして味にメリハリをつけていただきます。
ごちそうさま
『磯吉』の品書きの表紙に掲載されているサッポロビールの写真は、実は9年前に移転前の『磯吉』を取材した際に筆者が撮影したものです。嬉しいことに、今もその写真を使用していただいています!
『磯吉』は15時に開店し、京王線の改札に直結した便利な立地。傘を持たずに行けるのも魅力です。店内の雰囲気は昔と変わらず、懐かしさを感じました。
府中を訪れた際には、ふらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。なお、グループで飲みに行く際は予約されることをオススメします。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 磯吉(イソキチ) |
住所 | 東京都府中市宮町1-100 ル・シーニュ 1F |
営業時間 | 営業時間 15:00~22:00 日曜営業 定休日 ビルの休館日を除いて年中無休 |
開業時期 | 1977年 ※現在の場所は2017年7月14日~ |