国分寺「いながき」 変化する街、ビルに囲まれ今日もコの字は輝く

国分寺「いながき」 変化する街、ビルに囲まれ今日もコの字は輝く

2018年10月2日

国分寺駅北口は長きにわたる再開発が完了し、駅ビルもロータリーも真新しく輝いています。バラックのような建物に一杯飲み屋や食堂が立ち並んでいた、かつての面影はもうありません。

それでも先へと進んでいくと、ビルの影や細い路地に、「あー、かわっていないね」と呟きたくなる風景が残っていたりします。

たとえば、両側をビルに囲まれても昔ながらの飲み屋の造りで続ける「もつやき専門いながき」もそんな懐かしい景色です。

入口に面してコの字で配したカウンターと奥にに厨房。平屋でシンプルな、典型的な東京のもつ焼き屋の構造です。地元のご隠居さんや仕事帰りの会社員たちがビールや焼酎片手に一献を楽しんでいます。

白衣に和帽子姿の職人さんが2名で切り盛り。軽く背筋を伸ばして飲むのにちょうどいい雰囲気です。会釈して着席。それと同時にキャベツがやってきますので「ビールを」とお願いします。カウンターの酒場はテンポよく。生ビールはありません。

トトトと注いで、キリンラガー(560円)で乾杯!

お酒は灘の白鶴(420円)と信州大町の富久蘭。燗酒ならば燗つけ器でお銚子を温めてくれます。老酒(480円)もあります。中央線沿線はなぜ老酒を置く店か多いのか、いつも不思議です。

串カツ屋のようにザルのキャベツを備え付けのソースにくぐらせてパリパリしていると、板さんが「はい、まくら(170円)とタン(140円)ね」と、もってきてくれました。

青い丸絵皿も独特で、ちょっと楽しい気分。そして、なんといっても「まくら」が嬉しいです。

醤油強めのタレへ繰り返し浸け焼きをしたきつね色。つくねにニラをぐるぐると巻いたもので、炭火とニラの風味と肉汁、そしてタレのコクがあとを引きます。すかさず、もつ焼きに負けない飲みごたえあるキリンラガーをすっと追いかけます。

シソ巻(250円)は、豚バラとシソを巻いたもの。お腹の余裕やお酒の進みに合わせて、追加でぽつりぽつりとお願いして、自分のペースでゆったりと。

お酒はビールから焼酎へ。グラスになみなみ注がれる甲類焼酎をきっゅと飲んで、梅エキスをぽちょんと垂らしてみたり。

煮込みは冬限定だったり、脳みそ(500円)があるなど、シンプルなメニューの中にも「おっ?」と気になる料理がある「いながき」。ふらっと立ち寄り、コの字の魅力に浸るひとときはいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

いながき
042-323-5835
東京都国分寺市本町2-11-4
16:45~21:30(日祝定休)
予算1,600円