分倍河原『扇家』味楽街の最古参で大ぶりもつ焼き片手に過ごす夜

分倍河原『扇家』味楽街の最古参で大ぶりもつ焼き片手に過ごす夜

2020年9月23日

京王線と南武線が接続する分倍河原駅は、聖蹟桜ヶ丘や府中を抜いて京王本線34駅で第三位の乗降客数を誇る乗換駅。人が集まる場所には酒場あり。駅前には小さな横丁「味楽街」があり、日々近隣で働く人々を中心に賑わっています。

今日は味楽街で最古の酒場、1977年創業の焼き鳥店「扇家」をご紹介します。昭和で時間が止まったような空間で、のんびり暮れゆく多摩の夜を楽しみたいと思います。

分倍河原のある府中といえば、大國魂神社。そして東京競馬場など。産業でみれば、府中は東芝の街。分倍河原の駅前には、東芝グループをバックに新田義貞公之像が鎌倉を見つめています。

利用者の多い駅ですが、分倍河原駅は非常にコンパクトなつくりです。駅ビルなどはなく、そのまま改札から徒歩30秒で駅前商店街、飲み屋街に抜けられます。

チェーン居酒屋も多いですが、惹かれるのはやっぱりこういう横丁。25mほどの路地には、コンパクトな酒場がひっそりと営業しています。

開店時間を少し過ぎた17時ごろ。店先の大提灯に明かりが灯りました。さぁ、名物のもつ焼きを食べに暖簾をくぐります。

飴色の空間。暖色照明に照らされた短冊は、壁いっぱいを覆っています。

テーブル席に加え、一人飲みに嬉しいカウンター席もあり、こちらは常連さんが次々といらっしゃいます。

さてさて、まずは瓶ビールから始めますか。ビールは樽生が黒ラベル(520円・以下税別)、瓶でサッポロ黒ラベルとサッポロラガー(650円)が選べます。

酎ハイ類は400円、紀州梅干しサワーや豆乳ハイといった変わりだねもあります。日本酒は景虎、一ノ蔵、酔鯨など500円前後。

トトトと赤星ことサッポロラガーを240型タンブラーに注いだならば、軽く持ち上げ一人そっと乾杯です。

お通し(300円)のおからはほっとする味。

メインのやきとりは大ぶりで、これが人気メニュー。1本120円です。

一品料理は味噌ベースのモツ煮込み(400円)や唐揚げなど、酒場でおなじみの顔ぶれです。手元の品書き以外にもグループ客に人気の焼きそば(450円)など、まだまだ料理はいろいろあって、店内の短冊をぐるりと見渡さないと見逃してしまいます。豚足焼き(500円)なんていうのも、どこかに隠れています。

おもしろいのは黒板ニュー。お刺身や季節ものの煮魚、焼き魚などが加わり、黒板メニュー目当てという常連さんも多いようです。

鰻用のぼっか串を使用した大串のやきとり。カシラ、ハツ、タンと1本ずつ、塩ならばにんにく味噌がついてきます。

この味噌が大変ビールによく合う味で、1串でビヤタンを1杯あっという間に飲んでしまえるほど。みっちりと丁寧に串打ちされたお肉は、噛んだ瞬間に肉汁が飽和していたかのように溢れ出ます。

串は1日10本限定のナンコツがもしあれば、それを頼むのがよいと常連さん。

つぎは豆乳ハイ(400円)。酒場で飲む豆乳ハイはなんだかほっとしていいんですよね。

いろいろある料理から一際気になるメニューを発見。「山芋のまぐろ巻き」(600円)とはいったい。酒場で想像がつかない料理があればとりあえず頼んでみたくなるのは、酒場好きの性というもの。

まるで鉄火巻き。でも、ごはんの代わりに山芋千切りがたっぷりはいった一品でした。手間をかけて丁寧に作ってくれるのが嬉しいですし、なにより最高のお酒のおつまみです。

皆さん次々とバイスサワーを注文されていたので、こちらもバイスサワー(400円)を。すっぱ旨いレトロな味。こういう酒場にぴったりですね。

キムチらっきょうをちびちびと頂きつつ、のんびりとした時間を楽しみます。

お隣の方は、お店の方と競馬談義。よい結果になったみたいで嬉しそう。そんな方の横で飲んでいると、こちらも楽しい気分になってきます。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名扇家
住所東京都府中市片町2-21-17
営業時間営業時間
17:00~21:00(L.O.20:00)
日曜営業
定休日
月曜日
開業年1977年