泉『鮮魚食堂うろこいち』いわき・小名浜で海鮮丼食べるならこの食堂

泉『鮮魚食堂うろこいち』いわき・小名浜で海鮮丼食べるならこの食堂

2020年9月21日

福島県いわき市、小名浜港。常磐の海運拠点として江戸時代から栄えてきた港は、石炭の産出によって日本有数のエネルギー産業を支える港として整備され、現在も重工業やエネルギーを支える主要な港のひとつです。

同時に、小名浜は福島を代表する漁港町でもあります。遠洋のマグロやかつお、さんま、近海のメヒカリなど200種類をこえる魚介類が水揚げ・検査されています。

そんな小名浜で、お昼から魚で一杯楽しむために食堂「うろこいち」へ向かいました。

東京から水戸や日立をこえて2時間。小名浜の最寄り駅は常磐線の泉駅。泉から路線バスで簡単アクセスなのですが、街の中心駅であるいわき駅(写真はいわき駅)からも行くことができます。

駅前に整備されたバスターミナルから、新常磐交通バスに乗り込みます。本数は比較的多く、いわきの町中を眺めることもできておすすめ。意外にも都市型の路線バスでした。

扇状地、丘をこえ、一部区間では太平洋に近い道路を走ります。変化に飛んだ車窓は、街を知る楽しさをくすぐります。

バスは港にも近いショッピング施設前に到着。大きくかなり整備されている小名浜漁港。遠洋の大型船や巨大な網を積んだ船、近海向けの船など、まるで漁船の見本市のよう。漁港には魚河岸や漁協の施設、水産加工会社なども立ち並びます。

そんな港関係の職場で働く人向けの地域密着のいいお店がいくつかあって、スーツ姿の常連さんや、鮮魚輸送のトラックドライバーさんたちが休憩しながらお食事中です。

目指す「うろこいち」もそんな一軒。水産仲卸が平成元年にはじめた食堂で、ザ・観光レストランというものではなく、平日は地元の人向けで、ときどき観光客もやってくるようなお店です。

飾り気のない木の椅子とテーブル、蛍光灯で照らされた店内。アルミサッシの向こう側の水産加工場からお姉さんがやってきて接客してくれます。観光シーズンには広間も使っているそうです。

旅行者や出張で訪れた人のお目当ては「ちらし丼」(1,350円)。

営業時間は日中時間帯のみにも関わらずお酒は一通り置いてあるのが面白い。かつての築地場内もそうですが、漁港の食堂は昼飲み対応が整っています。

おつまみは、小名浜で水揚げされたマグロや、近海のイカ、柳鰈、サバなど、単品で手頃な価格でだしてくれます。刺盛りは1人前540円から。

加えて季節の魚も様々登場するそうです。場所柄、ツーリングやドライブで訪れる人も多いようですが、地酒やビールを我慢するのはもったいない品揃えです。ドライバーさんの横で申し訳ないのですが、ここはしっかりとお酒を頼みます。

港町、お昼から飲む瓶ビールは最高なのです。大瓶のスーパードライ(600円)。では乾杯!

お酒についてくるおまけの小鉢には、小名浜の本マグロ。これがまた美味しくて、ビールを進ませます。

「うろこいち」を人気店にした看板料理のちらし丼。酢飯の上にまぐろやカツオ、近海のイカに三陸のホタテ、大きなボタンエビがたっぷりのった贅沢な一品。

すべてが小名浜の魚介類ではありません。震災以前と比較し1/4まで水揚げが減少してしまった小名浜は、まだまだ復活の道半ば。それでも、港を代表する人気店が、可能な限り地元の食材で海鮮料理を提供しているのですから応援の意味も込めてしっかり食べて飲みたいものです。

日本酒をもらいつつ、カレイの刺身をひとくち。大ぶりの魚のようで、脂ののりも申し分ないものです。

港の岸壁から数メートルしか離れていない「うろこいち」。被災後に応援に駆けつけてくれた方へのメッセージは、今もお店で一番目立つ場所にはられています。それはメニュー以上にわかり易い場所に。

お酒を飲んで、地元のお店で土地の味を食べることでできる応援があると思います。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名うろこいち
住所福島県いわき市小名浜字栄町66-40
営業時間営業時間
9:00~16:00頃
日曜営業
定休日
毎週水曜日(祝日の場合は翌日)※2013年5月7、8日はお休み。
開業年飲食店としては1989年