ポークソテー、別名トンテキ。浅草、日本橋のような東京の歴史あるエリアや関西に名店と呼ばれる店がありそうですが、肉に強い福島県にも、遠方からわざわざ訪ねたくなる老舗の人気店があります。『元祖肉処 源氏』という力強い店名にも惹かれるではありませんか。
次々人が吸い込まれていく小さな階段の先に
福島県中通りの中核市、郡山。意外ですが県都・福島市よりも人口は多く、仙台市に次ぐ東北第2の規模を誇ります。商業が盛んで、駅前から郡山市役所にかけてかなり規模の大きな繁華街、飲み屋街があるため、酒場好きなら一度は訪ねてほしい街です。
郷土料理が多い会津、魚介類が豊富ないわきと異なり、郡山の「食」といえば、やはり肉。いくつもの名店がありますが、駅前の『源氏』は外すことのできない存在です。
夜がメインの駅前歓楽街にあるため、お昼時は静まりかえっていますが、次々と地元客が「源氏」の小さな階段を軽快な足取りで登ってきます。会社員グループや、子供を連れた3世代の家族連れなど、客層は実に様々。
取材日が日曜日だったため写真では一階にシャッターが降りていますが、普段は元気に営業されているお花屋さんです。
レトロな階段をゆっくりと昇りきると、そこにはどこか懐かしい雰囲気のガラス扉が。老舗好きとしては、堪らない瞬間です。
ベテランのマスターと女将さんが中心となって切り盛りされています。カウンター主体で畳敷きの座敷もある造りは、昭和の洋食店にタイムスリップしたような気分。
カウンター越しにすべての調理工程を眺めることができるので、マスターの丁寧な仕事がよくわかります。強火でグツグツと煮立っているデミグラスソース鍋はなぜ焦げないのか不思議です。
一番人気の源氏焼とは
日中から飲んでいる人は多くないようですが、笑顔でだしてくれたキリンラガーの中瓶。地元で人気の日本酒も用意されており、夜は飲む人も多いようです。
ビアタンを満たして、それでは乾杯!
注文を入れると、おもむろにマスターが鈍く輝く冷蔵庫の扉を明け、巨大な肉の塊を取り出し、豪快に一枚分をカットしました。切り置きしないのはマスターのこだわりなのでしょう。
表面をソテーしたあとにオーブンへ入れ軽く芯に熱を通し、ザッと陶磁の大皿に載せ、デミグラスソースをたっぷりとかけて出来上がり。マスターの仕事の合間に女将さんがサラダ、味噌汁、ご飯を手渡す。ベテランの阿吽の呼吸が心地良いです。
カットして提供されますが、それでも噛むとジュッと肉汁がにじみ出て、コク深いデミグラスソースの風味とともに味覚、鼻腔をくすぐります。しっとりとしていて柔らかい。年配の方の姿が多いのも納得です。
これはたまらないと、キリンラガーをもう一本。旅先の昼食といえば、ついつい郷土料理店を選びがちですが、「こういう地域密着の大衆洋食店もいいじゃん!」と改めて感じたひとときでした。
ごちそうさま
創業約60年。ベテランマスターが基本に忠実に調理する洋食の名店。もしも浅草にあったら大行列になるでしょう。
郡山駅から3分。通し営業なので遅い昼食・昼飲みでも利用できますから、ご旅行中に列車を途中下車して立ち寄られてみてはいかがでしょう。
詳細
メニュー
- 瓶ビール キリンラガー中瓶:800円
- 日本酒:500円
- 源氏焼(デミグラスソース)ロース:1,800円・ヒレ:2,400円
- 三昧焼(しょうゆ味)ロース:1,800円・ヒレ:2,400円
- 味噌焼(みそ味)ロース:1,800円・ヒレ:2,400円
- 月見焼(卵とチーズ)ロース:1,800円・ヒレ:2,400円
- レモン焼(塩味)ロース:1,800円・ヒレ:2,400円
- 焼かつ:1,800円
- ハンバーグ:1,400円
- 海老フライ:2,300円
店名 | 源氏 |
住所 | 福島県郡山市駅前1-5-3 源氏ビル2F |
営業時間 | 月・火・水・木・金・土 11:30 – 21:00 日・祝日 11:30 – 20:30 不定休 |
創業 | 1966年 |