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町田は小田急百貨店やルミネといった駅ビルだけでなく、マルイやヨドバシカメラなども立ち並ぶ南多摩地区でも有数の商業地で、駅周辺にも飲み屋街がほどほどの密度で広がっています。JR横浜線と小田急線の乗換駅で複雑な構造になっていることもあり、十字に交差する両路線に区切られて、大きくわけて4区画の飲み屋街が形成されています。
町田がいまのような大規模な商業地になるのは戦後の話。意外にも小田急線の町田駅の開業は昭和に入ってからと比較的新しい街なんです。歴史や交通の推移と飲み屋街の発展には関連性があるゆえに、あ、この話、長そうなので省略します。
さて、本日は町田を飲み歩き。ここで飲むのは何年ぶりでしょうか。結構町田で飲むという方は多く、友人からも町田の居酒屋を紹介して欲しいと相談を受けることは多い。それならば最新の酒場事情を把握せねばということで降り立ちました。目指すお店もありますし。
今回はここ、「やまと屋」。2014年春開業の炭火焼きやきとん専門店で、白い暖簾に黒い文字がびしっと決まっている雰囲気のいい大衆酒場です。
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以前より、業界関係者から「町田のやまと屋に”なゆさん”が行っていないのはおかしい」とまで言われていましたが、念願の訪問となりました。
「もっと早く来ておくべきでした。」それが素直な感想です。自分の足で稼がないとだめですね。もうカウンターに座った時点で、その雰囲気のよさから嬉しさ満点にっこにこです(笑)
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L字カウンターに炭火の焼台、カウンターは奥行きがありゆったり飲める構造です。このテーブルの広さって落ち着きとリンクしますよね。広いっていいな。
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ドリンメニュー。黒ラベルだし赤星で、キンミヤ焼酎にホッピー、ハイッピー、天羽の梅からバイス、幻のホイスまで。ここは東京ご当地ドリンクのテーマパークかというくらいの堂々たる顔ぶれ。電気ブランもあります。S250円、駆け付け一杯にぐいっと飲んでおく?
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大びん赤星580円。でんと登場、メニューラインナップを見る限り、サッポロの営業さんパワーではなくて、オーナーの平尾さんの好みで選ばれているように思えます。やっぱり下町的やきとん店には赤星が似合いますね!
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昔懐かしビヤタンをもらって、では乾杯!毎日飲んでも飲み飽きない、それが100年以上続く国産老舗ビールの魅力。
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やきとんは120円から、大ぶりでぷりぷりのレバも美味しそう、チレ、テッポウ、ガツなど豚もつの美味しいところが一通り。サイドメニューは簡単なものだけで、このあたり、もつ焼きで勝負している感があって好き。お通しはありません。
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お惣菜類は奥さんの手作りと常連さん情報。ポテトサラダが絶品とオススメいただきました。
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日替わりのホワイトボードメニューから、はらみポン酢を最初の一皿に。すぐ出る冷菜かとおもいきや、注文を受けてからハラミを一度串焼きして、そこにポン酢とネギ、柚子わさびをつけて食べるというもの。手間がかかっているのに280円、素敵です。
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お店オリジナルのにごり烏龍茶ハイ(380円)を試してみることに。砕いた茶葉のような味ですが、どんな製法なのでしょう。濃厚ながら渋味はなく飲み心地がいい。くいくい飲んで酔っ払いそう。
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つくね串を。味付けは塩で。だんご状のものですね。
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下町ハイボールがあるとなれば、頼まないわけにはいきません。元祖酎ハイ、色付きの謎のエキス入りの「ボール」です。ベースはキンミヤ焼酎で、エキスは「謎の」と先に書いていますが、これは天羽飲料製造有限会社(台東区)のAハイボールの素ですね。氷なし、すりきりグラスに入れる公式レシピの通り。
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おまちかね、やきとんがでてきました。タンやハツなど。練りカラシをぐいっと塗って頬張れば、笑顔になること間違いない。やきとん好きで頻繁に食べ歩いていますが、中野区発祥の系譜とも、もつ焼きチェーンな流れでもないオリジナルのスタイルは久しぶり。小ぶりながら丁寧な串打ちで満足。
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居心地がよく、つい長居してしまう、都心や下町のもつ焼き店ともどこか違う、アットホームで優しい時間が流れている酒場です。キンミヤ焼酎で、ホッピーやハイッピーを片手にのんびりやるのも良さそうです。
席数は20ほど。テーブル席も多めに配置されていますが、一人でカウンターでゆっくり飲みたい人にイチオシのお店です。どうして、もっと早く飲みに来なかったんだろう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
やまと屋
042-721-3060
東京都町田市中町1-18-2 ウッドベル 1F
16:00~23:00(日定休)
予算2,000円