五反田『あさり』ソニー通りの名物酒場で肉豆腐とキリンラガー

五反田『あさり』ソニー通りの名物酒場で肉豆腐とキリンラガー

2016年8月29日
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五反田から御殿山へ登る坂道には社会人なりたての頃の思い出が詰まっています。御殿山の会社に勤めていた私は、仕事が忙しくなると平気で終電を越えて働くような日々でした。「そろそろ飲みに行くか」という先輩の声を待ちつつノートパソコンとにらめっこしていた日々が懐かしい。いまの飲兵衛生活と真逆のタイプでした(笑)。

大崎へも品川にも遠すぎず近くないという場所にあって、飲みに行くのはいつも五反田。都道317号、通称ソニー通りと呼ばれている道を下って行くとだんただんと増えてくる赤ちょうちんに、「今日もおつかれさま」という気分が高まり、嬉しかったように覚えています。

当時、先輩に連れられてかなりの酒場を巡りましたが、まだ店名を覚える余裕なく、連れて行かれるままに飲み歩いていました。今回紹介する「あさり」も、昔の写真を見直すと、私も何度か会社員時代に飲みに来ていたようです。

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何年ぶりでしょうか、思い出すまでに時間がかかりましたが、五反田の会社員御用達酒場「あさり」を今回ご紹介いたします。味わい深い昭和酒場ながら、脳学者の茂木健一郎氏(ソニーの研究員)をはじめ先端技術に携わるソニー社員たち御用達としても知られています。どんなに尖ったエンジニアだって、仕事終わりの一杯は大衆酒場というのが日本らしい。

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品書きはとことん大衆酒場という内容。価格は500円前後で、ボリュームのある料理が特長です。一人で飲みに来たら頼み過ぎにご注意を。黒板メニューは毎日書き換えられているので、仕入の状況にあわせて旬を感じられるのが嬉しい。

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定番のおつまみは控えめですが、どれもずっと前からファンの多い料理揃いです。

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ビールは生も瓶もキリン。瓶ビールはガツンとくる苦味が昭和酒場の料理とベストマッチなキリンラガーです。裾が絞られている上品なデザインのキリンビアタンにトトトっと注いで、それでは乾杯!

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生ビールは今は珍しくなった樽ごと冷やす大型の空冷式ディスペンサーが今も現役です。

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まずはクジラベーコンから。懐かしの鯨ベーコンの朱色と野菜の緑がどこか懐かしい。大盛りのキャベツやきゅうりをもりもり食べて、鯨ベーコンの塩気でラガーをぐいっと。

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あさりといえば肉豆腐。450円とリーズナブルなのに、これでもかと大皿に豆腐一丁と肉、玉ねぎが盛られています。透き通った割り下的なお出しはしっかり甘く、この一皿だけでも十分なインパクトがあります。素朴な肉豆腐なのに家庭では再現できない味なのは、きっと大鍋で大量に作るからでしょう。

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瓶ビールはキリンラガーだけでなく六本木生まれのハートランドがオシャレな顔して並んでいます。

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一番搾りスタウトも置いていますので、ハーフアンドハーフをキメるのもあり。

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一品700円と他のメニューよりも割高ながら、抜群に美味でボリューム満点の「鯛かぶと煮」。照り照りの甘いタレが、染み込みすぎずに絶妙なバランスです。この煮豆腐だけでも食べたくなりますよね。

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沢の鶴を定番酒にして、その他地酒も八海山や田酒など各種並びます。客層はロマンスグレーが似合うお父さんたちが中心なので、皆さん徳利を傾けて飲んでいる姿がきりっとしていてカッコイイ。

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優しい表情で長年常連さんから親しまれている店主さんと奥様のお二人で経営する家族酒場です。昭和の味わいが感じられる大衆的な老舗酒場はこの界隈には珍しい。五反田で飲む機会があるときに、緊張感のほぐれるほっこり酒場をお探しの際は「あさり」で間違いありません。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

あさり
03-3441-0839
東京都品川区東五反田2-4-5
17:00~23:00(日祝定休)
予算2,000円