大井町『肉のまえかわ』ヤミ市由来の横丁にある創業60年の肉屋で飲む

大井町『肉のまえかわ』ヤミ市由来の横丁にある創業60年の肉屋で飲む

2022年5月11日

肉屋の立ち飲みといえば大井町の『肉のまえかわ』が有名です。現在は精肉店としては営業しておらず、ローストビーフなどの惣菜をつまみに、冷蔵庫で冷えた缶ビールや酎ハイを楽しむ立ち飲み酒場、低価格酒場(いわゆるセンベロ)になっています。

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ヤミ市由来の商店街にある精肉店

東京都品川区・大井町。大井町駅は品川区役所の最寄りであり、再開発によって大型商業施設が立ち並ぶようになった近代的な街並みが広がります。ですが、この街には上辺だけ見ていては気づくことが出来ない、人間くさい奥行きと厚みも存在します。

戦後、大井町には大きなヤミ市が存在しました。現在も東口のバス通りの裏には、東小路飲食店街と平和小路というふたつのヤミ市由来の飲み屋小路が残されており、夜になると大勢のお酒好きが闊歩します。

外観

飲み屋が密集する夜型の「東小路飲食店街」と、昼型の商店街「すずらん通り」が交差する場所に、今回ご紹介する『肉のまえかわ』があります。

創業は1960年頃。創業当初はすずらん通りの精肉店「肉の前川」として営業していましたが、そうのちお客さんが斜向いの酒販店で買ったお酒を「肉の前川」の惣菜をつまみに飲むようになって、こうして立ち飲みへと姿を変えていきました。

いまでは、開店とともに仕事帰り風の人々がどっと押し寄せ、平日でも一巡目は満卓近い賑わいとなります。その後も、次々とお客さんが入れ替わり、夜9時頃まで飲兵衛さんたちの楽園になります。

現在は袖看板にも「立ち飲み」の文字が入ります。

店内にはいってみると、そこは読者の方が想像する以上に、昭和の精肉店の姿を留めています。現在は立ち飲み屋として16時に開店するため、店頭で売られている肉類のほとんどがその場で摘めるおつまみです。

品書き

お酒

お酒は、冷蔵庫から自分で取り出すものと、店員さんに用意してもらうものがあります。

店員さんが準備してくれるもは、

コップ酒:270円、ウーロン割り:230円、お湯割り:220円、レモンサワー:250円、赤じそ割り:280円、梅割り:270円、酎ハイ:300円、角ハイボール:380円、サントリー 樽詰 金麦(発泡性酒類※新ジャンル):290円。

冷蔵庫のお酒

ビールは冷蔵庫から取り出します。

銘柄はアサヒスーパードライキリン一番搾り:各350円、サントリー ザ・プレミアム・モルツ:370円。発泡酒は淡麗(500ml缶):330円。ビールテイストの新ジャンルで、クリアアサヒ本麒麟:250円、金麦(500ml):310円。

料理

焼鳥は、ネギ間:120円、とりももとり皮豚バラ:100円、つくね:110円、ハツ:90円、ハラミ:210円。

惣菜は、ササミ:260円、和牛ランプローストビーフ:670円、チャーシュー:310円、メンチカツ:140円、串カツ:110円、ヒレカツ:190円、カレーコロッケ:90円、ポテトコロッケ:90円、カキフライ:90円、ウインナー:200円、サラダ:100円。

楽しい!そして想像以上に美味しい肉料理

キリン一番搾り350ml缶(330円)

長く続く店では注文方法(ルール)に悩むとがありますが、『肉のまえかわ』は簡単です。

まずは冷蔵庫から好きなビールを取り出し、ケースに並んだ惣菜を選び店員さんに注文します。料理と交換でお酒を含む金額をその都度支払い、あとは空いている台に並べて飲食するだけです。言ってしまえばフードコート方式。食べ終わったら片付けましょう。

ということで、私は冷蔵庫からキリン一番搾りの350ml缶を取り出し、支払い。それでは乾杯!

和牛ランプローストビーフ(670円)

店一番の高級品は、和牛のランプ肉をつかったローストビーフです。比較的レアな状態で、且つ、サシがたっぷりはいっているため、口の中で溶け広がるような食感です。立ち飲みの低価格な料理と一緒に並んでいるので高く見えますが、和牛ランプが670円は確実に「食べ得」感があります。

ササミ(260円)

店の人気メニューは鶏のササミ肉。ローストビーフ同様、薬味はわさび、しょうが、ニンニクから選べますが、ガツンとしたニンニク味が店や街の雰囲気に似合うと思います。ぷりぷりでしっかりとした歯ごたえがあります。

サラダ(100円)

お肉が続くので、ちょっとした箸休めにポテトサラダ(100円)を。箸休めといっても、『肉のまえかわ』は割り箸がなく、焼鳥串が箸代わりとして使われています。

酎ハイ(300円)・梅じそ割り(280円)

ここで気になる、店員さんがつくってくれるサワー・酎ハイ類を紹介します。レモンサワーは250円、梅じそ割りは280円。そしてピュアでプレーンな酎ハイは300円と、酎ハイが一番高いのです。

それでも酎ハイを注文する常連さんが多いのは、この酎ハイがかなり甲類焼酎の風味が強めで、しっかりほろ酔いになれるお酒だからでしょう。

梅じそ割りはバイスではありません。酸味と旨味を感じるお酒ですが、焼酎の濃さは酎ハイのほうが上のようです。

レモンサワー(250円)

レモンサワーは飲み心地のよい一杯。比較的甘めです。

混んできたら、ささっと片付け次のお店へ

大井町はほかにも、立ち飲み、角打ち、そして老舗の酒場も集まる楽しいエリアです。肉のまえかわは混雑するお店ですから長居はせずに、スマートに次の店へ移動したいですね。

肉刺し系が人気ですが、屋外のテーブルを使って、揚げたてのメンチを頬張り、本麒麟をぐいっと飲むのもとても楽しいです。

定休日の日曜日以外は祝日も営業しています。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名肉のまえかわ
住所東京都品川区東大井5-2-9
営業時間16:00~21:30(土祝は21時まで・日定休)
開業年1960年頃