大井町『永楽』1956年創業の横丁中華。焦がしネギ醤油にアサヒビール

大井町『永楽』1956年創業の横丁中華。焦がしネギ醤油にアサヒビール

2022年7月24日

大井町の東小路飲食店街に店を構える『永楽』は、昭和31年に創業した大井町を代表する大衆中華(いわゆる町中華)の一軒です。名物はもやしそばですが、中華屋で飲むのが好きな人ならば、単品チャーシューをつまみにスーパードライがオススメです。

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工場街だった大井町の胃袋を支えてきた店で飲む

首都圏を運行する鉄道車両の整備拠点として、明治末期に当時の鉄道院(のちの国鉄・現在のJR)によって建設された広大な鉄道車両工場「大井工場」を筆頭に、日本初の民間毛糸紡績工場(のちに鐘淵紡績)や、日本初の白熱電球工場「東京電気(のちの東芝)大井工場」などの工場群に囲まれた大井町。そのため戦災の被害も大きく、戦後は駅周辺に巨大なヤミ市が広がりました。

これらの工場群は戦後の復興でも大きな役割を果たし、そこで働く労働者たちがヤミ市由来の横丁で飲食し、街の発展の原動力として活躍しました。駅前や鉄道高架下の再開発が進み、いまは昭和の面影を残すエリアは僅かになりましたが、そこには、まだ活力溢れていた頃の日本が残っているように感じます。

外観

この界隈で老舗の中華といえば、中華そばの『永楽』です。創業は1956年(昭和31年)。

大井町を代表する大衆中華の一軒で、ラーメンファンの間ではもやしラーメンの名店として知られているようです。飲み屋街の真ん中にあるため、梯子酒で何度も店の前を行き来していますが、いつも行列しているイメージです。

内観

それでも、酒場で飲んだあとの〆に利用するような時間は落ち着いており、静かな雰囲気で落ち着いてビールや日本酒を楽しむことができます。

品書き

お酒

ビールアサヒスーパードライ)中瓶:550円、日本酒:550円。

料理

餃子:500円、ワンタン:700円、ヤサイ炒メ:900円、チャーシュー単品:600円など。

赤いテーブルに黄金色のビール、茶色い幸せ

アサヒスーパードライ中瓶(550円)

古くからやっている街の中華といえば、赤い化粧板を張った合板のテーブルですね。ここに瓶ビールを置くだけで、なんだかすごく幸せを感じます。トトトって勢いよくビアタンに注ぎ込み、では乾杯!

チャーシュー(600円)

永楽のつまみといえば、このチャーシューです。しっとりジューシー、脂がのっているのにクドさはなく、濃厚な旨味が口いっぱいに溶け広がります。カラシを気持ち濃いめに塗って、辛さをスーパードライで中和するように飲むのが好きです。

ヤサイ炒メ:900円

焦がしネギをつかった特製の醤油ダレが永楽の味の決め手で、ラーメンを注文すれば真っ黒なスープがでてきます。そんなタレを味付けにつかった野菜炒めがこちら。見た目以上にコクがあり、ビールがぐんぐんと進む美味しさです。

ワンタン(700円)

お酒を飲んでいるし、麺類はちょっと…。でも永楽の焦がしネギの黒いスープは味わってみたい。そんな“液体おつまみ”のニーズに応えてくれる一品がワンタンです。

真っ黒で、焦げたネギがたっぷりとの浮かんでいます。

皮が厚くてツルツルとした食感で、餡は肉がぎゅっと詰まっていることがわかる歯ごたえ。とにかく旨味が強くほんのりとした甘さも感じるスープは、瓶ビール中瓶が1本では到底たりないと思います。

大井町の老舗の味『永楽』、飲んだ帰りの小腹を満たすのにぴったりな、〆の中華飲み処です。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名永楽そば
住所東京都品川区東大井5-3-2
営業時間11:30~22:00(土日は11:30~21:00・月定休)
開業年1956年