【一部表記修正しました 2019/05/27】
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日本有数の知名度を誇る商店街、「戸越銀座」。その由来は、関東大震災復興の際に中央区・銀座から道路敷設用のレンガを譲り受けたことから来ています。現在も、銀座の名の通り賑わいある商店街として、品川区内はもちろん周辺から多くの観光客が行き交います。全長が1.3キロととても長く、さらにその先は武蔵小山のアーケード「パルム」へと続くため、ウォーキングを兼ねた散策にもぴったりです。
そんな戸越銀座で旬菜・鮮魚を肴に一献楽しむならば「漁」はいかがでしょう。家族経営のホッと落ち着く大衆飲み屋です。
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土日はいつも縁日のような賑わいですが、平日夜も遅くまで人通りは絶えません。
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昼間の賑わいとは別に、夜の戸越銀座は歴史ある蕎麦屋や割烹などもあって飲み屋巡りの魅力が感じられます。
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品川縣ビールの幟が目印、緑の看板の「漁」です。営業は17時から。板場に向いたカウンター席とテーブルという配置です。
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いらっしゃい!と元気よく迎えてくれたご主人と、丁寧な接客で注文を受けてくれた女将さん。さぁ、まずは一杯のビールから始めましょうか。生ビール(サッポロ黒ラベル)の大ジョッキで乾杯!
今日も元気でビールが美味しい。
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お通しはみょうがをのせた冷奴。ヨーロッパうまれのビールが日本の伝統的な豆腐に合うのは、考えてみると不思議なこと。そんなことを一瞬だけ考えて、あとはにんまり笑顔でいただきます。
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さて、飲み物のメニューをご紹介します。生ビールは大ジョッキ(700円)、中ジョッキ(570円)、グラス(470円)の3サイズ。ナショナル銘柄の黒ラベルに加え、エド酵母を使用したご当地ビール「品川縣ビール」の樽生があるのは珍しいです。瓶ビールでは現存する日本最古のビールブランド「サッポロラガー」と、昭和の食卓の定番、「キリンラガー」が用意されています。
定番酒は東京では珍しく朝日山(1合350円)を置いています。
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今日のメニューがこちら。なかなか力強い内容でしょう。こだわりの生本マグロに、ブリ、はまち、真鯛、カツオに白魚、取材時に旬のホタルイカなど、常時10種類近く刺身が揃えられています。
焼き物はまぐろ葱間串、ぶり塩焼、かます塩焼、煮物はめばるや新たけのこなど。「和牛ステーキあります」の文字にも目が行きますが、今日は刺身と決めています。
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夜メニューでも定食やまぐろづけ丼などのごはん類が用意されていますので、軽くビールや日本酒片手に帰宅前の晩酌何ていうのも良さそうです。戸越の皆さんが羨ましい。
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ご主人が手際のよい包丁さばきでささっと完成、刺身盛り合わせ。一人で伺っているので刺盛りも1人前、よき具合でみつくろってもらいました。脂がのった分厚いブリが目立ちますが、真鯛に本マグロ、ホタルイカもなかなか美味しそうです。
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魚で飲むお店は、お通しの次に口にするのがお刺身ですから、一口目が美味しいと嬉しいですよね。鮮度のよさを感じるぷりっとした食感に頷きながらら、左手でお猪口を持ち上げて、きゅっと一口。
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お通しで食べたみょうがが美味しかったので、天ぷら(680円)で頂くことにしました。かりっと揚がってサクサク、心地のよい爽やかな風味が鼻に抜けます。
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かちわりの氷が浮かぶ玉露割り。酎ハイでひとやすみ。
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水なす(450円)。他のお客さんのところへ運ばれていく焼き魚、煮魚をぼんやりみながら、ほろ酔いでいい気分です。
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せっかくですから品川縣ビールを。これは明治2年から2年間、品川にヒール醸造所があったことなどを背景にしたビールです。ボトル売りは品川区内でまれに見かけますが、樽生は珍しいのでご興味ありましたらぜひ。アンバーな色ながら、明るく華やか、フルーティーな香りが特徴的です。
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常連さんに人気の〆料理は焼きおにぎり(1個180円・2個から)。居酒屋の焼きおにぎりの美味しさはズルいですよね。甘辛いタレでおこげになって香ばしいです。お土産にもできます。
近隣に暮らす若いご夫婦やご家族お子さん連れ、地元のお父さんたちの集いの場所として、ほどよく賑やかで地元に親しまれている「漁」。戸越銀座で夕暮れを迎えたら、ぶらり立ち寄られてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
漁
03-5498-5222
東京都品川区戸越1-20-10
17:00 – 24:00(ランチあり・水定休)
予算2,700円