大崎『味楽』山手線直結のいわし専門店。職人技が光ります。

大崎『味楽』山手線直結のいわし専門店。職人技が光ります。

2020年9月10日

酒場好き山手線ユーザーならば、一度は山手線大崎駅付近の車窓から『いわし料理の店 味楽』の看板が気になったことがあるのではないでしょうか。

個人系の居酒屋で、創業から35年ほど。大崎はいまでこそ昼間人口3万人を越える巨大オフィス街ですが、1980年ころまでは工業地帯でした。工業地帯には飲み屋街がセットになりますが、その役割はお隣の五反田が受持ち、大崎駅は駅に隣接する位置にまで工場群が立ち並んでいました。

日本精工などの跡地を再開発して1980年代に大崎ニューシティ、1990年代にゲートシティ大崎、その後も明電舎やソニーのテレビ工場の跡地も次々と再開発されていくことになります。

オフィスビルにはチェーン系の居酒屋が入居していますが、やはり土地の色を感じるられる個人酒場を訪ねたいというもの。味楽は貴重な存在です。

JR大崎駅から5分も歩けば目黒川越しに五反田へ行くことが出来ます。

五反田も近いわけですが、「味楽」はもっと近いです。JR大崎駅の改札外コンコースから道路へ降りる階段に、「この下」と看板がついており、階段を進めば味楽の正面に降り立つことになります。

山手線内廻り電車のすぐ脇、周囲はJRの関連施設があるなか、味楽が唯一の駅前大衆酒場になります。

奇跡のような立地。山手線直結とは思えないほど味のある店内。板前さんとご主人がぴしっと背筋を伸ばして迎えてくれるカウンター席。そして窓側にいくつかのテーブル席と、二階にも客室が用意されています。

大衆酒場と大衆割烹のちょうど中間のような雰囲気。民芸調の店内は落ち着きがあり、”いよいよ飲める”という心の動きをより高めてくれます。

一杯目、抜群に状態のよい樽生ビール(580円)。銘柄は2020年に久しぶりにリニューアルしたキリンラガーです。それでは乾杯!

味楽の特長といえば、駅直結、そしていわし専門店。もうひとつ加えたいのは、このお通しです。小鉢にたっぷり盛られた生野菜は、ドレッシングとポテトサラダの旨味も相まって、ちゃんとお酒の肴になっています。

ボリュームたっぷりの免罪符。栄養偏り気味の私にはぴったり。

ビールは中瓶もあって、キリンクラシックラガーとアサヒスーパードライから選べます。酎ハイ類は400円。日本酒の種類がいくつかあります。

続いて料理。味楽のおすすめは、やはりいわし料理。うす造り、つみれ、蒲焼きなどで食べさせてくれます。炭水化物系料理も人気で、仕事帰りの会社員が夕飯がてら飲んでいく姿もみられます。

20品はあるいわし料理たち。定番の刺身など600円から。通年で鰺、秋はサンマも人気です。

刺盛りから、まぐろカツ、オムレツとバラエティは豊富。

いわしたたき(600円)。専門店で食べるいわしは確かに美味しいのです。別物といってもいいくらいに。

ふりっぷりで爽やかな酸味と脂の甘さが楽しめます。小骨はひとつも残っていない、いわし専門店の板前さんの技を感じる一品です。

すだちサワー(400円)。柑橘系と青魚は間違いない組み合わせ。

いわし梅煮(650円)。煮たあとでも20cmを越える立派な「大羽鰯」。身が崩れることなく、ピンとして輝いています。

ワタは取られていて、頭、背骨、尾びれ以外はすべて食べられます。甘さ控えめ、深い味わい。ぽくぽくの身に、日本酒が誘われます。

上物で鮮度の良いいわしと職人技が楽しめる「味楽」。なめろうや青魚刺身盛り合わせなども人気です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名味楽
住所東京都品川区大崎1-21-4
営業時間営業時間
[月~金]
11:30~14:00
17:00~翌1:00
[土]
17:00~24:00
定休日
日曜・祝日
開業時期1985年頃