不動前『太田屋』地域密着50余年、正統な酒場。絶品もつ焼と黒ラベル

不動前『太田屋』地域密着50余年、正統な酒場。絶品もつ焼と黒ラベル

2022年5月2日

不動前のかむろ坂で半世紀続くもつ焼きの店『太田屋』は、品川区の名店と名高い酒場の一つです。看板料理のもつ焼きや煮込みに限らず、日替わりの魚介類もはずれなし。駅からやや離れているものの、開店直後から近隣の方たちで満卓になる人気店です。

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かむろ坂の赤ちょうちん

東急目黒線 不動前駅近くの「かむろ坂」は品川百景にも選ばれた、美しい桜並木が続く通りです。桜の数は約120本。桜の季節は歩行者天国になり桜祭りが開催されてきましたが、普段は落ち着きのある住宅街です。そんなかむろ坂を照らすポツンと灯る大提灯が今日の酒場。飲み屋好きならば必ず目が行く佇まいです。

不動前駅からは徒歩5分ほど。JR山手線の目黒、五反田駅からはそれぞれ12分ほどで、けして飲食店街の飲み屋とはいえない場所にあります。

店の名は『太田屋』。樹齢の永い立派なソメイヨシノが店頭を覆っています。

外観

店の歴史もまた長く、創業は昭和40年代。隅々まで手入れが行き届いていますが、老舗のどっしりとした風格が感じられます。かむろ坂を素通りさせない、飲兵衛を魅了させる美しい提灯と縄暖簾に思わず吸い寄せられました。

店内

17時の開店とともに次々とお客さんがやってきて、18時を前にして満卓となる賑わいぶり。お客さんは近隣企業の会社員の日常的な飲み会や、若い家族連れの晩酌や一人飲みを楽しむ常連さんなど、年齢、用途はまちまちです。

家族経営の店ならではのほどよい距離感で、優しく迎えてくれました。カウンター席でも、一度座るとずっとここに居たくなります。近所に引っ越したとしたら、晩酌の定番スポットとして通いたいです。

品書き

お酒

樽生ビールは昔からサッポロ生ビール黒ラベル大生:869円中生:693円、小生:583円。瓶ビールはアサヒスーパードライサッポロ黒ラベルで大瓶:737円。

大提灯にかかれていた「バクダン」はサワーのことで、提灯に掲げているだけあって品数はとても豊富です。青リンゴ梅ソーダライム生レモン生グレープフルーツ生ライム緑茶(抹茶風)など、495円~。ホッピー:583円は、ホッピー・黒ホッピーの2種類から選べます。

日本酒も充実しています。定番酒は清酒 和気愛々:649円、北海道 男山 生酛純米:814円、富山 立山 特別本醸造:880円、富山 銀盤純米大吟醸:902円、兵庫 菊正宗生酒:660円、山形 初孫 吟醸生酒300ml:1,078円など。

本日のおすすめ(ホワイトボード)

まぐろ刺身:979円、中落ちねぎとろのり付き):979円、活ツブ貝刺身キモ付き:1,023円、真鱈白子ポン酢:979円、活どぜう唐揚げ:979円、とり唐あげ:649円、肉じゃが煮:539円、シバエビ唐揚げ:759円、ぎんだら照焼:979円など。

豚もつ焼きは、たんはつかしらしろればがつなんこつこぶくろ:各143円、とり焼は、かわ砂肝とりもも:各154円。つくねねぎまは各231円。

ニタリ鯨さしみ:979円、生たこ:957円、あさりバター/酒蒸し:979円、生牡蠣:979円など。

一品料理

耳キムチ:572円、生タコキムチ:649円、いか納豆:759円、生揚焼:605円、茄子田楽:649円など。

炒めものは、いかバター:869円、ホルモン炒め:979円、ガツバター:957円、豚レバニラ炒め:979円など。

丁寧な仕事を感じる正統派の料理を楽しむ

乾杯はサッポロ生ビール黒ラベル(693円)で

乾杯は生ビールで。ディスペンサーやジョッキの洗浄は完璧で、フロスティミストも美しい完璧な生ビールがでてきました。

それでは乾杯!

中ジョッキといいながら、昔ながらのストレートなサッポロジョッキで”ドン”と提供される生ビールは、これぞ昭和のサイズです。ビールやサワー類は品書きからは割高に感じるかもしれません。ですが、実際で手元に届いてみれば、この通りサイズが大きく良心価格だとわかります。

もつ煮込み(583円)

すぐにでてくるオススメは、もつ煮込み。カラシと辛味噌がついてきます。まずはこれを食べると、『太田屋』の仕事の良さが感じられると思います。

この豚モツはクサミは皆無で、感じるのは濃厚な旨味だけ。すべて削ぎ落としているというわけではなく、噛むほどに旨味がさらに溢れてきます。こんにゃくや根菜はそれほど多くは使わず、モツの比率はかなり高めです。

もつ焼き(各143円/本)

煮込みで俄然、食欲が高まってきました。期待値高めで迎えたもつ焼きも、やはりとてもいい味です。シロはパリパリになるまでは焼かず、ふにっとした食感を残しています。それでいて、脂ぎっている感じは皆無で歯切れは意外なほどよいです。

とろみのあるタレは、コクはあるものの、甘さや醤油の味をそれほど際立たせておらず、ハツを噛んだときににじみ出た旨味をシンプルに楽しめました。継ぎ足した超濃厚のタレが好みですが、こういうあっさりとしつつコクのあるタレも結構いいものです。

棒状のつくねと、手前はカシラ。味付けはおまかせで焼いてもらっています。モツはどれもとてもジューシーで日本酒とあわせても良さそうです。

清酒 和気愛々(649円)

お酒ははじめて見かけた銘柄「和気愛々」のお燗酒を。飲み飽きない美味しさです。

バクダン青リンゴサワー小(495円)

気になる「バクダン」も頼んでみましょう。品書きの筆頭にあった青リンゴサワーは、これでも小サイズです。氷屋さんの氷をつかっているのも美しく、サワーひとつでも結構テンションがあがりました。ほんのり甘い、昔ながらのサワーのあの味です。

とり唐あげ(649円)

下味がしっかりついた竜田揚げ風の唐揚げも大当たりです。ザクザクとした食感の硬めの衣がなにより心地よく、鶏肉も引き締まっていて”きゅっ”とした歯ごたえが楽しいです。

下味と鶏の旨さのバランスがよく、途中でレモンをかけて味を変えるのまで楽しみになってきます。

こういうお店は何を食べても美味しい。〆にはお味噌汁(サービス)

お会計をお願いするとお味噌汁がサービスで供されます。大きめのあさりが入っており、だしがきいています。最後にほっとして、いい気分。

こういう酒場は何を頼んでも間違いのないものです。地域に密着、家族商売の老舗『太田屋』へ、目黒不動尊散策を兼ねてふらりと飲みに行ってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名太田屋
住所東京都品川区西五反田4-3-5
営業時間17:00~23:00(日祝定休)
開業年1967年頃