武蔵小山はここ15年で大きく表情を変えました。学生時代を東急沿線で過ごした私ですが、当時の武蔵小山は民鉄沿線の駅とは一味違うクセのある街でした。なにせ駅前、ホームから見える場所に当たり前のようにバラック風の闇市が残っていて、そこにお昼から飲んでいるおじさんが楽しそうに笑っている街でしたから。
まだ当時は目蒲線でしたし、今よりもだいぶ穴場感がありました。それから年を追うごとにこの街の表情は変わっていきました。東急の大改革で、目蒲線はあっという間に都心アクセス路線に変貌し、4両編成の小さな電車は、気づいたら6両の大型車両に置き換わり、さらには地下化と急行運転と、昔では考えられないほど変わっていきました。それに合わせて駅前の姿も大きく変わり、昔からの光景は次々と姿をけしていきました。そうして、多くの地元の飲食店も姿を消していったわけですが、ちゃんと移転してさらなる賑わいを見せているお店もあります。
例えばここ「豚星」。
この春、同じ武蔵小山の商店街のほうへ移転オープン。できたての店舗は女性も入りやすいモノトーンを基調とした明るくオシャレな内装になりました。カウンター中心なのは昔と変わらず、目の前でつぎつぎ作られていくもつ焼きやおつまみを眺めながら飲むのが楽しいお店。
まずはやっぱりビールからでしょう。豚星のビールは嬉しいハートランド。いい意味でキリン味とは違うまるみのある味わいのハートランド。さわやかな味で肉料理とよく合います。
注文は伝票に記入して渡す仕組み。オーダー漏れがなくてよい仕組みです。タン、タンシタ、カシラ、ハラミなど豚モツが130円。1本から注文可能です。鶏レバ、セセリと鶏もあり。ピーマンチーズ巻きは野菜系でおすすめです。あとはシシケバブが珍しいかもしれません。
豚肩ロースの香草ソテーなどのスペシャリテ的メニューもあり、もつ焼き屋の枠に収まらない肉料理に対する広がりをもったメニュー構成なので、「肉食べたい」っていうオーダーに手堅くこたえてくれます。
丁寧に串打ちされているキレイなもつ焼きたち。ゴツさのあるもつ焼きもよいですが、女性を連れてくるならばこのくらいが口を大きく開けずに食べられて喜ばれるかも。火の入り方が絶妙で、ミディアムレアのジューシーさが美味しさのポイント。
冷やしトマトなどの口直しの定番からグラタンや魚介のカルパッチョなど幅広い品揃え。内容的にはワインも全然合わせとして問題ないです。ボトルワインもお手頃価格で数種類あるので、お店の方向性を一言で言い表すならば「デートにも使えるもつ焼き屋」です。
ですが、あまり媚びすぎてもいなくて、地元の年配の男性も早い時間からクイクイと飲んで食べてを楽しまれています。
だって、これがあるんですよ。焼酎ハイボール。デートのドリンクならばスパークリングワインだと思いますが、ここはやっぱりもつ焼き店、色付きの元祖酎ハイも似合います。
移転に合わせてより若い人でも入りやすくなった「豚星」。界隈の老舗の酒場や人気立ち飲みからの梯子で利用する方も多く、武蔵小山の居酒屋文化を盛り上げるメンバーの一軒だと思います。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
豚星
03-3787-1224
東京都品川区小山4-3-6 林ビル 1F
17:00~23:30(月定休)
予算2,200円