突然ですが、皆さんは個人経営の居酒屋がお好きだと思います。ですが、きっと「チェーンだけどあのお店は好き」というブランドがひとつやふたつ、いや、案外山ほど?あったりしませんか。
最近は大手チェーンもお店ごとに雰囲気を変えたり看板も様々なものを掲げるようになり、実は趣味の域としても十分楽しめるようになってきました。チェーンでも個人経営でも、いい居酒屋はいい、ただそれだけですよね。納得する価格の商品と居心地、お会計をしたあとに、今日はいいお店でのんだと思えることに経営母体は関係ありません。
個人店巡りばかりと思われるかもしれませんが、私もひとしきりチェーン店のブランドは定期訪問していますし、好きな看板はいくつもあります。例えば串八珍。東京の都心部を中心に60店舗ほど展開するチェーンです。茅場町や築地などのオフィス街の展開と、立石や武蔵小山などの酒場街での出店、2つの出店傾向があるようです。
大衆酒場の多いエリアに20席程度の比較的小箱で展開している元祖串八珍、皆さんも見かける機会は多いはず。ステレオタイプのチェーン居酒屋と違い、接客もメニューも料理までが素朴な手作り感であふれているのが特長です。
炭火で職人(もちろんアルバイトではありません)が焼く焼き鳥(とんみそ)と煮込みが名物のお店です。昭和56年、千代田区九段に一号店、靖国、麹町とひたすら都心部出店だったそうですが、味噌で食べる東松山やきとりに近い。
十条に新店がオープンするという話をこの界隈をパトロールしている特派員から聞き、早速オープンに合わせて飲みに行ってきました。まずはビールで始めましょう。サッポロ黒ラベルの大生(690円)で乾杯!
そこそこの規模のチェーン居酒屋とは思えない簡素な品書き。しかも、左上にインパクトの有る謎ドリンクが。価格設定は毎日の飲み歩きにふらりと安心して立ち寄れるあんばい。
サワー、焼酎、他、決して種類は多くありませんがバランスがいいです。イエローテイルをボトルで飲んだこともありますが、もつ焼きと赤ワインは試してみる価値あり。そして、ここで注目なのは日本酒です。チェーン居酒屋の定番といえば、灘や伏見の大手の銘柄がほとんどじゃないですか。それなのに、串八珍はあさ開ですよ!盛岡の酒造場を取材させてもらったこともありますが、こんなところで再開できるとは。
実は串八珍の鶏も奥の都どりという岩手県産を使っていて、どこにもアピールしていないものの、実はちょっとした岩手を感じるアンテナショップとも言えるかも。
こちらが基本メニュー。やはりチェーンぽさがない。納豆巻き串は後ほど食べますが、串八珍に来たら必須の串です。
まずはこれ、ニンニクとバターの組み合わせは絶対美味しいにきまっています。塩もつ煮込み(380円)は値段の割には結構大きな土鍋で登場。ぐつぐつしているのでやけどに注意。モツ特有のにおいもなく、ひたすらビールとの相性がいい。
やきとりは1本90円、1串の大きさはしっかりあるので、安いからとばんばん頼むと大変なことになります(笑)
埼玉県東松山で昔から食べられている「東松山やきとり」流で、辛味噌を適度につけて食べます。チェーンなのである程度はセントラルキッチンのはずですが、それでも企業努力でしっかり質のいいやきとりをこのサイズで90円でだしてくれるならば、飲兵衛は文句はいえませんね。お通しの大根おろし(200円)はおかわり自由。たっぷり大根おろしと一緒に食べるのがいつもの食べ方です。
十条店だけでなく、ベッドタウンの酒場通りに出店している串八珍のお客さんは地元のご年配の方が多いです。若い人向けやファミリー層をターゲットにしたチェーンは行きづらいけど、街の普通の酒場的な雰囲気ならば入りやすいのでしょうね。私も同じで、この大衆感が好きで利用しています。
さぁ、あさ開をもらいましょう。
普通酒ですが、アル添酒ならではのバランスの良さってあるじゃないですか。比較的辛めの銘柄ですが、もつ焼き、煮込みなど動物性の脂がつまみになっているので、このくらいしっかりした味がちょうどいいのではないでしょうか。
納豆巻き串はひき肉と納豆を和えたものをのりで巻いて焼き上げた一品。甘めのタレをつけて食べると納豆の風味がつくねと合うことに気付かされます。途中の味を変えるのに役立つので、何種類かやきとりを頼むときに混ぜて頼むと良いです。
梅きゅうで口の中をさっぱりにして。
漢方がはいった滋養強壮のプレミアムラーク(320円)。いわゆる焼酎ハイボール的な飲み物で、お店の定番ドリンクです。チューハイは置いてなく、これが串八珍の酎ハイ的ポジション。クセがありますが、結構はまります。
今日も満足です。近くには人気の老舗酒場が多数ありますが、安定して美味しい串八珍も私の梯子ルートの中の一軒。ここを目指して食べに行こう、とはチェーンですからどこにでもあると考えればなかなか目的となる酒場にはなりませんが、悩んだときに使える酒場として知っておくときっとお役に立つはずです。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
元祖やきとり串八珍十条店
03-5963-3226
東京都北区十条仲原1-1-2
14:00~23:00(月定休)
予算2,200円