品川区は大衆中華の多いエリア。東急東横線のような大動脈ではなく、ちょっぴりレトロなローカル電車、池上線や大井町線の駅前には昔ながらの個人店が似合います。
旗の台駅の大衆中華といえば「大公楼」が有名です。中原街道沿いにあり、道の向かい側は約2,000人が働く巨大な大学病院があるという立地もあって、営業時間はロングラン。
昼夜関係なく働く人々や地元の皆さんに愛されてきた「大公楼」。実はお酒を飲むのにもぴったりの一軒です。
中原街道沿いのファミリー中華
3両編成の池上線が商店街の脇をかすめてゴトゴトと走る旗の台。いかにも私鉄沿線という町並みですが、最近はこういう駅前も珍しくなりました。大公楼は駅から5分ほど。
オーナー夫婦とお手伝いの料理人さんで切り盛りしています。厨房に向いたカウンターとテーブル席という配置。女将さんが気取らない感じで「いらっしゃい」と迎えてくれました。
大衆中華(街中華)は、たとえビールが置いてあっても「ちゃちゃっと済ませる店」と「居酒屋使いができる店」の2つのパターンがあります。ここは後者の方。日中から飲む人もいる、中華飲み処でもあります。
おつまみも一人飲みに嬉しいおつまみ小皿(300円)の用意があります。
なにより、ここの生ビールは状態がよいというのが嬉しいです。昔ながらの標準ジョッキでどんとでてくる生中(サッポロ黒ラベル・550円)で乾杯。
お酒もおつまみも充実
瓶ビールも銘柄はサッポロ黒ラベル(中びん500円)、日本酒は大関、紹興酒は宝酒造「塔牌(とうはい)」、酎ハイ類の割材は博水社のハイサワー。ホッピー(400円)も白・黒あり。
500円前後の手頃なおつまみが充実していることも、中華屋飲み好きに嬉しいポイントです。
麺飯も種類が多く、何を食べようか迷ってしまいます。
まずは餃子。一人飲みに優しい3個(300円ほど)のハーフを注文。厚めでもちもち食感の皮に包まれた、野菜たっぷり肉汁たぷたぷの餡。ハフハフと食べて、余韻にすかさず黒ラベルを追いかけます。
レモンサワー(400円)。カットレモンがささって可愛いのですが、ジョッキがどっしりしているので不思議な感じ。こういうのが好きです(笑)
300円のおつまみ小皿から、玉子とトマト炒め(マヨネーズがけ)を。派手さは全然ありませんが、午後のんびりとした時間にちびりと摘むのには、これくらいがとても丁度いいです。
〆とつまみを兼ねた五目焼きそば
中華飲みに麺飯類を頼むかどうかは毎回迷うところ。炒飯という選択を選びがちですが…
今日は、大公楼の人気料理、「五目焼ソバ」(750円)を麺少なめをお願いします。ここの五目あんは具だくさんでサービス満点です。イカや海老、肉厚のきくらげやたっぷりの白菜などがはいり、ちょっぴり濃い口なところ酎ハイ・ビールのおともにぴったり。
昭和の中華屋さんらしい日本風の醤油味があとをひく”アタマ”でお酒を飲み進め、そろそろというところで麺を軽く頂いて、大満足。
早い時間から飲む人の姿も多く、街に根付いた老舗大衆中華の「大公楼」。地域の胃袋と飲みたい気持ちを支えるお店が、どうかこれからもご盛業でありますように。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 大公楼 |
住所 | 東京都品川区旗の台2-1-25 |
営業時間 | 営業時間 11:00~翌4:00(L.O.翌3:30) 日曜営業 定休日 水曜日 ※第3火曜日のみ不定休 |
開業年 | 1989年 |