品川『鳥一 本店』港南口で50年。炭火と濃厚なタレが人気のやきとり店

品川『鳥一 本店』港南口で50年。炭火と濃厚なタレが人気のやきとり店

2022年10月7日

高層ビルが立ち並ぶ品川港南口の駅前で50年以上続いてきたやきとりの店『鳥一本店』。近隣は港南口で働く会社員相手のチェーン居酒屋が熾烈な集客競争を繰り広げていますが、『鳥一』はいぶし銀の暖簾を掲げてどっしりと構えています。炭火で焼いた串を肴に、東京の地酒・多満自慢がよくあいます。

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出張帰りに、駅前の老舗はいかが

外観

今年は、品川駅開業150年のメモリアルイヤーです。

かつて国鉄の広大な車両基地が広がっていた品川駅周辺も、いまではすっかりビジネス街。三菱重工や、ソニーグループ、キヤノンマーケティング、日本マイクロソフトにNTTグループ、JR東海東京本社など、大手製造・インフラ系企業がオフィスを構える、日本有数のテクノロジーエリアです。

品川駅港南口は、現在の橋上駅舎が完成した1998年以前は、地方にあるような小さな駅舎がポツンと建つだけの寂しい駅でした。その頃、この街を歩いていた人は今の姿を想像できたでしょうか。

ほとんど面影がなくなりましたが、駅前広場に残る小さな焼き鳥店だけは昔の姿のまま、いまも営業しています。店名は『鳥一』。

内観

品川で30年以上勤めてきた友人が同店のファンで、いろいろ教えてくれました。昔は鉄道関係者や、オーディオ工場で働く人々で大変賑わっていたそう。工場や操車場がオフィスになり、働き方がかわった今も、変わることなくベテランの飲兵衛さんたちに支持されています。

品書き

お酒

ビールは瓶ビールのみで、キリンラガー大瓶:660円(※以下、価格はすべて取材時のもの)。

日本酒は多満自慢:1合330円、多満自慢辛口:1合390円、多満自慢純米吟醸:440円、黒松剣菱:440円。

サワー類:440円~もあります。

おつまみ

串焼きは1本140円~で一種類2本単位での注文となります。たんはつかしらしろなんこつかわ砂肝ジャンボねぎま手羽先など。

一品は煮込み:450円、肉豆腐:550円、ガツ酢:450円、ポテトサラダ:450円など。

品川港南口にいることを忘れてしまう、奇跡の空間

キリンラガー大瓶(660円)

親しみやすいお兄さんが中心となって、屋台飲み屋のような一体感に包まれた店内。V字型のカウンターでお客さん同士の距離も近く、気がつけば一期一会の酒場話に花が咲きます。

まずはキリンの瓶ビールで乾杯!

お通し

お通しは日替わりで、煮物だったりおしんこだったり。この日は、ほどよく浸かった白菜でした。

手羽先(390円)

一般的な焼き鳥屋よりもだいぶ濃厚なタレが同店の魅力の一つ。これにたっぷり潜らせた手羽先は、骨の髄までお酒が進む味です。

山椒をかけて食べるハツやタン(140円/本)

首都の食肉供給拠点である芝浦食肉市場は、店からわずか200mほどの場所にあります。そうした立地もあり、昔からこの界隈には焼鳥店・もつ焼き店が多かったのだと思います。

店の歴史や雰囲気だけでなく、なにより看板メニューの串焼きの美味しさが人気の理由です。

あわせるお酒は、ちろりで湯煎して燗をつける多満自慢です。東京の酒蔵(JR拝島駅が最寄り)・石川酒造のお酒「多満自慢」だけで3銘柄も揃っています。昔からのこだわりなのだそう。

レバー塩(140円/本)

鮮度、焼き具合ともに素晴らしい炭火焼きの豚レバー。塩は気持ち濃いめ。

5本盛り合わせ

いろいろ食べたいときは、盛り合わせで5本という注文もできます。

深く香ばしい味わいの焼鳥を肴に、50年前の品川に思いを馳せながら酔うひとときはいかがでしょう。東京出張でこれから新幹線で帰るという方にもおすすめの1軒です。店から新幹線改札まで5分です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名鳥一 本店
住所東京都港区港南2-2-14
営業時間17:00~21:00(土日祝定休)
開業年1970年