横丁ブームの中、大井町駅北口から東へ伸びる2本の細い路地・東小路飲食店街が人を集めています。人気のせんべろ酒場や、老舗の立ち食いずし、肉屋の店頭で焼鳥片手に缶酎ハイを楽しむ店、そして角打ちまで、その顔ぶれは様々です。
そんな大井町北口に牛タンをテーマにした大衆酒場「牛タン いろ葉」が数年前にオープンし、近隣のサラリーマンで毎夜賑わう店となりました。その「いろ葉」が、2016年10月末、横丁の先、ゼームス坂に「豚」の酒場を開店。その名も「豚のいろ葉」です。
今回は、割るならハイサワーでお馴染みの株式会社博水社と一緒に、「豚のいろ葉」の看板ドリンクを飲みにやってきました。
元は薬局だった建物を改装したそうですが、すでに酒場らしい味わいが漂い、少しずつながら年輪ができ始めているようです。
一階はカウンターでひとり酒。厨房を向きながら飲むと、自分が頼んでいない料理まで、目で味わうおつまみですね。
二階はテーブル席で4人くらいの利用がちょうど良さそう。
今回のお目当て、看板ドリンクは、店のテーマでもある豚との相性がいいということで、博水社の”わるなら赤しそ”を使用した赤しそサワーと、赤しそビールです。
メニューの右上といえば一杯目のドリンクのポジション。通常なら生ビールのポジションですが、ここに赤しそというのは興味深い。なにより、赤しそを入れた生ビールというのはどんなものか。
早速飲んでみました。ベースはキリン一番搾りで、そこに赤しそを垂らしています。見た目はまるでアンバーエールです。それでは、乾杯!
風味は微かにしそ、それでもビールが強い。かすかに甘いのですが、樽詰め酎ハイほどではなく、なんとも不思議。ビールと酎ハイの間、ぐいっと飲めてさわやかな余韻、グループでワイワイ飲むのにちょうどいい楽しくなれるビール・カクテルです。
料理は299円から、高くても千円以下。牛タンいろ葉でもそうですが、大衆酒場らしい価格設定となっています。
豚肉専門で、さすがのメニュー構成。がっつり肉系を頼み過ぎなければ千円台での利用も可能です。
そんななかで看板料理は、骨付き豚カルビとやわらか白煮豚。500円前後で頼めておすすめとあれば、試してみるにはちょうどいい。
骨付き豚カルビ、豚肉だからとはいえ、500円でこのボリュームと食べごたえは十分の内容ではないでしょうか。骨のすきみまで美味しくいただけます。
こちらはもう一つの看板メニュー、やわらか白煮豚(699円)。値段はお店のなかでトップクラスですが、箸で切れる豚の穏やかでクリーミーな味わいは他にない特長。中央にはくつくつの大根が豚の旨味を蓄えて鎮座していくす。赤しその酸味と豚の甘脂の相性はなかなかのもの。
499円と他のメニューと比較し高級なポテトサラダ。もちろん自家製で、ここにも豚肉が入ります。芋の食感がしっかりとあり、食べごたえも十分。赤しそだけでなく、日本酒も進みそうです。
この豚肉は、…
カルボナーラのように卵黄とチーズをかけて食べる肉ボナーラ。炙りベーコンにたっぷりとかけていただきます(599円)。カルボナーラはパスタがはいりますが、それを酒場向けにアレンジした濃厚豚料理です。
豚わさはありそうでなかったお店オリジナル。オクラとゆで豚をワサビであえたもので、豚脂の甘みとオクラのヌルヌル、そして旨味がしっかりときいたおつまみす。
牛タンいろ葉の豚業態、豚という定番食材だけに差別化は難しいのではとも思いつつも、食べてみると焼とん(やきとり)にはない、豚の新しい食べ方提案に驚かれます。
看板料理の豚スペアリブをはじめどの料理も1,000円未満と普段使いにちょうどよいので、大井町・青物横丁・鮫洲などで大衆酒場飲みを検討の際は覗いてみる価値はありではないでしょうか。
古典的な老舗だけでなく、新進気鋭な大衆酒場には新しいからこその入りやすさや、自分が最初の常連ににる楽しさがあります。
赤しそビールだけでなく、甲類酎ハイに赤しそをいれた赤しそサワーもぜひお試しください。バイスや男梅とも違ったすっきりした味が楽しめます。ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社博水社)
豚のいろ葉
03-3474-8822
東京都品川区東大井5-4-14
16:00~24:00(日祝は23:00まで・不定休)
予算3,000円