東京湾の夏の風物詩となっている『東京湾納涼船』が、今年、3年ぶりに運行しています。竹芝桟橋を出港し、羽田沖で折り返し再び竹芝桟橋へ戻ってくる『ナイトクルーズ』です。船内ではデッキが開放され、好きな場所で生ビール片手に東京臨海部の夜景を楽しむことができます。当記事では、ビール好きの視点から、ビヤガーデンとしてご紹介します。
本記事は2022年に取材した内容です。
目次
スタートは竹芝桟橋。18:50 乗船開始
東京湾納涼船の歴史は古く、1950年から70年以上続いてきた東京を代表するナイトクルージングです。運営元は伊豆諸島を結ぶ東海汽船。外洋航路出港前の大型貨客船「さるびあ丸」の待機時間を活用して運行されてまいす。そのため、東京湾納涼船が帰着後、すぐに船内整備が行われ、あっという間に大島、三宅島方面の船として仕立て直されます。
使用される「さるびあ丸」は、2020年に新造船「3代目さるびあ丸」に置き換えられたのですが、その後、感染拡大防止の為、納涼船は運休が続きました。そのため新型さるびあ丸は、2022年が初の納涼船となります。
出港地は、浜松町駅から徒歩10分ほどの竹芝客船ターミナル(竹芝桟橋)です。18時50分になると行列が進み始め、途中の改札で乗船券を渡して乗船となります。WEBなどで事前に予約し支払いを済ませておく必要があります。
ぞろぞろと誘導されるまま乗船し、フロアを上へ、上へ。後部デッキと7階相当のトップデッキ、そして5階・6階が開放されています。船室内ではあまり景色が見えないため、多くのお客さんはデッキで立ち飲み状態になります。
時刻は19時過ぎ。すでにビールを飲み始めている人も多数。竹芝桟橋を離れます。浜離宮と築地大橋、勝どきのタワーマンションを見ながら、船は静かに南下をはじめます。
普段見ることがないアングルからの東京の夜景に、皆さんテンションがあがっています。
後部デッキ付近は、料理やお酒を求める人と景色を眺める人でいっぱい。開放的なデッキで潮風を感じながら、一杯目のビールとおつまみを選びます。
航路
(東海汽船プレスリリース資料より)
竹芝桟橋を出港し、レインボーブリッジをくぐり、お台場、大井コンテナふ頭を眺めつつ、羽田沖で転回して再び竹芝桟橋に戻ってくるというルート。東京湾の新名所、東京ゲートブリッジも見られます。1時間45分の船旅です。
品書き
乗船券
乗船券:1,500円。日〜木曜日はゆかた姿で500円0FF。基本的に立ち席となります。
乗船券と料理、飲み放題がついた指定席プランは、2名から予約可能で4,000円/人~。
お酒
生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル):400円。生ビールチケット6枚綴りの回数券:2,000円だと、1杯あたり約330円とオトクです。
サワー類・ハイボール:各300円。小笠原パッションサワー:400円、小笠原レモンサワー:400円。
料理
東海汽船就航地・小笠原のおつまみやサワーがあるのが特長です。
島のり焼きそば:600円、明日葉天ぷら:600円、島寿司:900円、島のりピザ:600円、島みそ煮込み:600円、青唐辛からあげ:500円など。
支払いはSuicaなどの電子マネーかクレジットカード、または事前に竹芝客船ターミナルで販売されているフードチケットでの支払いのみ。現金は使えませんのでご注意ください。
夜景が一番のおつまみ!生ビールが進みます
ビールは船内の複数の場所で販売されています。船内に備え付けの電気式冷却のサーバーのほか、トップデッキなどでは可搬型の氷冷却式サーバーが使用されています。最初は提供品質に大きな違いはありませんが、夏の屋外で大量に注ぐため、後半は電気式冷却サーバーのほうがおすすめ。
使用されているビールはサッポロビール千葉工場で製造されたサッポロ生ビール黒ラベル。20Lタンクが山のように準備されています。
生ビール(約330円)
広い空間で飲むビールは格別の美味しさです。少し涼しくなってきた夜の東京湾で、夜景をバックに乾杯。
夜景をバックに浴衣姿の自撮りを楽しむ人、会社の宴会で利用する人、景色を夢中になって眺めている家族連れなど、皆さんの楽しみ方は様々です。お酒好きで集まった私たちは、ビールサーバーから2mの場所に陣取って、ぐいぐいと杯を重ねていきます。※飲酒は自分のペースで適量の範囲内。
島寿司(900円)
おつまみをみていきましょう。こちらは八丈島を代表する郷土料理、島寿司。漬けにした魚を甘い酢飯にのせたもので、結構本格的です。
明日葉天ぷら(600円)
明日葉は伊豆諸島の名産品です。これを注文を受けてから揚げてくれるという明日葉天ぷら。船内でも揚げたてが食べられます。
さわやかな香りと青くほろ苦い味。ザクザクとした具合に揚がっていてビールと相性抜群です。
島のりピザ(600円)
島のりは三宅島や八丈島の名産で、これをふりかけたピザもあります。
たこやき(600円)
一般的な屋台スナックもあります。ソーセージ、チーズフライ、フライドポテトなど。
景色
ビアガーデンと違って、常に景色が変化するのが納涼船。見覚えのある建物も船からみるとまた違った魅力があります。
あまり東京に詳しくなくてもご安心を。プロのDJやアナウンサーが乗船していて、特設ブースから夜景の案内などでムードを盛り上げてくれます。
ほとんど波のない東京湾を大型船で航行するので揺れは感じることはありません。
トップデッキから大勢の人がお台場の夜景を写真に収めています。
最後部のデッキからの眺めもなかなか。東京タワーとスカイツリー、ふたつのタワーとレインボーブリッジを眺めながら、黄昏時の東京湾を船は進みます。
進行方向右手には東京港の大井ふ頭が見えてきました。ライトアップされたガントリークレーンとコンテナ船は、実用的な美しさがあります。
羽田沖までやってきました。頭上を次々と旅客機が行き交い、空の玄関口羽田空港の近さが感じられます。管制塔と滑走路の明かりが浮かび上がっています。
そんな夜景を眺めていると、船は旋回を始め、再び竹芝桟橋へと戻り始めます。レインボーブリッジの下をくぐるまであっという間。ほとんど立ちっぱなしなのですが、それでも時間は短く感じられました。何度も東京湾納涼船に乗っていますが、毎回とても楽しんでいます。
リーズナブルに楽しむ非日常の開放感
ビール好きの皆さんと飲み続けた1時間45分。持っていた回数券を使い切ったところで、船は着岸しました。名残惜しい気分で下船し、大満足。いつか、さるびあ丸で伊豆諸島へ行きたいです。
1,500円の乗船券に、ビール1杯だけならば2,000円でお釣りが来るお手軽ナイトクルーズ。非日常が楽しめます。たくさん飲んでもビアガーデンと同じくらいの予算で大丈夫。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/Syupo酒場部の皆さん)
東京湾納涼船公式サイト https://www.nouryousen.jp/