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毎日、飲み屋街を歩きまわり、馴染みのお店や新規の飛び込みのお店、人づてに聞いた銘店など、あらゆる酒場に顔を出していますと、その街その街にある固有の”飲み友達の輪”に入れてもらうことがあります。
私のようにあちこちの街に顔を出す人はあまりいなくて、ほとんどの街の飲兵衛さんはホームタウンを持っていて、そこの界隈についてはものすごい情報網をもっています。新橋にも飲み友達グループが複数ありまして、それぞれに「飲み友」として認めてもらっています。
これは本当に嬉しい事で。頻繁に来れているわけでもないのに、皆さま、いつもありがとうございます。
ホームタウンとしている街で飲んでいる人たちの情報は、テレビやインターネットでは手に入らない地に足の着いたものばかり。「今度できた角っこのもつ焼き屋、行ってみてよー、美味いよ!」なんて言われると行きたくなります。
今回は複数の新橋のプロが推奨した「美味ぇ津゛」(うめず)にやってきました。
「芝浦牛煮込みが美味い」「お通しがハイレベル」など、巷で噂になっているお店です。
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新橋駅から西口商店街を抜けきったあたり、第二京浜沿いのオフィスビルの一階にあります。外観は普通のオフィスビル。これは地元の人でないと見つけられませんね。
ビルの一階にはこの大きな暖簾。大衆酒舎と書かれた藍色の暖簾。これは只者でないオーラが。
コの字カウンターだけの店内。上品な雰囲気の女将さんと大将のお二人が切り盛りされています。
いらっしゃーい。どうぞー。
目の前にはシャリキンパウチが。三冷ホッピー、二冷一凍ホッピー、氷入りホッピー、いろいろ飲み方が選べます。ソトも白・黒のほかに珍しい55ホッピーも。再開発が進むこの場所、ビルも新しくできたばかりのお店なのですが、店内は50代以上のおじさまで8割の入り。期待できますね―。
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シャリキンホッピー(420円)で乾杯!
そしてでてきました、これが噂のハイレベルのお通しですね。
「日替わりで、魚だったり煮物がでたり、毎日通っても飽きないんだ」と語る隣の紳士。
大皿に盛られているなかから手際よく盛られたおつまみはどれも確かに美味しい。もつ焼き・煮込みのお店なのに、まるでおばんざい屋のよう。
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噂の芝浦牛煮込み。
シロ、フワ、ハチノス、スジの4種。大きな鍋でぐつぐつと煮こまれている様子は下町の煮込み屋のように見えますが、全体的に洗練された雰囲気なのはここが新橋だからでしょう。
見た目は色が濃いのですが味は予想外にすっきり。おじさま達が喜んで食べているのもわかります。看板メニューだけあって、だいぶクオリティが高いです。味の方向性はすき焼き風の甘さが効いたタイプです。
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これは美味しい!と話していたら、常連さんから、取材ならこれもこれもと料理をまわしてくださいました。
すみません、ありがとうございます。
ミミガーは沖縄料理の定番ですが、こういうモツ串屋さんでは珍しいかも。もっちりしていて旨味が強い。
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こちらは珍しい希少部位、豚アワビです。アワビのような食感からついた名前だそうで、卵管だそう。こりこりとした食感、臭味はなくて食べやすいです。
芝浦が近いからか、新橋や浜松町は本当にモツ好きを刺激するラインナップをもつお店が多いです。こちらも、巨大なレバーステーキなど食べてみたいと思うものが多数。
早い時間からいっぱいになり、駅前でもないビルの一階にありながら、常に賑わっている素敵なお店でした。年齢層高め、落ち着いてモツを食べたいときにこのチョイスは絶対「あり」です。
侮れない街、新橋。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
美味ぇ津゛
03-5500-4100
東京都港区新橋4-21-7 1F
17:30~23:00(平日のみ)
予算2,000円