JR田町駅、慶応仲通り商店街の入口近くに灯る温かい赤ちょうちん。「串あげ たけちゃん」は、2001年から続く大阪串カツの名店です。元は八百屋だったというユニークな歴史あり。実は、昨今の東京の串カツ文化を語る上で欠かせない一軒なんです。揚げたての串を片手に、ふらっと一杯。その様子をご紹介します。
目次
元・八百屋さんが開いた、東京の大阪串カツの草分け

「いらっしゃい!お一人さまはカウンターへどうぞ」と、朗らかな女将さんと実直そうな大将が迎えてくれます。活気ある店内は、入口付近が立ち飲みカウンター、奥がテーブル席という造り。私はいつものように、厨房との距離が近いカウンターへ。
実はこの場所、もともとは女将さんのご実家である八百屋さんでした。住居兼店舗だったこの場所で、八百屋の娘さんだった女将さんが、大阪・平野にある串カツ屋台「武田」の息子さん(今の大将)と結婚したことが、お店の始まり。
「八百屋を閉めることになってね。せっかくなら、主人の実家の串カツでやってみようかって。ダメだったら人に貸せばいいかな、くらいの気持ちで始めたのよ」と、女将さんは笑います。
お店がオープンしたのは2001年。当時はまだ、東京で本格的な大阪スタイルの串カツ店は珍しく、北千住の有名な老舗串カツ店くらいしかありませんでした。そんな時代に、関西の日常食である串カツの味を三田の地で根付かせた「たけちゃん」は、今や東京の串カツ文化を語る上で欠かせない一軒です。
気分は大阪の大衆的な串カツ立ち飲み
提供品質抜群の樽生一番搾り

熱と油をたくさん使う業態で樽生ビールの提供品質を高めるのはかなり大変。それでも、ここはジョッキもピカピカでサーバーも磨き上げられています。だから安心して生ビールが頼めるのが嬉しいです。それでは乾杯!
ちなみに、瓶ビールは熱心なファンが復活のきっかけをつくった、熱処理タイプのキリンクラシックラガーですので、瓶も頼みたいですね!
まずは「おまかせ串セット」から

初めて訪れる方や、何を頼むか迷ったときは「おまかせ串セット」がおすすめです。6本セット(1,020円)と8本セット(1,200円)があり、単品で頼むよりもお得に楽しめます。今回は6本セットをお願いしました。
「たけちゃん」の串揚げの魅力は、細かく軽い衣と、冷凍ものを一切使わないという素材へのこだわりにあります。サクッとした食感は小気味よく、油がしつこくないので、いくらでも食べられてしまいそう。
セットには、王道の海老も含まれています。これがなかなかの大きさで、ぷりっとした食感がたまりません。ちくわやこんにゃくといった、大衆酒場らしい種も楽しいものです。
中でも面白いのが「納豆」です。油揚げの巾着の中に、納豆や刻んだレンコン、山芋が入っており、外はサクサク、中はとろり。食感のコントラストが心地よく、これは必食の一品と言えるでしょう。
もう一つの名物「どて焼き」と大阪の味

串揚げと並んで、この店で必ず頼みたいのが「どて焼き」(1本140円)。牛すじを串に打ち、白味噌ベースでじっくりと煮込んだ大阪の味です。とろとろに柔らかく、深いコクと甘みが口の中に広がります。これがビールや、後に続くお酒をぐいぐいと誘います。
ソースは、共用の器ではなく、衛生面に配慮したプッシュ式の容器で提供されます。これも時代に合わせたお店の心遣い。「二度漬け禁止」の緊張感はありませんが、自分のペースでたっぷりとかけて味わえるのが嬉しいですね。
人が激流のように流れる駅前で、変わら個人店の人情
女将さんや大将との何気ない世間話も、カウンター飲みの醍醐味。常連さんとも自然と会話が生まれるこの空気感は、お二人の人柄そのものです。
八百屋から串カツ屋へ。大きな決断から始まったお店は、四半世紀近くを経て、学生やビジネスパーソン、そして遠方から訪れるファンにも愛される、かけがえのない名店になりました。
大阪の魂が息づく串揚げを、東京のど真ん中で味わう。田町・三田を訪れた際には、ふらりと立ち飲みされてみてはいかがでしょう。
店舗詳細
- アサヒスーパードライ・キリンクラシックラガー大瓶 500円
- キリンラガー生ビール 500円
- 酒 480円
- サワー 380円
- 牛肉・チーズ・ちくわ 100円
- どてやき・もち豚・砂肝・ウインナー・たこ・にら巻ししとう・こんにゃく・かぼちゃ・ナス・山いも・ぎんなん・玉ねぎ・生しいたけ・にんにく・じゃがいも・玉子 140円
- ベーコン ホタテ 240円
- えび ヒレ からあげ 250円
店名 | 串揚げ たけちゃん |
住所 | 東京都港区芝5丁目20−19 |
営業時間 | 16:30 – 22:00 月・土日祝定休 |
創業 | 2001年 |