新橋「かずみんや」 おつかれさまと笑顔で迎えてくれる地階の癒やし小料理屋

新橋「かずみんや」 おつかれさまと笑顔で迎えてくれる地階の癒やし小料理屋

2017年5月28日

ニュー新橋ビルやSL広場を含む烏森口再開発の話が着実に進む新橋。戦後の荒廃と複雑な利害関係が見え隠れした闇市を整理した駅前のビルは、高度経済成長期を代表する再開発のひとつです。それがもうすぐ見られなくなるというのは、古い酒場を愛するものとしては寂しく思えます。

さて、その反対側に位置して高層ビル群に世界的企業が多数本社を構える汐留口側の玄関・新橋駅前ビルはまだまだ続きそうです。東京オリンピックから2年後の1966年築ということで、すでに半世紀を越えている建造物。古い居酒屋や立ち飲みも多く、ビルそのものが老舗酒場の主のような風体です。

ニュー新橋ビルよりも先に建てられた新橋駅前ビルですが、こちらのほうは「新橋駅東口地区再開発協議会」がこの春発足しましたが、工事着手は次の五輪のあとになるそうです。オリンピック会場施設が多い有明地区への輸送を担う「ゆりかもめ」に乗る外国人にはどのように見られるのでしょうね。日本の文化・居酒屋を体感できるスポットとして賑わうとに期待。

前置きが長くなりましたが、そんな新橋駅前ビルに新店舗がオープン。まだまだ活きたビルということを実感させられます。「かずみんや」は、ハイチェアの椅子がありつつも、立ち飲みライクな一寸一杯を傾ける酒場です。女将のかずみんさんが切り盛りするアットホームな「ははの味」。

ビールは生樽でサッポロ黒ラベル500円、酎ハイにはわざわざ氷彩サワーと書かれていますが、ここはサッポロが岡山でつくるホワイトブランデーベースの酎ハイが飲める店。結構ファンが多い。

ホッピーやハイボールといった定番や、個性的なものでは自家製しょうがサワーが注目です。

日本酒もおもしろいところが揃い踏み。臥龍梅に五橋な楯野川、腕自慢の蔵ばかり。

腕自慢といえば、日本人初のビール・サッポロもそのひとつ。キンキンに冷やしたウィングジョッキにぐーっと注いで供されます。女将はサッポロ派だそうで、トントン拍子にサッポロになったとか。想いがあるのでサーバーの品質はばっちり。では乾杯!

もともと飲食店でお仕事されていた女将は料理上手。手間のかかる焼きものも注文を受けてから調理してくれるのにこの価格。ちょいと軽く済ませるもよし、揚げ鶏やまぐろかまなどがっつり系も気になるところ。

まぐろねばねば海苔巻きと軽い肴をチョイス。今夜はこれから長いハシゴを登るので、ゼロ軒目はこれくらいがちょうどいい。

ボリュームがあり、これが結構食べごたえあり。ううむ、これは一寸一杯で済ませられないや。

毎日メニューがかわるので、今日は何があるかなと飲みに行くのも楽しみです。豚バラ軟骨煮やささみフライ、色々食べたいですが、基本はこの煮玉子100円を。ビールはもちろん、日本酒との相性も抜群です。

メニューの裏に書かれた裏メニュー。なにか裏の文字が透けて見えるぞ!?と気になって裏返すと現れます。ここで「ナポリタン」と書くのはズルいよね。

大皿で食材や料理が並ぶカウンター。天豆が立派です。

自家製しょうがサワーは、最近よくある寿司屋のガリをつかったものではなく、お店で梅酒のようにしょうがを漬けてエキスを抽出したもの。氷彩サワー応援団のひとりとして氷彩樽を飲みたいのに、これは悩ませる…(笑)

お店はとてもキレイで造作も立派。一枚の厚みのあるカウンターに、頭上には升を模した正方形の木の枠が絡み合うようなデザインの飾りがあります。升升半升という意味でしょうね。

オープンは16時とちょっと早く、18時30分まではハッピーアワーで生ビールと400円の飲み物が300円とリーズナブルになるほか、一人客限定でおつまみ3品に1杯ついて千円のお手軽セットもあります。

毎日、肩をほぐしにちょいと飲みに立ち寄りたい。女将の優しい笑顔に癒やされました。小料理屋っていうと敷居が高く感じますが、新橋はぐんと身近です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

小料理屋 かずみんや
050-3554-1790
東京都港区新橋2-21-1 新橋駅前ビル2号館 地下1階
16:00 〜 22:30(土日祝定休)
予算1,500円