武蔵新城はやきとり激戦区。半世紀に渡り地元で親しまれてきた『遠州』もそのひとつ。口開けから満席になる人気店です。串は今の時代でも105円からととってもリーズナブル。家族連れ、会社帰りの宴会、そして常連さんのひとり酒と用途は様々で、いつでも迎えてくれるような大らかさが感じられます。
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焼鳥激戦区、武蔵新城
いまでこそベッドタウンですが、昔から工業地帯で現在も大手電機メーカーの開発・製造拠点や、中小の町工場が立ち並ぶ武蔵新城。JR武蔵新城駅は乗換駅ではないものの駅利用者は南武線の中でも上位で、そのため駅前には比較的大きな飲食店街が広がっています。古くから続く店が多く、とくに焼鳥・もつ焼きの老舗が何十年と競い合ってきました。
南口に構える『やきとり遠州』も、そのひとつ。口開けと同時にどっとお客さんが押し寄せ、提灯が灯ってから30分ほどで満卓になることもあります。雑多な店構えですが、店内から熱気が溢れており、縄のれんを潜る前から人気店だとわかります。
店は半世紀に渡り続いており、お客さんの層も店の歴史の分だけ幅広く、老若男女さまざま。奥の入れ込み座敷では子供を連れた家族の姿もあります。
飲み慣れた常連さんたちは焼き場正面のカウンター席で、各々いつものつまみを肴に杯を重ねています。
目の前の冷蔵ケースには、仕込んだばかりの串がずらりと並んでいます。長く続く店は卸業者との関係も深く、安く良いものを仕入れていることが多いといいますが、遠州もそのようです。
品書き
お酒
樽生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル):671円、瓶ビール(アサヒスーパードライ・サッポロラガー):616円。
サワー類は、酎ハイ・レモンサワー(ハイサワー):429円、ぶどうサワー:473円、生グレープフルーツサワー:550円など。
日本酒は清酒:550円、生酒:759円、玉の光 純米吟醸:616円、にごり酒(玉の光):759円。
料理
焼鳥は豚モツが、かしら、タン、ハツ、レバー、白もつなど。鶏が、鳥焼、砂肝、ネック、トリハツ、つくね、ぼんじりなど。多くが105円均一ととても良心価格です。なお、串の注文は2本以上から。
一品は、酢もつ:429円、豚足:385円、さつまあげ:473円、もつ煮込:473円など。
臨場感もビールのつまみ!賑やかな店内で楽しいひととき
生ビール(671円)
古くからやっている焼鳥屋さんは、「生ビール、結構いいお値段するのね」と思うことがありますが、頼んでみたら最近の店の1.5倍はある500ml以上のジョッキででてくることも多いです。遠州も同様で、たっぷり飲みごたえのある量です。
状態のよさがひと目で分かる素敵な生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル)を持ち上げて、乾杯!
突き出し
突き出しはキャベツときゅうりの浅漬ときまっています。濃い味の焼鳥の合間に、ちょうどいい箸休めになります。
オニオンスライス(429円)
新玉ねぎのシーズンでお店のオススメでした。みずみずしくてとっても甘い。
ホタルイカ(385円)
春の季節モノのもう一品はホタルイカ。ちなみに、夏はとうもろこし、谷中生姜。秋はさんま、冬はあん肝と決まっています。
サッポロラガー大瓶(616円)
軽いつまみを食べたところで、そろそろ焼鳥が出来上がりそう。ゆっくりと飲むために大瓶の赤星をもらいました。
ネック(105円/本)
串焼きは税抜き価格で95円。それでも、串は大きく食べごたえもあります。タレはしっかり甘めでトロミあり。備長炭の風味もあいまって、実にビールが進む味です。
豚バラ(132円/本)
酢モツもそうなのですが、この豚バラもどこか九州のやきとり店のようです。玉ねぎを合間に打った、博多のやきとりではおなじみのスタイルです。
パリッとした表面と噛むほどに広がる肉汁の美味しさ。しっかりとした味なので浅漬の箸休めが嬉しいです。
大箱で賑やかな店内。圧倒的な臨場感。注文が続くと店内に煙が充満しますが、それもまた酒場の醍醐味です。ラフな格好でどうぞ。店員さんが多くてしかも客あしらいが上手なのも嬉しいです。
南武線を途中下車して飲みに行く価値のある一軒かと思います。
ごちそうさま。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 遠州 駅前店 |
住所 | 神奈川県川崎市中原区新城3丁目7-20 1F |
営業時間 | 17:00~23:45(土日は16:00~・火定休) |
開業年 | 1970年頃 |