新杉田『愛知屋小林商店』 南部市場のあとは、老舗の角打ちでお昼酒

新杉田『愛知屋小林商店』 南部市場のあとは、老舗の角打ちでお昼酒

2021年2月20日

一括りで角打ちと言いましても、2つに分類することができます。

ひとつは地酒やクラフトビールなど、こだわりある個性や流行のお酒を揃える今風のお店。知識欲を満たすのにぴったりです。そしてもうひとつは古典的な「立ち飲み」としてお酒好きのベテラン紳士淑女が集まる硬派な角打ちです。

横浜には後者のお店が多数あり、日中から角打ち時間が楽しめます。

JR根岸線の新杉田駅から徒歩2分、京急本線の杉田駅からも徒歩7分ほどの場所にある「愛知屋小林酒店」は、実にノンベエ心をくすぐるいぶし銀の老舗酒販店です。

営業時間は朝10時から、角打ちは15時前くらいから受け付けてくれます。

スポンサーリンク

工業の街で働く人々のオアシス

新杉田は高度経済成長を支えきた京浜工業地帯の一画で、労働者人口が多い地域です。JR根岸線を挟んだ東京湾側には、IHIの事業所やジャパンマリンユナイテッドの造船所、東芝の横浜事業所などが立ち並んでいます。

また、近年民営化し、ショッピングモールを併設した話題のスポット「南部市場」から徒歩やバスで数分という立地でもあります。

人が働く場所に角打ちあり。そして用途がかわり観光地化した南部市場を訪れたあとに、軽く一杯お昼から飲みたいというニーズにも応えてくれる「愛知屋小林酒店」をご紹介します。

創業から80年、ここは杉田の玉手箱

まだ漁師町だった杉田で戦後すぐに開業した愛知屋小林酒店。店名の通り、ご主人は小林さんで、温厚な非常に優しい方です。

酒屋のプロとしての誇りを感じる素晴らしいご主人。お店はだいぶ年季が入っていますが、とても清潔感があります。

「いらっしゃい、どうぞ飲んでいってください」と迎えてくれるので、冷蔵ケースから好みのビールや缶酎ハイを取り出し、適当なカウンターで始めます。

幼い頃、親といっしょに買い物に通った近所の酒販店を思い出す、懐かしい雰囲気です。すのこ敷きの床は適度に柔らかく、立ち飲みしていても脚は疲れにくい印象です。

懐かしいお酒関係のグッズやイラスト、南部市場の開市日カレンダーなどが、大きなガラスの入り口越しに差し込む光にぼんやりと照らされています。時間の流れがゆっくりと流れているようなムードに癒やされます。

横浜はキリン創業の地なので角打ちもキリン色が強いですが、愛知屋小林商店はサッポロの取り扱い品数が多く、酒屋の店頭ながらサッポロ黒ラベルの生ビールを飲むことも可能です。

お店の雰囲気にあわせて、赤星(大びん510円)を抜栓してもらいました。「この写真は30年前に撮影したもの」と言っても納得してしまいそうです。※備考:赤星のラベルは1992年に現在のデザインになったので、ごまかせませんが…。

スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアでお酒を買うことが多くなった今こそ、街の酒屋さんの魅力を再発見してもらいたいと思っています。

嗜好品ですから、買う場所・飲む場所も魅力のひとつ。地域の角打ちはお酒のテーマパーク、ワクワクしながらお酒を味わいませんか。

コダマ飲料のバイス、ポッカサッポロの烏龍茶などの割材は、自宅用に購入でますし店内で割材としても利用可能。甲類焼酎と割材を別々にもらえば、駄菓子屋さんでジュースやかき氷を楽しんでいたあの頃の気分に戻ります。

角打ちでお惣菜は珍しい

乾き物だけでなく、愛知屋小林酒店では漬物や焼鳥、玉子焼きなどのお惣菜がパック詰めで売られています。どれも200円未満と手頃です。

のざわな漬け(130円)をちびりとつまんで、大瓶を傾ける。

ニューノーマルと言いながら気を張り詰めてきた今の時代だからこそ、こういう空間に浸りたい時があるというものです。

DSC04722

アサヒ「ハイリキレモン」。缶酎ハイでも氷入のジョッキを用意してくれるのが嬉しいです。常時10種類以上ある日本酒はビヤタンに1合なみなみと注いでくれますし、焼酎はロックなどの割ものは無料でだしてくれます。

品数の多さも角打ちの魅力です。宝酒造のプレミアム系クラフトチューハイシリーズもあります。こちらは神奈川県つながりで、みかん処の小田原産レモンを使用したレモンハイです。

接客は丁寧。女性お一人様も勇気さえあれば大丈夫。根岸線沿線では間違いなく五本の指に入る超優良角打ちです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名愛知屋小林商店
住所神奈川県横浜市磯子区杉田4-8-57
営業時間営業時間
15:00~21:30
定休日
日曜日・祝日
開業年1940年代