津田沼『西もり』増やま7店舗目は東へ、安く美味しくお昼から楽しめる

酒場好きの間で、「総武線沿線に“増やま”あり」と言われるほど人気の酒場グループである「大衆酒場増やま」。

オーナーは船橋の老舗酒場で修行後、2015年、船橋駅南口に1号店を開店しました。その後、総武線沿線に出店を続け、西は新小岩に「かど鈴」の名で店を構え、船橋ではジンギスカン業態も立ち上げています。

増やまは総武線の船橋よりも東京寄りに出店を続けてきましたが、2021年、ついに船橋の東側・津田沼に新店舗をオープンさせました。これで7店舗目となります。店名は、オーナーが行きつけだった駄菓子屋に由来し「西もり」とつけられました。

コロナ禍にあっても、従業員の皆さんの働く場所を確保するため新たな出店に踏み切ったといいます。

営業時間は、不規則な仕事でお昼から飲みたい人にも優しい、午後2時のオープンです。

ネオじゃない、正統派のカウンター酒場

ベッドタウン・津田沼。街は大きいのですが、飲食店の数はそれほど多くなく、なにより日中から飲める「西もり」は大手チェーン以外では貴重な存在です。

駅から徒歩2分ほど。落ち着いた町並みの中に、キンミヤブルーで焼酎の名前が入った看板が見えてきました。

キンミヤ焼酎の大きなロゴを配しつつも、昔ながらの酒場を彷彿させる店構え。赤ちょうちんと藍色の「大衆酒場」の文字がぴしっとした雰囲気を作り出しています。

店内は入り組んだカウンターを配し、凹の字型とでもいいましょうか。カウンターの内側に立ち上がるものがなく、ストンと落ちているのは同店のきまった造りで、さほど大きくない店舗でも圧迫感を感じさせません。

テーブル席はないので、利用はせいぜい2・3人くらいまでが良いと思います。

凹んだ場所には肉豆腐と煮込みの鍋が設置されています。

煮込みと焼鳥はセットのイメージがあるかもしれませんが、増やまは焼鳥・やきとんはなく、煮込みを主体としたスタイルです。

樽生は船橋の一号店からずっとキリンビールです。こちらの銘柄はキリン一番搾り（300円）。このジョッキで300円は話題の低価格居酒屋グループの中でもひときわリーズナブルです。

それでは乾杯！

緑の短冊が飲み物の品書きです。看板の通り酎ハイやホッピー（セット350円）のベースとなる甲類焼酎は宮崎本店のキッコー宮。プレーンな酎ハイはボールと呼ばれ、1杯250円とこれまた安い。

寿司店で使うガリを入れたガリ酎や、いわゆる色付きの下町ハイボール（焼酎ハイボール）もキイロ（280円）の名前で提供されています。

昔の船橋は漁師町。そこの酒場が原点ですから、ホワイトボードをみると魚介類が充実しています。八角刺しとは珍しいですね。

ずらりと掲げられた白い短冊がおつまみの献立です。天ぷらやフライなどの揚げ物が多いですが、目玉焼きなども人気です。

すぐにでる肉豆腐（200円）か煮込みは必ず頼みたい一品。琥珀色に染み込んだ程よく甘い肉豆腐（300円）は、見た目を裏切らない味です。染みて茶色くなった豚バラの濃い味は酎ハイにぴったり。

いわし酢〆（300円）。

いわしはフライ、刺身などで食べられる、定番の魚です。あしの早いいわしが安定して提供されているのは素敵なことです。

色付きの焼酎ハイボール「キイロ」（280円）。

エキスを入れすぎず、比較的ドライな味付けです。プレーンの酎ハイよりも飲み心地がやわらかく、あとを引きます。

プレーンの酎ハイとあわせるのは、納豆オムレツ（300円）。

手頃な価格の酒場では必ずといっていいほど頼んでいる、納豆オムレツ。

増やま系のこちらは、表面はプレーンなオムレツですが、中は納豆と混ぜた半熟スクランブルエッグのような仕上がり。カラシが添えられています。

津田沼駅前からはサッポロビール千葉工場への無料送迎バスが発着しており、工場見学帰りに飲みに行くお店を探すことがあるかもしれません。

樽生はキリン一番搾りですが、瓶ではキリンハートランドと、サッポロビール千葉工場（固有記号：L）製造の赤星ことサッポロラガー大瓶（500円）も置いています。工場帰りの一杯に、キリンのあとは赤星にしてみませんか。

赤星にあわせるおつまみは、私のオススメはメンチカツ。バッドいっぱいになるような大きなメンチで、これで250円。揚げたてサクサクのメンチに、ソースをかけてハフハフ頬張ります。

キンキンに冷えた瓶ビールにサクサクのメンチがあわないはずがありません。

駅から近く明るいうちから飲める「西もり」で、津田沼の飲酒シーンは幅が広がります。

老舗酒場も徒歩少しの場所にありますし、ゼロ軒目に立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）