JR東海道線茅ヶ崎駅から徒歩1分。創業は1965年(昭和40年)の大衆酒場「升源」をご紹介します。南口で明るく灯る大提灯は、この駅を利用したことがある人にはおなじみでしょう。
やきとりと地元・相模湾でとれた地あがりの魚でもてなしてくれる大衆酒場です。
東京駅から30分、湘南は都心に身近な観光地です。おなじみの江ノ島観光や夏の海水浴だけでなく、相模湾で水揚げされた地の魚は年間を通じて魅力的です。海鮮丼や寿司店もよいけれど、ノンベエはそんな魚はやっぱり地場に根付いた酒場で飲みたいというものです。
これぞ昭和の大衆酒場という佇まい。二階が昔からの店舗ですが、最近一階にも新たに落ち着きある和食屋を開きました。魚はどちらでも楽しめます。
店名の升源は一升瓶の「升」と酒の「源」を組み合わせたのが由来とのこと。
二代目が守る老舗。早い時間から満卓になる大人気店で、若いグループから何十年と通う大先輩まで老若男女でいっぱいです。それに応えるスタッフも若い人の姿があり、良い具合で活気があります。
状態抜群、横浜は生麦でつくられたキリン一番搾りの樽生(中ジョッキ500円・以下税別)が一杯目の定番です。それでは乾杯!
瓶ビールはキリンクラシックラガー(660円)。二杯目ではホッピーが人気で、「升源」といえばホッピーと話す常連さんもいます。
酎ハイ類は360円から。御殿場で蒸留されたウイスキー富士山麓は、富士の裾野らしく濃さを「五合目・七合目」と表現しているのがおもしろいですね。
日本酒は季節ごとに旬のものが差し込みメニューで登場。取材時は東北や上越のひやおろし(500円程度から)が気になりました。
さすが湘南の酒場といいましょうか、海鮮のいくつかは店主の友人の漁師から仕入れたものだそう。相模湾のヒラメで一献なんて素敵でしょ。生しらすを筆頭に魚種が多いのも、繁盛店ならではの魅力です。
魚が良さそうですが、看板料理はやきとり。半世紀にわたり継ぎ足してきたという秘伝のタレでやく満州焼きは、店の看板料理です。一本110円から、2本単位で注文可能です。
升源奴はにんにく効いたトロロをかけたるれ個性的な一品。暑い季節はこれで日本酒が実によく進みます。
フエ炒めや酢モツは神奈川県では珍しいモツ系料理です。〆は相模湾の魚をつかったにぎり寿司が長く通う人の定番の様子。
あれもこれも食べたい。そうしてお願いしたのが刺身盛り合わせ三点盛り(800円)。その日の仕入れや状況によって内容は変わるとのこと。厚切りののカツオや生しらすもあってこの価格はお得感たっぷり。
季節ものですが、鮮度バツグンの生しらすに出会えたら、もう最高にいい気分。
お酒と刺身を楽しんだあとは、お店の人気ドリンク、ホッピーを。こちらでは氷なしのキンキンホッピーを提供しています。ホッピーを扱って長く、この界隈では最も古いと聞きます。白・黒ありますが、このあとに食べるおつまみに合わせて黒ホッピーを。
升源の逸品、シュウマイ(530円)。注文後、時間をかけて仕上げ、せいろで供されます。洋辛子をたっぷり載せて食べれば、あふれる肉汁でほっぺが落ちちゃいそう。
茅ヶ崎の駅前にある貴重な老舗・大箱酒場「升源」。地あがりの魚や名物料理の数々も魅力ですが、なんといっても嬉しいのは、茅ヶ崎の人々の息吹を感じる空間に居られること。一期一会、隣り合ったお父さんとこの街の今昔のお話で盛り上がりました。
お店の方もお客さんも、お酒を進ませるいい雰囲気。お近くでしたらぜひお立ち寄りください。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
升源
0467-86-9496
神奈川県茅ヶ崎市幸町1-8 岡崎店舗2F
17:00~22:30
予算2,300円