関内「利久庵」 70年続く銘蕎麦店は、蕎麦前も秀逸だ

関内「利久庵」 70年続く銘蕎麦店は、蕎麦前も秀逸だ

2016年10月25日

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今日は関内の蕎麦屋「利久庵」にやってきました。世界中の料理が味わえるこの界隈、最近は若い人向けのもつ焼き店なども登場し、これまでの渋い大人の街の雰囲気から変わりつつある地域でもあります。

利休庵はそんな関内にある、横浜を代表する老舗そば店で、創業は1947年(昭和22年)。情緒たっぷりの和の建築で敷居はやや高く感じますが、実は140席もある大箱の店。一般的な蕎麦よりひとまわり割高ですが、シャレ過ぎていたり、創作でひねったものではない、純粋でまっとうなお蕎麦を食べさせてくれます。そんな蕎麦をもとめて年配の方を中心にランチから閉店まで、昼どきを過ぎても常に賑わっています。

季節の蕎麦や炊き込みご飯が人気で、遠方からここを目指す人も多い。定番の鰊そばは6日間もの時間をかけて丁寧に作る店の看板商品のひとつで、菊正宗生一本の燗酒を一本つけてもらってすするのが好きです。

 

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そんな利久庵ですが、今回はお蕎麦ではなく蕎麦前のセットをご紹介したいと思います。ビールは大びんでアサヒ、キリン、サッポロと揃います。日本酒は定番が菊正宗で、生一本の燗と普通のキクマサ、あとは樽酒も選べます。そば焼酎の蕎麦湯割りもこれからの季節にいい。

 

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お通しの蕎麦味噌(100円ほど)に瓶ビール。サッポロ黒ラベルの締まったデザインに飴色の袴がよく似合います。冷えた状態でだされるビヤタンにとととっと注いで、では乾杯。

 

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蕎麦屋ですが、懐石料理に近い内容のおつまみも充実していて、千円以下で結構レベルの高いものを楽しませてくれます。これらをひとり・ふたりでちょいと摘むことができるセットがあり、ぜひとも試してほしい利久庵をお得に楽しむポイントです。

 

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おまかせ5品、これで1,100円という実にサービス満点のセットです。内容は日々かわりますが、真鯛と甘エビの刺身やサザエ、ローストビーフまで登場するなど、ご馳走感いっぱいです。美味しそうなおつまみがいっぱいある利久庵、でもそんなにしっかり食べる気分でもないときや、一人でちょい飲みのときにこのセットがものすごく嬉しい。

 

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蕎麦の焼鳥は蕎麦用のかえしをベースにしたタレで味付けしているので、焼鳥専門店のものとは違う出汁を感じるものが多く、利久庵の焼鳥はまさにそれ。もっちりとした食感の引き締まった国産鶏に風味のあるタレが絡みます。

 

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瓶ビールが1本700円と、たしかに酒場として考えると高いのですが、ある程度のおちつきと、いい感じの大人の夜を楽しむのであれば絶対におすすめのお店です。50代中心のお客さんが心地よく過ごす銘店。そろそろそういうお店で飲むのもいいのかも?なんてね。

さて、黒ラベルから菊正宗へとシフトしましょうか。カメラはもう仕舞って。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

利久庵
045-641-3035
神奈川県横浜市中区真砂町2-17 利久ビル
11:00~20:30(日定休)
予算1,900円