日ノ出町「庄兵衛支店」 老舗の味、甘辛いカシラの満州焼きに魅かれる

日ノ出町「庄兵衛支店」 老舗の味、甘辛いカシラの満州焼きに魅かれる

2019年6月7日

満州焼きという料理をご存知でしょうか。豚のカシラの味噌漬けを焼いた「やきとり」の一種で、朝鮮焼きなど呼び名は違っても似たようなやきとり(やきとん)は各地にあります。

元祖満州焼といえば、創業70余年になる庄兵衛です。野毛界隈に2店舗あって、今回は日ノ出町にある「庄兵衛支店」をご紹介します。支店といえど歴史はながく、風格ある昭和の酒場です。

誰彼刻(たそかれどき)の野毛は妖艶です。江戸時代は妖怪がでる頃なんて言われていましたが、確かに野毛はどこか別の世界に迷い込んでしまいそうに思えます。

そんな静かだった野毛の町は、次第に会社員や地元のお酒好きで賑やかになり、神奈川最大の飲み屋街は盛り上がってきます。

庄兵衛支店は厳密には野毛ではないのですが、京急日ノ出町駅からJR桜木町駅にかけての一帯にあり、まずは「庄兵衛支店」でお腹を満たしてから…なんて人も多いです。閉店は22時と幾分早く、ネタ切れもあるため、できれば早めに尋ねておきたい酒場です。

本店との位置関係を表す地図があります。2店で大岡川沿いの飲み屋を挟むカタチですね。

小学校の教室ほどある大きな店内は、入って右がカウンター、左にテーブル席が並びます。やきとり店というよりは魚を提供する大衆割烹のようなパリッとしたムードが感じられます。お店は歴史があっても隅々まで手入れが行き届いていて清潔感があるのも特長です。

横浜うまれのビール、キリンの一番搾り生ビールをまずはもらって…

昔ながらのたっぷりはいるジョッキ(640円)がいいですね。では乾杯!

瓶ビール(大瓶640円)でキリンのレギュラーラガーとアサヒスーパードライ。オリジナルな濁りのあるお茶割り(360円)は見た目濃くって味もしっかり、おすすめです。日本酒は京都・伏見の玉乃光のみの取り扱いです。

看板料理の満州焼(140円)や冷蔵ケースにならぶ新鮮な豚モツ・焼鳥(130円~)など、串焼き中心のメニュー。冬季限定の牡蠣(480円)は常連さんにファンが多く、タイミングが合えばぜひ頼みたい一品です。串は一種類2本から。

お通しはありませんので、串焼きが焼けるまで、軽いおつまみをひとつ、ふたつ。

サイコロを連ねたような短冊状の丁寧な串打ちと、焦げやすい味噌漬をきれいに仕上げるテクニック。ベテランの職人さんが丁寧に焼き上げた満州焼です。定番の七味唐辛子もよいですが、甘辛い味噌味なので山椒もあいます。

濃厚な旨味とねっとりとし肉汁がビールや酎ハイを猛烈に誘います。

満州焼など豚がメインになっていますが、鶏のやきとりも美味しく、定番のつくねはふわふわとした食感が心地よいです。また、薄くもちもちなひな皮は、タレだけでなく、味噌焼で食べるのも人気です。

一期一会の会話、お隣で飲んでいらっしゃる野毛の常連さんとお酒話に花を咲かせつつ、玉乃光のお燗酒。玉乃光は純米吟醸と純米大吟醸しかつくらない蔵のため、こちら同社の大定番「酒魂」も純米吟醸です。キレのある味わいが特長。

カタクチイワシに脂がのった”まじこいわし”は、そんな玉乃光と相性のいい庄兵衛人気のおつまみです。濃厚な甘みと旨味、そしてハラのわずかな苦味がクセになり、骨も柔らかいのでぺろりと食べてしまいます。

玉乃光の純米吟醸はこのパック詰めの雪冷え酒もキリっとしていて美味しいです。小(300ml)880円、暑い季節はこれできゅっと喉を冷やしたいものです。

大箱の老舗ならではの、時間の流れをゆったり感じる庄兵衛支店で、今宵美味しい串焼きで一杯いかがでしょう。

ごちそうさま。

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市民酒場について

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

元祖 満州焼 庄兵衛 日の出町店
045-241-1092
神奈川県横浜市中区日出ノ町1-25
16:30~22:00(日祝定休)
予算2,000円