逗子「つく志」 老舗酒場の白木カウンターで地場の魚を楽しむ。

逗子「つく志」 老舗酒場の白木カウンターで地場の魚を楽しむ。

2019年2月13日

夏は海水浴で賑わう身近な海の街・逗子へやってきました。品川から京急線で約50分、品川からも湘南新宿ラインで乗換なしで1時間の小旅行スポットです。北に鎌倉、南に葉山とブランド力ある街に囲まれていますが、逗子にも魅力はいっぱい。京急新逗子駅とJR逗子駅の間の繁華街はのんびり過ごせる海鮮飲み屋が充実しています。

今度の休みは、のんびりリラックスできる”ちょうどいい”日帰り酒場旅にでてみませんか。

界隈でひときわ老舗の酒場が「つく志」。1951年(昭和26年)創業です。嬉しいことに日曜日営業。しかも営業日は毎日午前11時から夜まで通しでやっています。地元逗子や三浦の魚でのんびり一献傾けましょう。

京急線の沿線は魅力的な酒場が連なっていて、どこの駅でも途中下車をしたくなってしまいます。それでも、今日は魚を食べに終点、新逗子駅へ。

JR逗子駅はどっしり構えた地方都市にある国鉄らしい駅舎ですが、京急線は可愛らしいアーチ形のシンプルなつくり。

両駅の間が街の中心で、逗子市役所や逗子の鎮守「亀岡八幡宮」が置かれています。お隣、鎌倉にある鶴岡八幡宮とは鶴と亀の関係ということで、縁起が良いと話題です。境内には愛嬌ある亀さんの像があります。

京急線の踏切の音をBGMにして、白い行灯と縄のれんに誘われ「つく志」へ。

早い時間から地元のご隠居さんで満卓に近い賑わいです。カウンターで隣り合ったのは、地元の奥様二人組。仲良く昼酒を楽しまれていてとっても素敵です。

白木のカウンターと、鮮魚がたくさん顔を揃えた冷蔵ネタケース。そしてピシっとした姿勢で包丁を握るご主人と、料理の期待高まる雰囲気です。

古くから続く飲み屋の中生は量が多いものですが、つく志は中生でもなんと800ml。こう来ると、当然のようにもっと上の大生を頼みたくなります。後ろのテーブルではお父さんたちが牡蠣鍋を食べているような寒い日ですが、気にせずに(笑)

樽生は黒ラベル、瓶ではサッポロラガー(中680円)やアサヒ、キリンも選べます。日本酒はお手頃価格で1合350円です。

片手で持ち上げるには重たすぎる、幸せいっぱいのサッポロ黒ラベル大ジョッキで乾杯。ジョッキは凍結ギリギリまで冷やされています。

それでは料理をみていきましょう。三浦半島の突端まで少しの場所。したがってマグロはやはり三崎のものです。鯵や蛸も三浦の定番海の幸ですね。小鉢は310円から。15時までは定食も用意されていますので、小鉢も付け合せ系が豊富です。人気のアジフライ(750円)は、肉厚おおぶりの鯵が1尾半出てくる食べごたえ十分な一品。

これに加えカキフライやあん肝、湯豆腐などの黒板メニューもあります。

まずは、やっぱりお刺身で始めたい!鮮度の良さを感じるぷりっぷりの鯵やブリ、分厚い中トロにコハダやイカ、地ダコと豪華な刺身盛り合わせ(1,250円)です。

いつでも、どこでもある鯵。だからこそ、鮮度や質の良さには敏感というもの。風味付け程度に軽く醤油をつけていただきます。赤身とも白身とも違う、淡白だけとコクがあるという、やや矛盾した表現が当てはまるこの味!

脂のさしがほんのり入ったマグロも言うまでもなく絶品です。三崎港で食べるのもよいですが、こうして逗子の老舗酒場で落ち着いて楽しめるのもよいものです。

いつも不思議に思います。日本のビールって、どうしてこうお刺身にもよく合うのか。140年、和食と共に進化してきた日本のビールって良いですよね。

つづいて、黒板メニューからあら煮をお願いします。

面取りも美しいシミシミの大根とブリのカブトとかまの盛り合わせ。

ホロホロになった身も、持ち上げてみればこの通り、身にはねっとり脂が詰まっています。ほんのり甘いブリの脂と旨味、少し甘めに煮た味付けもお酒を誘います。

お酒をぬる燗でお願いします。ここからはちびりと飲み進めていきましょうか。

隣り合ったお客さんは根っからの魚好きだそう。一期一会の酒場と魚の話しを楽しみながら、楽しいひととき。

老舗ゆえのどっしりした構えで、はじめての人は躊躇されるかもしれませんが、お店の方は丁寧で親切です。地元のノンベエさんたちも一見さんに優しいのでご安心を。さぁ、湘南で美味しい魚で乾杯です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

つく志
046-871-2914
神奈川県逗子市逗子5-1-22
11:00~23:00(月定休)
予算2,800円