阪東橋「埼玉屋食堂」 朝から牛乳で一献?地元密着、懐かし風情の呑み処

阪東橋「埼玉屋食堂」 朝から牛乳で一献?地元密着、懐かし風情の呑み処

2018年2月18日

横浜の飲み屋街といえば野毛がすっかり有名になりましたが、この街は駅から離れたところにポツポツと老舗割烹、市民酒場、角打ちに食堂と、渋い酒を好む人にはたまらない店が点在しています。

朝酒楽しむ食堂として知られる埼玉屋食堂もそのひとつ。最寄り駅は市営地下鉄阪東橋駅で、そこから10分ほど歩く距離にあります。

 

阪東橋からまっすぐお店を目指すもよし、付近には明治から続く古き良き横浜の雰囲気を残す横浜・伊勢佐木町商店街があるので、軽く散策するのも楽しいです。

 

首都高神奈川3号線狩場線が上を走る中村川を越えた先、コンビニや小さなスナックなどはあるものの静かな住宅街。ここに埼玉屋食堂は暖簾を掲げています。創業は終戦から3年目の1948年(昭和23年)。

 

地元のお父さんたちの寄り合い処。ご隠居さんが馴染みの飲み友達と繰り出してくる姿が似合うお店。親子3代で食事に来る姿も見られ、食事とお酒を両方楽しめます。

 

場所柄か、ワンタンや酢豚、かた焼きそばと中華の色があります。牛丼からピザ、刺身に焼き魚までなんでもござれの品書きです。

 

常に補充されるおかずコーナーには和えものや鮭カマ焼きなどが並び、常連さんは慣れた感じで着席前にここから料理を選びます。

 

合板にプリントしたテーブルにパイプ椅子。大きなテーブルを何組かで共有し、お互い会釈して同じ島で飲みが始まります。カウンター席はないですが、人見知りしなければ一人飲みも快適です。

ビールはサッポロ黒ラベル。生中も大びんも500円。瓶でもらって、雪印マークのヒヤタンにトトトと注いで、では乾杯。あ、お隣さんも、乾杯!

生野菜は日々の飲酒の免罪符。

 

酢豚や牛鍋が定番だけど、一人飲みならば「揚げワンタン」。昭和物価かと嬉しくなる350円。ワンタンはもちろん、甘酢とレタスだけでも十分な肴です。

 

先に、雪印のヒヤタンでビールを飲んでいましたが、実はこのお店、やたら牛乳が飲まれています。牛乳割り、コーヒー牛乳割り(共に400円)が店の名物。ひさしぶりの瓶入り牛乳にテンションが上がります。牛乳は正一合、そして甲類焼酎も正一合。溢れるので予め酎ハイグラスに少し入れてもらいました。氷なしも可能。

 

アサヒが扱っていた甲類源氏の名入り酎ハイグラス。そういえばと調べると、やはり源氏ブランドは終売のよう。

1対1で甲類を結果甲類を1合飲むわけですから、400円でかなりいい気分。牛乳で口当たりが良くなり、甲類に眠っている糖蜜の甘さが引き出されているように感じます。甘すぎず、甲類キツさもなく、飲み過ぎきけん。

 

昭和のナポリタンはこうでなくちゃ。たっぷりケチャップで照りある朱色。具材はたまねぎ、ピーマン、ベーコンがたっぷり入り良心的。想像通りの味がむしろ美味しい。へんにひねったものよりも、ナポリタンは王道が一番。(ナポリタン 500円)

 

しっかり食べて、牛乳割りの甲類で頭をぼんやりさせてお会計は1,850円。

夜の営業は19時までと、ここは完全に朝酒と、スタートの早いノンベエ向きのお店。初めての人もきっと溶け込み馴染める食堂です。さて、野毛に繰り出しますか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

埼玉屋食堂
045-251-6326
神奈川県横浜市南区中村町2-113
07:00~13:00・16:00~19:00(火定休)
予算1,800円