上大岡『鳥佳』湘南ヨットマンが始めた半世紀酒場は街の名物店

上大岡『鳥佳』湘南ヨットマンが始めた半世紀酒場は街の名物店

2016年8月25日
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近隣に移転。写真は旧店舗時代。

京急電鉄の快特で横浜から一駅の街、「上大岡」。横浜や東京のベッドタウンでありながら、駅には京急百貨店が併設されているなど、地域密着型の繁華街としての顔もあります。地元の人が集う街なので、同じ横浜市内の関内や野毛界隈とはまた違った、独特なローカライズされた飲食店街が広がっています。横須賀は飲み屋が多いエリアと以前からSyupoでは紹介しておりますが、実は上大岡もなかなかのもの。素通りするのはもったいないです。

そんなこの街で立ち寄り必須のお店がこちら。昭和47年創業、焼鳥一筋の酒場「鶏佳」です。もともとは駅前の小さな立ち飲み屋としてスタートし、一時は立ち飲み業態だったこともあったというお店。半世紀近く続き、上大岡の駅前焼鳥といえば「鳥佳」と言われるくらいの街に愛され続けている名物店です。

駅前の再開発で駅直結の総合複合施設などができる際に現在の場所に移転。駅から5分ほど歩く住宅街の中へと移ったものの、人気は変わらず。むしろ、今のほうが賑わっているといってもおかしくない。

あまりの人気で、隣接するお店までもが「鳥佳」となり、壁を取り払って拡張をするほど。結果、お店の入り口は3つもあります。こういうごちゃっとした雰囲気がたまらなくイイ。

さらに足りなくなって、焼き鳥屋なのに「はなれ」までありますが、それでも予約なしだと満員で入れないくらいの賑わいです。なんでそんなに流行っているか、それはもちろん美味しいから。気になってきましたよね?

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初代は湘南の海で風にのっていたヨットマン。色黒で引き締まったきりっとした初代と、まじめ、実直なイケメンの二代目が焼場を守ります。親子で同じ店に立つっていいですね。

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メインは焼鳥ですが、焼けるまでの間につまみたいお刺身も充実しています。焼鳥屋の日替わり一品料理とは思えないほど、こだわりのつまみが多い。値段も良心的で、コレは確かに地元にあれば通いたくなります。

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それではグランドメニューを見てみましょう。昭和4四十七年創業の文字から誇りを感じます。

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上大岡駅前で屋台を引いていた達人と呼ばれている方から受け継いだ煮込みと、鮮度自慢の豚レバーがお店のイチオシ。

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お客さんの食べ進み具合を見ながら一本ずつ提供してくれる、焼き方、出し方にもこだわりがあるにもかかわらず、串は5~6本の盛り合わせが800円とリーズナブル。一本150円からの注文も可能。セットで煮込みやお刺身など、自慢の料理を満喫できるコースもあり、一軒目ならばぜひとも一式楽しんで欲しい。

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ビールは生ビールが一番搾り(中ジョッキ500円)、瓶ビールではお店の創業時と同じ時代の味をいまに残す「キリンクラシックラガー」が大瓶で550円と嬉しい価格設定。焼酎やワインにも解説があり、丁寧な品書きは見ていてワクワクしてきます。

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それでは、いくつか焼いていただきましょう。炭を随時動かし、絶妙な火力調整でじっくり焼き上げていきます。焼き過ぎず、ちょうどいい具合で焼くのは親子の長い師弟関係のたまもの。

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こけだけ人気だと、串打ちなどの下準備も大変そうですが、スタッフの数は比較的多めで、ドリンクなど注文も次々とスピーディーにこなしていきます。

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目の前でこんな美味しい風景を見せられてしまったら、もうたまりません。

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キリンクラシックラガーの大びんで乾杯。ガツンとくる苦味が爽快。

お店の一番人気の串、豚レバーは先端まで神経が行き届いているような焼き具合。日々、焼鳥・やきとんを食べていますが、これだけ一本を丁寧に仕上げているものは久しぶり。このレバー食べたさで京急に乗りたくなるくらいです。

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どろっとこってり、深い旨みがあるにも関わらず余韻はすっきり、確かに、これは特別なものです。シロの下処理がよいだけでなく、鮮度もよいし、味付けのバランスもすごくよいからでしょうか、煮込みを普段は積極的には注文しないような方にもオススメします。

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下茹でしたりしていない、注文を受けてからすっと焼台に乗せてじっくり焼き上げるつくね。複雑な食感に心地よい風味、炭火の香ばしさもついた絶品。これを看板商品にしてもいいくらいなのに、他のキャラクターも立派過ぎるのだから、さすが鳥佳です。

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チーズ巻き、トマト巻きなど巻物も人気で、とくにトマト巻きのファンは上大岡に多い。事実、後日近隣の立ち飲みで飲んでいるときに、隣のお父さんから「鳥佳のトマト巻きを食べたかい?あれは最高だよ」と、別のお店で見知らぬ常連さんにおすすめされたくらいです。

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大きすぎず、小さすぎず、相場の串よりもほんの僅かに高いのかもしれないけれど、十二分に納得できる素晴らしいものばかり。

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カウンターには大びんと煮込み、そして焼鳥が交互に並んでいる。この組み合わせ、この風景が上大岡でこれからもずっと続いて欲しい。

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瓶ビールを満喫した後はキリン一番搾りの生ビール。ジョッキの冷え具合、泡の状態、ビールのガス圧、すべてばっちり。美味しい生を飲むと笑顔がとまりません。「ジョッキを見る目が輝いている」ってよく言われます(笑)

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幻の梅サワー(480円)が酎ハイ系では特筆したい。焼酎と炭酸、そこに梅のシロップと本物の梅が両方入っている甘じょっぱい本当の梅サワー。1個がかなり高級そうな巨大でやわらかな梅は紀州さんだそう。これだけ立派なものは、仕入れやコスト的にもかなり大変らしく、まさしに「幻の梅」というわけ。クセになる甘じょっぱさです。

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鎌倉緑茶ハイ(420円)も、市販の割材用のお茶ではなく、鎌倉の茶葉店から仕入れているお茶をお店で抽出しているもの。すっきりとした甘味が、鳥の脂をすっと流してくれます。

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タン、鳥ねぎ、かわ、付け合せは甘酢浅着けのキャベツ。串は部位によって焼き加減を変えているほどなので当然文句なしの美味しさ。タンは熟成することで味をより濃厚にさせているというこだわり。そしてこの付け合せのキャベツも絶品です。単品で頼む常連さんも多い裏の看板メニュー。

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上大岡の駅前に支店をオープンするも、そちらもまたまた人気になって大賑わい。これだけ吸引力のある串、気になりますよね。大びんに串焼き、一通り味わい満腹になってもほどほどですむ大衆価格です。都心のもつ焼き・焼鳥店は場所柄露出が高く話題ですが、いやいや掘り出し物的名店はまだまだあるものです。

通勤経路ではない方も、休日に目指して飲みに行く価値ありのお店だと思います。焼鳥好きの方はぜひ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

鳥佳
〒233-0002 神奈川県横浜市港南区上大岡西1丁目19−1 千草ビル 201
17:00~22:00(水定休)