小田急線・本厚木駅。近隣はソニー、リコー、NTTに日産といった大手企業の事業所や研究施設が多く、また、街の歴史も古いことから、駅前には立派な飲み屋街が広がっています。
新宿から小田急線の特急ロマンスカーで1時間かからない距離ということもあり、ほどよい衛星都市の賑わいと大都市から離れたローカルな雰囲気があって、飲み歩きが楽しい土地です。
ここで、まずは覗いていただきたいお店が「十和田」です。オープンは午後2時と早く、提灯と暖簾の昭和な佇まいもあいまって、酒場好きのオアシスとなっています。
本厚木駅から神奈中バスが渦のように行き交う駅前ロータリーを越えて数分で「十和田」です。周辺には人気のもつ焼き店や新進気鋭のバルも登場しているので、周囲をはしごしてみるのもおすすめです。
三角形のライティングが特徴。昭和の雰囲気が漂います。創業は30年ほどだそうです。相模湾を中心とした魚介類を中心に、大衆酒場の定番をまじめに提供しています。まじめなご主人とそれを支える気さくなお姉さんたちの人柄も魅力です。
厨房に向いたカウンターが奥へと伸び、テーブル席も平行して配置されています。まだ5時前だというのに、常連のお一人さんや、カップル、地元の仲間と飲んでいるようなお兄ちゃんたちと、スタートダッシュ組でいっぱいです。
そんなカウンターにはずらりと品書きがはられています。単純な短冊ではなく、味のある絵が描かれているのが「十和田」の楽しさ。この絵がまた上手で、みているとあれもこれも頼みたくなってきます。
そんな品書きで悩みつつ、まずは生ビール。樽詰のキリン一番搾り生ビールです。乾杯!
それでは、まずはお酒のメニューからご紹介します。生ビールは490円、大瓶も一番搾りで560円と嬉しい値段。ホッピーの樽生があるのも珍しいのでチェックです。酎ハイは350円から。
日本酒は店名と同じ「十和田」が定番酒。十和田湖の秋田のお酒2合530円、焼酎は1ヶ月キープでボトル1,900円から用意。ハイボールは富士山麓。厚木は富士山麓をつくる御殿場にもだいぶ近いですね。
毎日変わるお通し(200円)。今日はもやし、わかめなどの酢の物。
相模湾の鯵をなめろう(550円)にしてもらいました。注文を受けてから、三枚におろして叩いて味噌を和えてと、丁寧な仕事です。かなり大きな鯵でしたので、ボリューム満点です。味噌のコクと鯵の旨味によって、お酒を一層誘います。
海鮮を充実させているのが特徴的で、「大衆割烹」という表現がぴったり。いなだ、まぐろ、かつおにイワシ、イカやタコと大衆魚ばかり、かと思いきや鱧までおいています。刺身のほか、握り寿司でも注文可能です。
刺身の中でも注目は「祭」と書かれた一品。内容は日替わりで、この日はまぐろの中トロが「祭」になり、なんと一皿280円という驚きの安さです。
なめろうでチビチビと日本酒を飲んでいたところで、次はホッピーと餃子の組み合わせへシフト。樽詰ホッピーは取扱店がかなり限られていますので、お好きな方はたまらないでしょう。
氷なし、ディスペンサーからキンキンに冷えて注がれたホッピー(470円)、結構濃い目です。
餃子(490円)はお店のオリジナル。刺身に寿司、天ぷらなどを置くお店に自家製餃子があるのが、酒場の良いところ。レバニラ炒め、煮込みに焼き鳥、焼きそばも人気のよう。
皮が厚めであんもたっぷり、大ぶりです。
食後酒的な一杯に、コーヒー焼酎を。このコーヒー焼酎にホッピーを入れたお店オリジナルの飲み方もありますので、ご興味ある方はレッツチャレンジ。
街の定番の酒場「十和田」。その土地に密着して長く続く店にこうして出会えると嬉しくなるものです。なんとなく、厚木の人の素顔が垣間見れたような気がして。
お近くにお立ち寄りの際は、ちょいと一寸一杯いかがですか。居心地が良くてきっと長居してしまうはずです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
十和田
046-224-8510
神奈川県厚木市中町2-5-22
14:00〜22:30(日月定休)
予算2,000円