山手「奇珍」創業から一世紀。横浜最古の中華食堂でキリンを飲む

山手「奇珍」創業から一世紀。横浜最古の中華食堂でキリンを飲む

2020年3月28日

1918年(大正7年)に本牧小港町に開業した中国料理店「奇珍楼」(のちに奇珍)。1942年(昭和17年)に現在の麦田町に移転し、長い年月をかけ今に至ります。横浜最古の中華店の一軒と言われ、横浜山手で暮らす人には知らない人はいないと言われるほどの定番のお店です。

近年は町中にある中華食堂(町中華)を好む人々が五目そば焼ソバや竹の子ソバを食べに集まるほか、昔から中華屋で飲むのが好きというベテランのんべえが、お昼から紹興酒を傾けています。

 

JR根岸線 山手駅から大和町通りを歩くこと10分ほど。本牧通り沿いに重厚感ある店構えがみえてきます。マリンブルーのタイルと紅のコントラストが、なんとなく横浜の色に見えてきます。

 

横浜・山手由来の100年企業、キリンビールから送られた表彰状が入り口に掲げられていました。

 

ビニールを敷いたテーブルに、昔ながらのスチールの調味料ケースがセットされた店内。レトロという言葉よりも、より深く歴史の一部に浸るような気分です。

 

老舗で飲むビールは別格の美味しさ。由来や歴史がつながると尚更。山手生まれ・生麦育ちの横浜ビール、キリン(660円・以下税込)で乾杯!

 

樽生ビールは一番搾り、瓶ビールはキリンラガー(660円)。日本酒と老酒があり、老舗の中華店らしく酎ハイは置いていません。

 

時間帯を問わず、家族連れや同僚と、そしてお酒を飲みに来る老若男女で賑わう店内。注文もまちまちで、ラーメン(600円)、五目焼ソバ(1,050円)などが食事では人気です。

 

中華飲みを楽しむ人に圧倒的に人気の一品目は、やっぱりシュウマイ(5個550円)。お土産で買って帰る人も多いシュウマイ。その味はとってもシンプル。それでも、他にはない深い肉の旨味やもちもちジューシーの食感がクセになり、一皿5個はシェアしたくないほど。これに老酒(600円)をあわせれば、もう山手まできた甲斐はあったというもの。

 

少し懐があったかいときは、五目ウマニ(1,980円)。初代が中国から横浜にきて店を開き、貴重なという意味から「奇珍」とつけ、高級寄りな中華店として続いてきた奇珍。いまは安く済ませる人も多いですが、本格的なボリュームのある中華料理もとても美味しいです。

 

ワンタン(660円)は、立派な液体おつまみ。ちゅるっとした食感とスープのコクが紹興酒を進ませます。

 

〆であり、おつまみにもなるチャーハン。奇珍のチャーハンは独特で、日本食で用いる丼ぶりに盛り付けられています。香ばしいほんのり焦がした醤油の香りと、チャーシューの紅がごはんを染めてうっすら赤みがかった見た目は、もうズルイのです。海老ひとつ、グリーンピースがごろごろ。しっとりとしています。

老酒をお燗にしてもらい、ちびりと一口。あぁ、いい一日です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材日/2020年2月11日)

 

奇珍
045-641-4994
神奈川県横浜市中区麦田町2-44
11:30~15:00・17:00~21:00(木定休)
予算2,000円