仙台『蕎麦處 かふく』創業から140年。宮城の食材を肴にお昼酒。

仙台『蕎麦處 かふく』創業から140年。宮城の食材を肴にお昼酒。

2020年3月29日

居酒屋は夕方からしかやっていなくとも、昼酒好きの心を満たしてくれるお店があります。中華店だったり、食堂だったり。そして、江戸時代から飲み処として親しまれてきた蕎麦屋が、なにより心強い存在です。※昼食ピーク時の飲酒を勧めるものではありません。

仙台で蕎麦屋飲み、いわゆる「蕎麦前」を楽しむならば、1883年(明治16年)創業の地域きっての老舗「蕎麦處 かふく」はいかがでしょう。

営業時間は11時から通しで続けて夜20時まで。午後の余白時間、宮城の地酒と地元食材のおつまみを揃えて、のんびり過ごすのはよいものです。

錦町公園近くで、仙台の繁華街からやや離れて入るものの徒歩圏の場所。少し落ち着いた町並みの中でのんびり飲みたいというときには、丁度いい立地にあります。

階段を登って2階へ。敷居がやや高く感じてしまうかもしれませんが、広々奥行きがあり、小上がりも備えた店内は開放感があります。

ベテランの店員さんが丁寧に迎えてくれると、飲みたい気分は高まります。まずはビールから。樽生の取り扱いはなく、中ビンでサッポロ黒ラベルとサッポロヱビスの2種類が揃っています。

銘々盆に小皿の柿の種といっしょに到着。蕎麦屋の瓶ビールは、馴染みの銘柄でも違った雰囲気に見えるもの。トトトと注いで乾杯。

お酒はビールに加え、地酒、ハイボールを用意。食材は極力仙台のものを揃えているとのこと。海幸のあなごや山幸のなめこなど、蕎麦の前につまみたい料理が用意されています。

三角の味つけ油揚(大)となめこを注文。歯ごたえが強く深味が楽しめるなめこは、大根おろしといっしょにほんのり甘いそばつゆでいただきます。

油揚げはお皿からはみ出すほどの大きさ。しっとり甘く煮しめられ、しみじみ美味しい一品。仙台は大豆の名産地。豆腐や油揚げも名物で、こちらのお揚げはもちろん地元の豆腐店のもの。

永年愛されてきたお店の定番おつまみの美味しさに誘われ、ビールのつぎは冷酒へ進みます。お新香はつけあわせ。

「140年近く店」と聞けば古典的な蕎麦の品揃えかなと思いがち。ですが、ご覧の通り、豊富な内容で丼ものまで用意されています。お客さんも近隣のオフィスで働く人や余暇を楽しむベテランさんが多く、日常使いのお店であることがよくわかります。

お店の名物がこちら、鶏いわしつみれそば(950円)。主に宮城の鰯でつくるつみれと、鶏肉の団子が入ります。あっさりとしたそばつゆとネギの甘味、そして二種類のつみれから滲み出る旨味が、全体を濃厚な味にしています。

コシのある手打ちそばを最後にすすって、心も体もあたたまり大満足。

大きく開けられた窓から眺める午後の仙台本町の町並みを眺め、ゆったり過ごせるお店です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名蕎麦處 かふく
住所宮城県仙台市青葉区本町1-14-16
営業時間営業時間
[平日]
10:45~15:00
[土・祝]
10:45~13:30

※蕎麦が無くなり次第終了
定休日
日曜日
創業1883年