生麦「魚河岸」 魚とビールの街に40年。魚種豊富な肴を前に麒麟麦酒が進みます

生麦「魚河岸」 魚とビールの街に40年。魚種豊富な肴を前に麒麟麦酒が進みます

2020年7月10日

京急沿線は名酒場揃い。ひとたび赤い電車に乗ったなら、今日は鶴見市場か、日ノ出町か、はたまた遠出して横須賀中央か…、楽しみで仕方がありません。

今日はそんな京急線は、ビール工場でおなじみの横浜市鶴見区「生麦」から、1980年創業の魚の酒場「魚河岸」をご紹介します。

生麦には創業半世紀になる立ち飲みの人気店や、地元の働く人々に長年愛される中華食堂などの老舗が多く、これが駅前の小さなエリアの細い路地に密集しています。はじめて生麦を訪れた方は、そのノンベエ心をくすぐる町並みにワクワクするに違いありません。ビール工場の見学とセットで楽しむ人も多いです。

また、旧東海道の一部は「生麦魚河岸通り」と呼ばれ昔から鮮魚店が立ち並んだエリアであり、生麦は魚の街でもあります。

 

さてさて、魚河岸。現在のご主人は二代目だそうで、生粋の浜っ児。鮮魚店からはじまった酒場であり、魚の品揃えは「さすが専門店」とうなずける内容です。

 

看板料理はインドマグロ。赤身500円と手頃な価格なことに驚きます。L字カウンターと掘りごたつの小上がり2卓というコンパクト(合計20席ほど)なお店にも関わらず、インドマグロを筆頭にかんぱち、こはだ、イワシ、関サバ、ボタンエビ、活ツブ、イカ、しまあじ、地だこ、ヒラメ、イシダイ…と、魚種は驚くほど豊富。

 

ビールはもちろん生麦のビール・麒麟。キリンビール横浜工場は関東大震災で被災した山手工場から生麦に移転するかたちで、1926年に誕生。同社の主力工場であり研究開発拠点です。

土地のビール、生麦で生産されたキリンラガーで乾杯!

 

さてさて、まずは何よりご自慢のインドマグロをいただきましょう。

 

鮮やかな紅色のグラデーション。濃厚な味わいと上品な酸味、適度な脂ののりがビールを誘います。トロブツ(500円)でリーズナブルに楽しむもよし、中トロのコクを楽しむもよし。

 

お刺身には日本酒。それはもちろんその通り。ですが、ここではつぎもやっぱりビールの気分。キリンラガー(RL・500円)を、2度に注ぎ分けてふっくら泡にして。改めて乾杯。

 

夏らしいハモチリ(600円)。ホロホロ・モチモチとした食感と、爽やかで淡い上品な甘味が心地よい一品です。

 

ご主人が魚介類とあわせる銘柄を集めています。こだわりの地酒のラインナップから、広島県竹原市の中尾醸造がつくる「誠鏡(純米たけはら)」を。甘くとろみのある味わいです。

 

ハモもよいですが、穴子もね。この界隈は穴子漁が現在でも行われており、横浜市を代表する魚のひとつです。旬は梅雨から秋雨の頃までで、旨味が強く適度に柔らくなります。

煮穴子(700円)もありますが、白焼き(800円)を少しずつ口に運び、まろやかな脂の旨味をじっくり味わいます。

 

当然、日本酒が欲しくなるというもので、選んだお酒は新潟・加茂市の「越乃雪椿」。ご主人のおすすめの銘柄です。

 

テーブル席では刺身を楽しみに来たグループ客が美味しそうにお刺身を頬張っています。

ご主人のあったかい人柄と、そこに集う地元住まいや生麦で働く常連さんの程よい距離感もあいまって、ずっと飲んでいたいと思わせてくれるカウンター席でした。ビールメーカーの方も御用達の一軒です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

魚河岸
045-501-7226
神奈川県横浜市鶴見区生麦3-2-23
17:00~24:00(日定休)
予算2,800円