文久元年創業の天童を代表する老舗蕎麦店『水車生そば』は、蕎麦の名店ですがお昼からお酒を飲む場所としてもオススメしたい一軒。中休みなく営業しています。人気のげそ天や名物の鳥そばを肴に山形正宗や一番搾りで乾杯しませんか。
地方の老舗そば店特有の「温かさ」が魅力
外観
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江戸時代に創業し、現在5代目と6代目が暖簾を守る『水車生そば』を訪ねます。山形新幹線(奥羽本線)天童駅から徒歩15分、または路線バス(山交バス)で3分。天童温泉の中心に構える大箱の蕎麦店です。天童温泉を訪れる観光客だけでなく、天童市内はもちろん、山形市や寒河江からも通うお客さんも多いといいます。
主役は北海道産の玄そばを昔ながらの水車に石臼を組み合わせて製粉する蕎麦ですが、近年はまかない料理から誕生した元祖鳥中華も人気です。
開店の11時から夜まで通しで営業しており、筆者のような日中からお酒を飲むのが好きなタイプには嬉しい一軒です。
内観
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最大300人は入れるという大箱。昔は観光バスの利用も多かったのでしょう。店内は広く民芸調の味わい深い雰囲気です。天童市は全国で生産される将棋駒の9割をつくる日本屈指の将棋の町で、店内には将棋駒を模した調度品が多数飾られています。
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取材は平日でしたが、お客さんは非常に多く広い店内でも一階はほぼ満卓状態です。給仕するお店の皆さんは忙しくても温かい接客で、地方の人気蕎麦店特有の魅力を感じます。
お客さんは意外なほど地元の人の比率が高く驚きました。温泉街で働く人、スーツ姿の会社員・公務員風の人など様々。
品書き
お酒
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大樽(樽生)ビールはキリン一番搾り中:600円。蕎麦屋ながら大ジョッキ:800円もあります。瓶ビール(キリン一番搾り)中瓶:620円。
日本酒が充実しており、定番酒に水戸部酒造(天童)の山形正宗 天馬 小徳利:480円、山形正宗 雄町 純米吟醸 1合:700円、出羽桜(天童)生吟醸 300ml:1,200円、六歌仙(東根)山法師 300ml:1,200円など。天童ワイン(赤・白)360ml:1,400円もあります。
一品料理
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天麩羅:1,300円、とりから揚げ:680円、いかげそ揚げ:500円、にしん:450円、利尻昆布甘煮:200円、かき揚げ:650円、牛すじ煮込み:600円など。
蕎麦
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鳥そば:930円、元祖鳥中華:780円、元祖板そば:1,600円、かいもち:1,180円など。
山形名物の鳥そばは、ビールと合う!
キリン一番搾り生ビール(600円)
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賑やかな雰囲気でも、お酒を飲んでゆっくりしてはいけないような“場違い感”はなく、席についたらホッとします。
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まだお昼ですが、心地いいお店なのでビールをいただきます。キリン一番搾りで乾杯!
鳥そば(930円)
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山形の鳥そばをご存知でしょうか。河北町では「冷たい肉そば」とも呼ばれており、山形内陸部ではおなじみの郷土料理です。
やや冷たいつゆに、ちょっぴり硬めの鶏肉を使い、三つ葉をトッピングします。鶏の脂や旨味が染み出して、麺類であってもビールや日本酒との相性は実に良いのです。
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『水車生そば』のつゆは、カツオ、サバ、宗田の3種類で出汁をとっていてコクが深く香り豊かです。挽きたて、打ちたての蕎麦は東京の老舗蕎麦店と比べるとだいぶ太く、なによりコシの強さが特徴的です。
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鶏の旨味をまとったコシの強いそばを手繰ると、余韻はお酒が欲しくなること間違いありません。
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蕎麦を食べきるまで鶏をとっておいて、最後に鶏をつまみに出羽桜の冷酒を合わせるというのも、なかなか良さそうです。
天童では有名店ですが、続いてきた人気の理由は味の良さだとわかりました。天童のお昼酒にいかがですか。
ごちそうさま。
天童の酒場記事
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 手打 水車生そば |
住所 | 山形県天童市鎌田本町1-3-26 |
営業時間 | 11:00~23:00(基本無休) |
開業年 | 1861年 |