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周囲を山に囲まれ、独自の食文化が育まれた山形。郷土料理も他の東北の都市にはみられないものが多く、滋味あふれる山里料理は山形を訪ねる醍醐味です。
山形駅から徒歩7分の距離にある「はやし家」は、大将を中心に切り盛りする家族経営の郷土料理店。市内の酒蔵の銘酒「男山」(山形)をはじめ、出羽桜、東北泉などの豊富な地酒を、土地の料理とともに楽しめます。
山形の郷土料理が揃う
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民芸調の内装にJAZZが流れる店内。派手な店、主張の強いお店にはない、じっくりと風土に浸れるような空気感です。土地の言葉でもてなしてくれるお姉さんや大将の人柄が暖かく、ぴんと張り詰めた緊張をほぐしてくれます。
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ビールは樽生(600円)、瓶(中600円)ともに大将のお気に入り、サッポロ。まずは瓶詰めのサッポロ生ビール黒ラベルをもらって、トクトクと。
それでは乾杯。
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酎ハイはサッポロの樽詰「氷彩サワー」(370円)、日本酒は470円均一で、冬場の雪国米沢のにごり酒は地元の人も楽しみにしているお酒なのだそう。
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魚介類は庄内のものを中心に、新鮮なお刺身も用意されています。内陸・村山盆地からは、だだちゃ豆、だし豆腐(450円)、牛肉柳川(750円)、鴨鍋(900円)など。ほかにもその日仕込んだとっておきが加わります。
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「はやし家」がおすすめの理由のひとつが「今日のおまかせ料理」(2,100円)というコース。お刺身、牛煮込み、イカ生姜焼き、もずく酢にだし奴と、あれこれと食べられるのが魅力です。
お得な「今日のおまかせ料理」(2,100円)の内容
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お通しの小鉢は、自然薯やきんぴらなど、もちろん地元のもの。
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だし奴。東京でも最近はスーパーなどで売られている「だし」ですが、本場の味はより美味しい。硬めの濃厚なお豆腐もあいまって、濃厚な味わいです。お通しもそうですが、こういう里の味がしみじみと美味しく感じるのが山形のすばらしさのひとつだと思います。
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日本海の甘海老をはじめ、白魚、かつお、マグロなど。内陸とはいえ、鮮度はばっちりです。
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ものがよいお刺身には、土地のお酒が欠かせません。豪雪地である山形県最上郡大蔵村、最上川沿いにある圏内最古の酒蔵「小屋酒造」がつくる「花羽陽」。食中酒らしい、料理に寄り添う優しいお酒です。
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リーズナブルな盛り合わせのコースはたいてい一品あたりの量が少ないもの。ですが、はやし家はたっぷりボリューム。とろとろの牛すじ肉がごろっと入る牛煮込み。甘さをしっかり利かせた山形らしい味付けです。
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料理が美味しいとお酒も進みます。溶けにくいロックアイスと一緒に注いだ氷彩サワー(プレーン)。昔からあるサッポロのホワイトブランデーベースのチューハイで、長く続く個人店ではよく見かけます。
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いか生姜焼き。甘じょっぱい味付けに、これまたお酒が進みます。これでひととり2,100円という内容です。
山形の地酒を満喫
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旅先の酒場で、時間を気にせずゆったりと酔を楽しむひととき。旅情に浸りたいときは、やっぱり飲み屋さんがいいものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | はやし家 |
住所 | 山形県山形市香澄町1-21-24 |
営業時間 | 営業時間 11:30~13:30 17:30~22:00 日曜営業 定休日 不定休 |