地元の人から絶大な支持を得ている大衆焼鳥『日吉丸』。食べごたえがありながら1本110円の焼鳥が人気!活気のある店ですが店員さんがフレンドリーなのも嬉しいポイント。ご近所さんであっという間に満席になります。久留米で焼鳥を食べるならば外せない一軒です。
目次
凛とした職人の仕事を眺めながら飲む幸せ
かつて、人口1万人あたりの焼鳥店の数日本一を誇った久留米は、中心街を歩けば焼鳥にあたるような街です。久留米ラーメンだけで満足してしまうのはもったいないのです。
グルメだけが特徴ではありません。大企業の製造事業所が複数操業する工業都市です。さらに、人口あたりの医師の人数が全国トップクラス。市内には久留米大学病院をはじめ約500軒の病院・診療所がある医療都市でもあります。
そうした出張者が多い街というのも、市内の飲食店街を育ててきた要因のひとつでしょう。久留米へ出張したら、現地の人と飲みに行くのは決まって焼鳥店という人も多いそうです。街の中心に位置する西鉄久留米駅から半径500m以内には50軒以上もの焼鳥店が営業しているのですから、その熱狂ぶりが伝わるのではないでしょうか。
外観
多くの人気店がありますが、昭和51年から続く『焼鳥 日吉丸』は一際繁盛する酒場です。
予約なしで入れるのは開店直後のごくわずか。次から次へと仕事帰りの人々や家族連れが流れ込み、18時前には満席の札が店先に掲げられてしまいます。そうした有名店と聞けば、観光客が中心かと思うかもしれませんが、見たところ取材で訪ねた私以外は、全員ご近所さんのようでした。
テイクアウトも受け付けていて、飲んでいる間も次々と持ち帰りのお客さんがやってきます。焼鳥好きの久留米市民のお眼鏡にかなった店の味、楽しみです。
内観
厨房の中央に焼台が鎮座します。その前に立ち、背筋を伸ばして、串先まで神経を通わせたような姿勢で串に向き合う大将。まさに職人です。接客を担当する店員さんは皆さんフレンドリーで、あっという間に店の雰囲気に打ち解けることが出来ます。大将と給仕、この緩急の差が大変心地よいです。
そんな焼台を眺めるカウンターは一人飲みの特等席。そして対面に畳敷きの小上がりという構造です。席数は合計40席ほど。個室なし、みんなでワイワイと飲む酒場です。
大将の目の前に通してもらった私は、ビールを注文しつつ目の前の冷蔵ケースに目を輝かせました。豚、牛、鶏が整然と準備されています。福岡県全域で言えることですが、「焼鳥」といっても、鶏肉に限らず、串に刺したら豚でも海老でも、すべて焼鳥と呼ばれています。
昔ながらの小上がり。こういう席で焼酎を飲みながら語り合うのもいいものです。
見上げれば札の品書き。あれもこれも、気になってしまいます。
品書き
お酒
樽生ビールはアサヒスーパードライ(中ジョッキ):540円。瓶ビールは大瓶で、アサヒスーパードライとキリンクラシックラガー、キリン一番搾り、加えてサッポロラガー:600円。
チューハイ(樽ハイ倶楽部):360円、ハイボール(サントリー角):420円。焼酎(黒霧島など)はグラス:300円、本格焼酎ソーダ割り:410円、日本酒1合:370円、冷酒:500円~。
焼鳥
焼鳥は、レバー、とり皮、豚バラ、つくね、かしわ、砂ずり、ウインナー、うずらの卵、シシャモ、なんこつ:各110円。手羽先:150円、串とん足:150円、ダルム(白モツ):160円、サガリ:190円、エビ:160円、玉ねぎ:110円など。
巻物焼鳥は久留米が発祥(諸説あります)と言われており、『焼鳥日吉丸』にもあります。梅しそささみ、チーズ巻、エノキ巻、オクラ巻:各170円。
一品料理
ホルモン味噌煮:360円、牛すじ煮込み:360円、揚げギョウザ5個:360円、揚げ手羽6個:440円、とん足:320円など。
焼鳥好きならば、遠方からでも一度は食べに行くべきお店
乾杯はサッポロラガー大瓶(600円)で
まずはビールから。樽生はアサヒスーパードライ。瓶でキリン、サッポロも選べるように準備されています。九州ではまだ珍しいサッポロラガーがありましたので、まずはこれで乾杯!
豚バラ(110円)
福岡の焼鳥といえば、鶏モモではなく「豚バラ」と言われるくらいの定番品。110円とは思えないほど大きく食べごたえがあります。豚肉そのものの脂で、表面はカリっと素揚げにしたような仕上がりです。ジューシー濃いめの塩味にビールが進みます。
串とん足(150円)
全国的に見ると串打ちした豚足は珍しいです。豚足が好きでも、お店でかぶりつくのは抵抗があるという人にも嬉しい一品。もちろん皮の面はパリッパリです。噛むほどに膨らむ濃厚な豚の脂分がクセになります。
そんな脂でそまった口をリセットしてくれるのが、サービスのキャベツです。一人でも丸皿いっぱいにキャベツを用意してくれるのが嬉しい。テーブルにセットされた専用の酢ダレをかけて頬張ります。
ダルム(160円)
医者の街と焼鳥の街が交差する、ドイツ語で腸を意味する「ダルム」という串。いわゆるシロモツですが、久留米の医学生がダルム(かつてドイツ語が医療分野で多用されていた時代)と呼び始めたことで「ダルム」の名前が市内全域に広まったといいます。
よく下処理がされており、炭の強火でしっかり焼き上げることで、クサミを抑え旨味を増した味になっています。けして上品ではなく、ワイルドな美味しさといったところ。まだ表面の肉汁が”じゅわじゅわ”としています。
麦焼酎ロック(350円)
こうなると、合わせるお酒はビールよりも濃いものか欲しくなります。常連さんたちに習って麦焼酎のロックを。くいっと一口飲めば、再び焼鳥が欲しくなります。
コロッケ(300円)
サイドメニューから、コロッケを。トマト、きゅうり、レタスも添えられて、ちょうどよい箸休めです。
焼鳥の街・久留米へ!日吉丸は要予約
様々な街の焼鳥を食べてきた筆者ですが、豚をメインにワイルドな味を楽しむ久留米の串は、毎回「美味しかったなぁ、また来ないと」と思わされます。
1本が大きく食べごたえのある日吉丸。きっと満足できると思います。冒頭の通り、焼鳥店は山ほどありますが、このお店へピンポイントで飲みに行きたいという方は、予約されることをお勧めします。
さて、次は近くの角打ちへ梯子しましょうか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 日吉丸 |
住所 | 福岡県久留米市日吉町24-12 |
営業時間 | 17:00~24:00(月定休) |
開業年 | 1976年 |