今日は西東京市東伏見から、老舗酒場好きにおすすめのもつ焼き店「鳥金(とりかね)」をご紹介します。
新宿から西武新宿線で約25分。東伏見は昭和にはいってから開発が進んだ東京のベッドタウン。西武グループ主導で早稲田大学を誘致した東伏見は学園都市構想のひとつで、大泉や小平、そして国立といった学園町と姉妹のような関係です。
駅名の由来にもなっている東伏見稲荷神社。駅前には大きな鳥居が建ち、街のシンボルとなっています。この東伏見稲荷神社もまた西武が誘致したというのですからすごい。駅前にある、これまた西武系の施設である東伏見アイスアリーナではアイスホッケーやフィギュアスケートの大会が開かれ、近隣の居酒屋にはスケートスポーツの選手が贔屓にしている居酒屋がいくつもあります。
酒場もまた街の歴史のひとつ。西武線の車窓からもみえる線路沿いのやきとり屋「鳥金」は、1989年(平成元年)に始めたお店。昭和から続く鶏肉屋のご主人が、練馬のもつ焼き屋での修行を経て居酒屋として再スタートをさせました。
テイクアウトコーナーを兼ねた道側のスペースが焼台。8席あるカウンターは常連の一人客で今日も賑わいます。テーブル席では家族連れが、奥の小上がりは若いグループが宴会中です。
まずはビールでしょう。キリンレギュラーラガーの大ビン(520円)をもらって、トトトと注ぎ、はい乾杯。
樽生ビールはサントリー ザ・モルツ。サントリーのメニューなのでハイボールが前面に推されています。酎ハイ類は中野の割材メーカー「東京飲料(トーイン)」のものを使用。ホッピーセットは白・黒あって370円。
さてさて、何を食べましょうか。オススメはスタミナ焼(3本360円)や煮込み、玉子焼き。もともと鶏肉屋ということで、鶏は一羽で仕入れ店でさばいているので豚モツだけでなく鶏も気になるところ。
日替わりのサイドメニューの充実ぶりもなかなかで、あれもこれも頼みたくなります。
ギョーザは自家製ですか。やきとりの仕込みもあるでしょうに、こういう料理が色々揃っているお店はより通いたくなるものです。日によっては自家製コロッケ(300円)やビーフシチュー(450円)、麻婆豆腐(250円)なんてメニューも登場します。
まずは煮込み(小210円)から。味噌ベースで豆腐がごろんとはいった鳥金の煮込み。優しい味がしみじみと心を優しく包みます。
鳥金のスタミナ焼はやわらかくてとってもジューシーな赤身肉。にんにくタレが滲み出る肉汁と混ざり頬をくすぐります。
東京・中野区は沼袋の清涼飲料メーカーの東京飲料「トーイン」とは、おなじ西武新宿線つながり。博水社やホッピービバレッジ、コダマ飲料ほどは出回っていないローカルな飲み物ですが、だからこそ出会えると嬉しくておかわりしてしまいます。
酸味控えめ、ハリのある味です。
串は4本単位ですが、二本からのオーダーも可能。おすすめは、鶏肉でつくる「つくね」。コリコリとした食感が楽しいナンコツがたくさん入っています。甘く非常に濃いタレとの相性がとてもよいです。
豚モツと焼鳥、どちらもいい味です。お店の雰囲気も相まっていつも以上にぺろりと食べられてしまいます。常連さんは一旦帰宅してから飲みに来るような方が多く、家のリビングの延長にあるような非常にリラックスしたムードが漂っています。
もつ焼きの合間に食べるトマトが好き。
外を行き交う西武線の音をBGMに、のんびり過ごす酒場時間。一人でカウンターで飲むもよし、飲み会で使うもよしの使い勝手の良い酒場です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
鳥金
042-461-1985
東京都西東京市東伏見2-4-1
17:00~24:00(月定休)
予算2,000円