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東北最大の飲み屋街を抱える仙台は、繁華街の規模と比べ明るい時間から営業している居酒屋はそれほど多くはありません。
“夜はしっかり飲み歩く予定だから、お昼は飲み屋で軽くつまんでお昼酒といきたいな”、なんていうシチュエーションはもちろんあるわけですが、そんなときは街の中華かお蕎麦屋か…。はたまた二千円程度で楽しめる低価格の「丸昌」か。ここは赤羽や天満などでお昼から飲むのが好きな人にはぴったり。
丸昌は2012年11月に開店したもつ焼きを看板料理にした大衆酒場。JR仙台駅西口から徒歩3分。営業時間は正午から日付が変わる0時まで。無休営業ということもあり、とにかく使い勝手が抜群によいお店です。
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東京・仙台間は東北新幹線で約1時間30分。ビュンと向かうもよし、全線で運転を再開した常磐線経由で、上野駅を8時に出発し12時半頃に仙台駅に着く列車に乗って、のんびり旅情に浸るのも楽しそうです。
とにもかくにも、お昼すぎに着いたならば、お昼から飲める場所は大切です。
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奥に長い一直線のカウンターに、ひとり酒を楽しむお父さんたちが慣れた感じに飲酒中。テーブル席では若い男女の姿も多く、老若男女で大賑わい。ピーク時は満席になることもざらにあるという繁盛店です。
個人店のような雰囲気ですが、運営は国内で100軒以上を展開する秋田発の飲食企業で、東京では「薄利多売半兵衛」や「代々木ミルクホール」を展開しています。
丸昌は仙台のここ1軒だけ。店長さんをはじめとした調理白衣姿の皆さんのフレンドリーな接客は、個人系の繁盛酒場の雰囲気にかなり近いです。
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お通しのざく切りキャベツ(180円)と、まずはレモンハイ(230円)をもらって乾杯!
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ビール系はサントリー。なんと瓶ビール大ビンは数量限定ながら、1本390円。もしかしたら仙台で一番瓶ビールが安い酒場かもしれません。銘柄はサントリー ザ・モルツです。
東京の酒場を彷彿とさせるキンミヤ焼酎(250円)やハイサワー(梅/青りんご・290円)、ホッピー(セット450円)、バイス(290円)などが並んでいます。東京城東エリア発祥で多く見かける色付き酎ハイもあり、ここでは使用するシロップのラベル表記からAハイ(290円)の名前で呼ばれています。
そして注目はなんといっても、20種類も揃えられた宮城県内全蔵の日本酒の存在です。一杯330円均一、何を頼みましょう。
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全国の一部の居酒屋でじわじわ人気がでてきているコーヒー焼酎もあります。ノンベエは喫茶店より、酒場でコーヒーですか。
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看板料理のもつ焼きは営業時間中に準備が進められ、提供開始は夕方6時前後。1本130円で、定番部位が一通り。串焼きだけでなく、串ごと鍋で煮込む串煮込みの存在も忘れてはいけません。
30円から380円の価格帯でおつまみはどれもとってもリーズナブルです。おなじみのポテサラ150円などにとどまらず、駅前グラタンやコロッケパンなど、一部の人に響きそうな料理も混ざった楽しい内容です。
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ただし、注意したいのは、さきほどのグランドメニューは夜の品書きということ。お昼のメニューがこちら。ガツ刺し190円など、これまた駄菓子屋さんのような価格設定です。
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ほとんどの人が頼むガツ刺しは、注文からあっという間に到着。もつは鮮度が命。ぷりっぷりのガツ刺しはその歯ごたえでお酒を進ませます。
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ホルモン煮込み(240円)。根菜たっぷりの優しい味。味噌ベースで、ぐだくさん豚汁のようなもの。
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日本酒はコップ酒ということですが、まさかビール用の小グラスででてくるとは(笑)
宮城県の飲み屋さんでみかけたら必ず飲むようにしている、大好きな酒蔵のお酒を一杯もらって、あわせるおつまみはキュウリ味噌(150円)。これくらいのおつまみで十分なのです。豊富なお酒をお昼から座って飲めるのですから、価値は十分に感じます。
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おでんは1品50円。ちくわぶ、はんぺん、練り物大好き。
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こちらがAハイ。まさか仙台で東京台東区龍泉のシロップ会社がつくる液をつかった焼酎ハイボールを飲むことがあるなんて。
東京の酒場テイストと地元のお酒を楽しむ、モツ焼きのお店「丸昌」。仙台のゼロ軒目にちょうどいいお店です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
もつ焼き丸昌
022-712-2538
宮城県仙台市青葉区中央1-8-2 よろずやビル 1F
12:00~24:00(無休)
予算1,800円