国分寺にそれはもう素敵な「せんべろ」な立ち飲みがあります。今後絶対に話題になるであろう酒場を紹介する「銘店たまご」と題して、知られざるいいお店をご紹介します。
さて、かねてより中央線の沿線には名酒場が多く、梯子するならば赤羽や立石に勝るとも劣らぬ路線だと紹介していますが、皆さんはどう思いますか。
新宿は言わずもがな、中野の「第二力酒蔵」や「川二郎」、高円寺の「大将」や「きど藤」、阿佐ヶ谷の「つきのや」や「川名」、荻窪の「鳥もと」や「やきや」、西荻窪の「戎」や「よね田」、吉祥寺の「いせや」や「カッパ」、三鷹の「婆娑羅」…
あれ、吉祥寺や三鷹が酒場ラリーの限界!?
そんなことはありません、いま、国分寺が新進気鋭の酒場の出店が相次ぎ、中央線らしい雰囲気の飲み屋を味わえる最西端は国分寺まで伸びています。立川や八王子の文化圏とは明確に違う、どちらかというと杉並区的なノリが感じられる国分寺酒場を目指してみませんか。
国分寺駅南口に2016年春にオープンした立呑屋佐々木は、15時からやっている「せんべろ」立ち飲み酒場です。「居酒屋をもっと身近に、もっと気軽に」をコンセプトに、店長の佐々木さんが独立して開業したお店です。
ドリンクメニューはご覧の通り、強炭酸をウリにしたチューハイ系のラインナップが厚い下町的な内容です。250円からととっても安い。
めちゃくちゃ効果を感じる(※常連さんの個人の感想です)というドクターウコンサワー(300円)と、最初の一杯はやはり生ビールからということでサッポロ黒ラベル(450円)で乾杯です。
恒例の生ビールの状態確認ですが、これはもちろんご覧の通りの美味しい品質です。きになるドクターウコンですが、たしかに一般的なウコンサワーよりも濃厚で効くのかもしれません。私はウコン等でドーピングしない派なのですが。
おつまみは日替わりと定番から。200円から300円のおつまみがほとんどで、どれも食べてみたい名前ばかり。エリンギバターとミョウガの間にスパイシーフライドチキンを混ぜ込むなど、肴の坩堝的な感じが酒場好きにはたまらない。
こちらが定番メニュー。「日本の元気を国分寺から!」がキャッチフレーズ。中央特快でその元気を都心に流して欲しい。ひと味クセを感じる名前の品書きが、心躍ります。激圧牛タンは300円でどれほど出してくれるのだろうとか、魂のハムカツとはいったい。
佐々木さんのイチオシ、アブラ生姜は、生姜をベーコンで巻いたもの。豚のこってりとしたアブラと爽やかな生姜が口の中で混ざって、こういう組み合わせもありだねと感じさせられます。全国の変り系焼鳥を模索する店長さん、これはいいですよ!
豚の生姜焼きがあるのだから、合わないはずがありませんね。
魚ソカツは、その名の通り魚肉ソーセージを揚げたもの。一本150円で結構なボリューム。酎ハイ2杯におつまみ数品食べても、千円に届かず結構楽しめる。その中心に、この食べごたえある魚ソカツは必須です。
生レモンサワーも一杯300円と良心的。普通に頼むとベースとなる甲類はサッポロビール社が製造するサッポロ焼酎が使われますが、裏メニューでキンミヤも取り扱っています。裏メニューを堂々と記事にすることの可否は置いといて、情報として(笑)
ウーロンハイやジャワティーハイなど、お茶系割りも多く、あれこれ飲み比べたくなります。250円と安いしね!そうそう、こちらにもラムハイ(300円)があります。爽やかな味わいで、酔っていることを忘れます。ホッピー55も国分寺ではかなりレア。
もやしとキクラゲの塩ダレ(150円)は、一人でちびちび摘むのに丁度いい一品。塩ダレが効いているので、これで結構な杯数飲めそうです。
佐々木さんの「楽しい立ち飲みを作りたい」を具現化した酒場。その中心にいる佐々木さんの笑顔も含めて魅力的。ちなみに、彼は仙台大学の出身ではありません。
安くて楽しい酒場なので、近隣の酒場情報に詳しい人達が集います。早い時間は近隣の飲食店の店長が飲みに来ていることも。
もともとスナックだった店の居抜きとのことですが、リノベーションに携わったタイル職人による内装には力が入っていて、一種独特な”杉並の木造飲食長屋の奥の方でこっそり飲んでいる”ような気分が味わえて心地いいです。
国分寺には他にも立ち飲み屋や昼酒処も多数ありますので、吉祥寺以西にも繰り出してみてはいかがでしょう。きっと楽しい時間が味わえます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/立ち呑み瓶屋 立瓶)
立呑屋 佐々木
042-201-8993
東京都国分寺市南町3-4-15 泊第一ビル 2F
15:00~23:00(不定期で主に日休)
予算1,200円