新橋で人気の焼鳥店『鳥藤』。昭和の新橋にタイムスリップしたような空間で、鮮度抜群の鳥料理を味わえます。備長炭で焼き上げる焼鳥を肴に、古き時代の飲み屋の雰囲気を満喫しませんか。
世間がまだ落ち着いていた頃、夕方の新橋は街中から焼鳥・もつ焼きの香りが漂っていたものです。細い路地が碁盤の目状に広がり、どこまで歩いても飲み屋が途切れないような錯覚をおぼえます。
今日ご紹介する一軒は、新橋で半世紀近く焼鳥に携わっているご主人の店「鳥藤」。縄のれんごしに見える焼台から漂う煙と、その香りに誘われます。
縄のれんと煙に誘われて
新橋駅SL広場から徒歩2分。柳通りから一本入った場所にあります。ファンの多いお店で、17時の口開けにあわせてスーツ姿の人たちが次々と縄のれんをくぐっていきます。
入ってすぐの場所に焼台があり、奥が板場というつくり。調理場に向いたL字カウンターは、焼きの仕事の様子を眺めながら飲むことができ、一人飲みでも不思議と一体感があります。
ネタケースには、今日の分となるフレッシュな鳥や野菜串がずらりと積み重ねられています。
いらっしゃい!と、迎えてもらったら、すぐに一杯目を注文。状態のよい樽生ビール(620円)、昔ながらの大きく見た目どおりたっぷり入る中ジョッキ。銘柄はサッポロ黒ラベルです。
それでは乾杯!
品書きはシンプル
生ビールはサッポロ、瓶ビール(中びん620円)はアサヒ。サワー類は420円。日本酒は灘の酒「沢の鶴」(2合720円)。
焼鳥はつくね、鳥レバ、ぼんじりなど。豚モツはありません。1本200円から。
煮込み(470円)は10月から3月限定で、それを目当てに飲みに行く常連さんもいます。鶏ぬた(420円)、鶏梅肉和え(470円)など、串以外でも鳥料理が多いのが楽しいです。
お通しはきまって大根おろし。うずらの生卵をおとした大根おろしは、焼鳥店のお通しの大定番。
飴色の空間に鳥料理を並べて
混んでいても、一品料理はすぐにやってきます。
皮からし和え(420円)
串が焼けるまでのつなぎ役にしておくのにはもったいない!コクがあって実にお酒を飲ませるおつまみです。恥を気にしないのであれば、お代わりしたいくらい。
鶏わさ(470円)
ハリがありもっちりとした食感の鶏わさ。水菜、のり、わさびのバランスが良いです。これはビールではなく、日本酒を添えておきたい一品。
つくね、しそ巻、ねぎま
ゆずの風味が爽やか、みっちりと鶏ひき肉がつまり、噛むと肉汁が溢れるつくね。熱々でジューシー、“はふはふ”と頬張り、すかさずビールや日本酒を追いかけます。ねぎまも脂のバランスがよく、串打ちのこだわりを感じます。
脂や肉汁などでこってりとした串が多い中、しそ巻の爽やかな余韻が心地いいです。七味を気持ち多めにふりかけていただきます。
お通しの大根おろしをくぐらせてもいいですね!
若鶏の唐揚げ(520円)
一般的な唐揚げとはちょっと異なる、鳥藤の唐揚げ。醤油味がしっかりとついたジューシーな鶏肉が、ザクザクとした食感の衣をまとっています。日本酒が飲みたくなる独特な味が楽しいです。
沢の鶴 酒道粋人
沢の鶴の 業務用向け銘柄。まさに「灘の男酒」といった辛口の味。飽きのこない飲み心地と、料理を引き立てる余韻です。
店構えよりもだいぶ奥に広く、店の奥はテーブル席や小上がりもあり合計40席ほどあります。
普段から酒場めぐりをしていない人から新橋で焼鳥で飲もうという話になったときでも、安心して利用できる一軒です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 鳥藤 |
住所 | 東京都港区新橋3-13-7 本多ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 17:00~翌2:00 [土・日・祝] 17:00~21:00 (閉店時間はお客様の状況により早じまいする場合もあります) 定休日 日・祝日 |
開業年 | 1980年 |